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久本 謙, 平賀 良知, 安倍 学
セッションID: 1P04
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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Paternò-Büchi反応はオキセタン骨格の合成法の1つである。これまでアリルアルコールを用いた場合、位置及び立体選択的にオキセタンが合成できることが見出されている。それらの選択性の発現因子は励起カルボニル酸素と水酸基との間の水素結合であると提唱されている。本研究では、反応部位を分子内に2ヶ所持つゲラニオール類とベンゾフェノンとのPaternò-Büchi反応を行い、生成したオキセタンの位置選択性とその選択性に及ぼす水酸基の効果について調査した。
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田村 大志, 高木 隆吉, 安倍 学
セッションID: 1P05
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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アゾ化合物の光照射反応では、一般にn,π*励起状態から脱窒素反応が起こりラジカルが発生する。我々は、ジアザビシクロ[2,2,1]ヘプテン類の反応で、励起三重項状態からβ-炭素-炭素結合開裂が起こることを見いだした。本研究では、その機構を解明すべく、メタノ橋頭位の置換基を調査した。
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鈴木 暢大, 中西 和郎, 林 聡子
セッションID: 1P06
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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我々は、
nJ(Se, Se)(
n = 1-4)を分子軌道法に立脚して解析してきた。解析の特徴は、
J値をdiamagnetic spin-orbit, para-magnetic spin-orbit, Fermi-contact, Spindipoleの4項による寄与に分解して解析することである。さらに、その寄与を各軌道および軌道間の遷移に対応させて解析を行うことである。今回、リン化合物における
nJ(P, X) (
n = 1-4)について解析を行った。
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桂 静郁, 中西 和郎, 林 聡子
セッションID: 1P07
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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NMR化学シフト(δ)をその支配因子からの寄与に分離して解析する方法の確立を目指して研究を進めている。今回、σ(Se) (σ
d(Se), σ
p(Se), and σ
t(Se); calculated absolute diamagnetic, paramagnetic, and total shielding tensors, respectively: σ
t(Se) = σ
d(Se) + σ
p(Se))における相対論効果をADFを用いて評価した。
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松岡 大介, 西垣内 寛
セッションID: 1P08
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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ケイ素反応剤は、高配位化することで電子密度が高くなり、4配位ケイ素化合物では困難なカルボニル化合物との光誘起一電子移動経由反応が進行することを当研究室で報告している。高配位化の際に配位子としてカテコールやアルカンジオールなどを用い、配位子による効果を検討した結果、配位子が高配位型ケイ素反応剤の安定性に寄与し、光誘起一電子移動反応の効果的な進行に影響を及ぼしていると考えられる。
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石澤 直也, 川崎 加瑞範, 池田 ゆき, 古宮 慎太郎, 粕壁 隆敏, 渡辺 敬典, 津田 薫人, 禅 知明, 榊原 和久
セッションID: 1P09
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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粘土膜材料Claistに活性ラジカルを分析するためのラジカル捕獲剤を含浸させたClaistラジカル捕集膜を用いて、環境中のラジカル化学種を捕獲し、Mass、IRおよびESRによる分析を行った。Claistラジカル捕集膜を用いることで、ラジカル捕獲物の安定性が著しく向上するが、ラジカル捕獲剤の反応性向上、ラジカル捕獲物の同定法の確立が環境分析への応用には必要であるので、含浸させるラジカル捕獲剤と分析条件の改善検討を行った。
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月里 力, 米澤 渚, 熊谷 勉
セッションID: 1P10
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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メタンスルホニル基で置換された(3
Z,5
Z)-1-アザオクタ-1,3,5,7-テトラエン(
1)はジヒドロピリジン誘導体(
2)を経由し、(3
Z,5
E)-異性体(
3)に異性化する。今回、トリフルオロメタンスルホニル基で置換した化合物の反応性の違いについて比較検討した結果を報告する。
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西井 一哲, 西垣内 寛
セッションID: 1P11
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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β位に不斉酸素官能基としてカルバミン酸エステルを導入したアリルスズ試剤とアルデヒドとの1,5-遠隔不斉誘導反応において、ルイス酸にYb(OTf)
3やTiCl
4を用いると高い
synジアステレオ選択性を示た。一方、亜鉛塩を用いると中程度ではあるが
anti選択性を示すことが明らかとなった。また、不斉中心に窒素官能基を導入した1,5-遠隔不斉誘導反応についても検討した結果を併せて報告する予定である。
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篠原 広幸, 園田 素啓, 山口 幸太郎, 跡部 真吾, 小川 昭弥
セッションID: 1P12
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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芳香族アミンは生理活性物質、および天然物の構造内に多く見受けられる有用な化合物である。我々は、さまざまな置換基を有するアニリン誘導体の簡便合成法の開発を目的に検討を行っている。その結果、パラジウム触媒条件を用いることにより、アニリン誘導体の、電子求引基を持つアルケンに対するアザマイケル付加反応が生起することを見出した。また、ピロール誘導体を用い、Diels-Alder反応、続く環化芳香族化により多置換アニリン誘導体が生成することを見出した。(212字)
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原 範之, 中村 修一, 柴田 哲男, 融 健
セッションID: 1P13
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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我々は,これまでにヘテロアレーンスルホニル基を用いる不斉合成手法の開発を行っており,プロリンイミド型の不斉有機触媒を開発し, 生理活性物質である(R)-Convoltamydine 類の高エナンチオ選択的合成に成功している。今回本触媒をさらに高機能化するためにMontmorilloniteに触媒の担持を行い, 回収再利用できる有機触媒の開発を試みた。本固体担持有機触媒を用いてアルドール反応を検討したところ(R)-Convolutamydine類を高収率,高エナンチオ選択的に得ることに成功した。
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柳澤 周一, 植田 桐加, Sylvia Kirchberg, 谷 聡, 山口 潤一郎, 伊丹 健一郎
セッションID: 1P14
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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アリールチオフェンは、薬剤や光・電子機能性有機材料などに数多く見受けられる最も重要な有機骨格のひとつである。我々はこれまでに、チオフェン類の位置選択的な炭素水素結合直接アリール化を可能にするいくつかの触媒を開発することに成功している。これらの開発した触媒のなかにはユニークな位置選択性を発現するものもあり、様々なアリールチオフェン類の迅速かつ自在合成が可能になった。
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山口 敦史, Mandal Debashis, 山口 潤一郎, 伊丹 健一郎
セッションID: 1P15
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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インドール-アジン骨格やピロール-アジン骨格は、生物活性天然物や医農薬化合物に頻繁に見られる"privileged structure"のひとつである。よって、この骨格を直接的に構築する基本的方法論の開発は、医薬品・天然有機化合物の合成戦略を一新する可能性をもつ。今回我々はパラジウム触媒を用いたインドール環またはピロール環とアジン環の新規なC-H/C-H直接連結反応を発見した。
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谷 聡, Kirchberg Sylvia, 山口 潤一郎, 伊丹 健一郎
セッションID: 1P16
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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チアゾールを含むヘテロビアリール化合物は、光・電子機能の宝庫であるばかりでなく、医農薬や生物活性天然有機化合物にも見られる重要有機骨格である。今回、我々はチアゾール環の炭素-水素結合直接アリール化反応を促進する新規なパラジウム触媒を開発することに成功した。今回開発した触媒の最大の特徴は、これまで最も反応性が低いとされてきたチアゾール環の4位を選択的にアリール化できることである。
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喜田 健司, 柴田 悠司, 坂本 健吉
セッションID: 1P17
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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オクタシランの両末端に電子供与性の高いジメチルアミノフェニル基あるいはメチルチオフェニル基を導入し、それらの光物性を調べた。どちらの化合物も極性溶媒中で顕著な二重蛍光を示した。末端芳香族置換基を電子供与体、オリゴシランを電子受容体とする分子内CT励起状態が形成されたためである。オリゴシラン類は芳香族化合物に対して電子供与体となることが知られていたが、鎖長を伸ばすと電子受容体となることが分かった。
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荒巻 吉孝, 山下 誠, 野崎 京子
セッションID: 1P18
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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嵩高いDip基を有する塩基安定化ジフルオロボラン
1、
5a,
5bを合成し一電子還元剤による還元を行った。
1をKC
8を用いて還元を行うと
2を与え、拡散律速条件下で還元を行うと
3を与えたこと、および重水素化実験により、これらの反応はラジカル
4を中間体として転位した反応であることが明らかになった。
また
5a,
5bをLDBBにより還元すると同様のラジカル転位を経由したと考えられる
6a,
6bをそれぞれ与えた。
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大西 展義, 石田 真太郎, 前田 理, 大野 公一, 岩本 武明
セッションID: 1P19
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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今回、ケイ素-窒素二重結合化学種(シランイミン)がTHF中、室温下で速やかに対応するシラエナミンに異性化することを見出した。この異性化は非極性溶媒であるベンゼン中では非常に遅い。一般にLewis塩基は不飽和ケイ素上に配位することでシライミンを安定化するのに対して、今回の結果はLewis塩基が異性化を促進している点で興味深い。この異性化の詳細を理論計算とともに報告する。
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中島 秀人, 竹田 陵祐, 安田 誠, 馬場 章夫
セッションID: 1P20
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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当研究室では、かご型ホウ素錯体がルイス酸触媒として作用し、そのルイス酸性を緻密に調整できることを報告している。本錯体のさらなる特徴として、rigidな骨格構造を有しているため、置換基修飾によって容易に金属周囲の立体環境をデザインできる点が挙げられる。今回、かご型配位子の適切な位置に芳香族置換基を導入することで、金属周囲に芳香族に囲まれた配位空間を構築した。本錯体を用いることで基質選択的反応への応用に成功した。
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武田 貴志, 犬飼 晃司, 田原 一邦, 戸部 義人
セッションID: 1P21
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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オクタデヒドロジベンゾ[12]アヌレン
1に4当量の臭素を加えると、臭素の付加に続く分子内環化が進行し、
syn体と
anti体のヘキサブロモジヒドロインデノフルオレン
2,
3が混合物として得られた (
anti 2 :
syn 3 = 1.0 : 1.7)。HPLCによる精製を行ったところ
2が51%で得られたが、
3は分離中に加水分解され対応するモノケトン
5として30%で得られた。
2と
5は酸性条件で加水分解され対応するインデノフルオレンジオン
4,
6に変換された。本発表では付加環化反応の機構について議論する。
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信末 俊平, 清水 章弘, 田原 一邦, 戸部 義人
セッションID: 1P22
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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新奇な多環状芳香族炭化水素の合成法の開拓を目的として、ブタジイン部位を含むデヒドロベンゾ[14]アヌレン類の分子内での渡環環化について検討した。その結果、ブチルリチウムを求核剤として用いた場合に、分子内での連続環化が起こり、続いて異常な二量化反応を経て、9,9'-ビフルオレニリデン骨格をもつ二量体が生成物として得られることを見出した。二量体以外の生成物の同定をはじめ、ブチルリチウムの付加と環化の反応機構について検討したので報告する。
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西田 博亮, 乙野 元宏, 三河 拓也, 梅田 塁, 西山 豊
セッションID: 1P23
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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我々は、電子豊富なインドールやベンゾフランに、強い電子吸引性能を有するナフトイミドが縮環した新奇なカルバゾール誘導体ならびにジベンゾフラン誘導体の合成を行った。それら誘導体は平面構造を有し、分子内に大きな双極子モーメントをもつことが予想され、新しい機能の発現に期待がもたれる。そこで、それら合成した化合物の基礎的な物性を調べる目的で、紫外可視吸光(UV)および蛍光(FL)スペクトルの測定を行った。種々の溶媒中での紫外可視吸収スペクトルと蛍光スペクトルの測定を行ったところ、メトキシ基が置換した化合物において、それら蛍光スペクトルで顕著なソルバトクロミズムが観測された。
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辻田 耕作, 別所 香菜, 平井 克幸, 北川 敏一, 富岡 秀雄
セッションID: 1P24
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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最近、我々はオルト位にブロモ基とヨード基を2つずつ有する三重項ジフェニルカルベンを発生させ、その半減期が24秒とオルト位にブロモ基を4つ有する三重項ジフェニルカルベンよりも長寿命であることを示した。今回、より安定な三重項ジフェニルカルベンの発生を目的として、立体保護基としてオルト位に4つのヨード基を有するジフェニルジアゾメタンを合成し、その光分解によって発生した三重項ジフェニルカルベンの安定性と反応性を各種分光法およびレーザー閃光光分解法を用いて検討した。
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普天間 健, 岡崎 隆男, 北川 敏一
セッションID: 1P25
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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ケイ素原子を含有する多環式芳香族化合物である9,9-ジメチル-9-シラ-9
H-フルオレン(
1)を低温で超強酸と反応させたところ、ビフェニルと4-ビフェニルスルホニルクロライド(
2)の生成がNMRによって直接観測された。したがって、9,9-ジメチル-9-シラ-9
H-フルオレン(
1)は容易に炭素-ケイ素結合が開裂することが分かった。さらにDFT計算によって、β-シリル効果によって安定化したカルボカチオン中間体を経由することがわかった。
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富盛 祐也, 矢野 友子, 森 重樹, 山田 容子, 宇野 英満, 小野 昇, 奥島 鉄雄
セッションID: 1P26
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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BODIPYは高い蛍光量子収率、鋭い吸収発光スペクトルを持つ色素で様々な分野に応用されている。また、BODIPYにおけるオキサザボリン骨格の形成は、吸収と発光が長波長に及ぶというメリットがある。今回、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格を持たせ、retro Diels-Alder反応によりピロメテンホウ素錯体の合成に成功した。
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宮本 智行, 奥島 鉄雄, 山田 容子, 宇野 英満
セッションID: 1P27
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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ポリイソチアナフテンは、エネルギーギャップ値が非常に低いため、低バンドギャップ高分子のプロトタイプとして有機機能材料への応用が期待されている。しかし、溶解性の低さが問題となっていた。今回、溶解性向上のために、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格を持たせたイソチアナフテン前駆体の合成、及びオリゴイソチアナフテン前駆体の合成に成功した。
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鈴木 克明, 内田 幸明, 能田 洋平, 田村 類, 山内 淳
セッションID: 1P28
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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これまでに合成されたSmC*相を示すキラル有機ラジカル液晶は、表面安定化セル中において強誘電性を示すことが明らかとなっている。また、結晶-液晶相転移時の際に、磁化率の急激な増加が見られ、液晶相中における特異な磁気的相互作用の存在が示唆された。今回は、有機ラジカル液晶中の磁気電気効果を確かめるために、EPR法を用いて磁化率の磁場依存性を測定したので、その結果について報告する。
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渡邉 悠貴, 前田 千尋, 吉岡 直樹
セッションID: 1P29
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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シッフ塩基ニトリドクロム(V)錯体CrN(salpn)は、ニトリド窒素が他分子にアキシャル配位する多量体を形成し、強磁性的にスピン整列することが知られているが、CrN(salen)は多量体を形成しない。以上のことから分子磁性体を構築するために配位子の構造と電子状態が及ぼす効果を検討することは有用であると考えられる。本研究では四座シッフ塩基ニトリドクロム錯体に置換基を導入し、オキソバナジウム(IV)錯体と置換基効果の違いを検討した。
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佐藤 翔矢, 秋田 素子, 西原 禎文, 井上 克也
セッションID: 1P30
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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本研究では、1,3,5-トリアジンを中心骨格に持ったπ共役系の環骨格、またエーテル結合の導入でπ共役の切れた環骨格を有する新規トリスニトロキシドラジカルをそれぞれ合成した。これらのラジカルは、環骨格の違いにより分子の平面性やπ-π相互作用等に違いが現れると考えられ、その構造および磁気的性質について検討を行った。また、中心骨格をベンゼン環に変えたもの、ニトロキシドラジカルの導入位置を変えたものについても合成し、比較検討を行った。
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岩田 聖也, 曾根 靖人, 長谷川 真士, 真崎 康博
セッションID: 1P31
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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二つのテトラチアフルバレンを両末端に一つずつ導入したアレン誘導体を亜鉛試薬とパラジウムのクロスカップリングにより合成した。
1H NMR,
13C NMR, MSスペクトルによりこのアレンの構造を決定した。さらにCV測定では安定なカチオン酸化種に由来する二つの可逆的な酸化還元波が観測された。発表ではこの新規アレンとその酸化種の構造や電子状態について述べる。
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井上 亮太, 長谷川 真士, 真崎 康博
セッションID: 1P32
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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ピリダジンジオールが縮環したTTFは4つの水素結合サイトを有し、溶媒・温度・濃度などによって様々な集合体を作る。我々はこれまでに長いアルキル基を持つ誘導体が、溶液中で会合し三量体を形成していることを報告した。会合状態についてより詳細に調べるために、今回メチルチオ基、エチレンジチオ基を組み込んだ誘導体
1a,
1bを新規に合成し、その構造や共に得られる結晶、ゲルとの相関について明らかにした。本発表では、モルフォロジーによる伝導性の違いと、ベイポクロミズムについても合わせて報告する予定である。
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絹田 貴史, 中野 陽子, 原田 拓典, 佐藤 友宏, 藤木 道也, 黒田 玲子, 松原 凱男, 今井 喜胤
セッションID: 1P33
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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架橋ビナフチル化合物である、(
R)-1,1'-binaphthyl-2,2'-diyl hydrogenphosphate及び、架橋ビフェニル化合物diphenic anhydrideの結晶構造と固体状態におけるキラルな光学特性について検討を行った。Diphenic anhydrideにおいては、アキラルな化合物であるにも係らず、その結晶構造は
P2
12
12とキラルな結晶を構築していた。その結果、両化合物とも固体状態で蛍光特性を示し、固体状態CPL特性を有していることを確認した。
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野口 裕冬, 加藤 真一郎, 中村 洋介
セッションID: 1P34
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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光機能性材料等の骨格として広く利用されているカルバゾールを複数個連結して、ダイマーあるいはオリゴマーとすることにより、カルバゾールの共役系が拡張し、その光物性にも変化が生じると考えられる。そこで本研究では、カルバゾールの連結位置やアセチレンの有無に基づく共役系の違いやカルバゾール間の相互作用を明らかにすることを目的として、種々のビカルバゾール類を合成し、構造と電子的性質を調べた。
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安田 賢司, 加藤 真一郎, 中村 洋介
セッションID: 1P35
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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近年、カルバゾールの1,8位を構造修飾し、機能化することに関心が集まっている。本研究は、カルバゾールの1,8位に芳香環などを導入することにより芳香族同士あるいはカルバゾールとの相互作用を検討するとともに、カルバゾールを基本骨格としたレセプターへ応用することを目的としている。今回、カルバゾールの1,8位にアントラセンやピレンを導入した化合物を合成し、電子不足芳香族化合物との錯形成を検討した。
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鈴木 崇史, 加藤 真一郎, 中村 洋介
セッションID: 1P36
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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我々は最近、カルバゾールの窒素原子上を2-チエニル基で置換した9-(2-チエニル)カルバゾールの蛍光量子収率が、無置換のカルバゾールと比較して著しく低下することを見出した。本研究ではこの結果をふまえ、蛍光スイッチングを示すと予想される、チオフェンの5位にカルバゾール環を導入したジアリールエテン誘導体を合成し、そのフォトクロミック特性や構造変化に伴う蛍光発光挙動の変化について検討した。
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大和 恭平, 瀬恒 潤一郎
セッションID: 1P37
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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2,6-ジピリルピリジンとホルムアルデヒドを用いて三フッ化ホウ素エーテル錯体を酸触媒とするローズムント型縮合反応を行うことにより、メソ位が無置換のピリジン含有環状テトラピロールを合成した。この化合物はアルコール、アミンなどと室温下で混合するだけで容易に反応し、メソ位に種々の官能基が付加することがわかった。他のメソ付加誘導体も合成したので、それらはまとめて報告する。
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花井 美実, Rahman Mohammad Jalilur, 山川 純, 高瀬 雅祥, 西長 亨, 伊与田 正彦
セッションID: 1P38
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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ノナフェニレンの酸化的な脱水素反応を用いて、内部に空孔を持つ長鎖アルキル基を有する環状トリフェニレン三量体を合成した。この分子はアルキル置換基のみを有する比較的小さな分子にも関わらず自己会合によりナノ構造体を生成した。そこで、自己会合挙動について詳細な検討を行うと共に、そのドナー性を利用してアクセプター分子との電荷移動錯体の生成および銀イオンとの相互作用についても検討を行ったので報告する。
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塚口 晋悟, 西田 純一, 山下 敬郎
セッションID: 1P39
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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新しいπ共役系化合物として、新規なキノイド構造を有する拡張インダセン誘導体の合成に成功した。キノイド骨格に由来する優れた両性の電気化学的性質が観測された。本研究では、フェニル置換体、及び2,6-ジフルオロフェニル置換体の合成法とその物性及びX線結晶構造解析の結果について報告を行う。
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西垣 翔太, 林 直人, 吉野 惇郎, 樋口 弘行
セッションID: 1P40
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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特徴あるπ共役系を有するベンゾジフランのπ共役系の拡張と溶解性の向上を目指し、ヘテロアリール置換基を導入した誘導体を合成した。得られた化合物の溶解性は、ベンゼン置換基を持つものと比べきわめて高かった。また電子スペクトルにはかなりの長波長シフトが見られ、π共役系の効果的な拡張が示唆された。発光量子収率についても報告する。
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中川 寛之, 林 直人, 吉野 惇郎, 樋口 弘行
セッションID: 1P41
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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特徴ある酸化試薬として知られているo-及びp-クロラニルを共有結合で連結した二量体を合成し、その構造と酸化試薬としての働きを調べた。いずれも一量体よりも強い電子受容体としての性質を示したが、これはクロラニル部位同士がほぼ直交していることから、主に誘起効果に起因すると考えられる。いずれの化合物も、高い電子受容能のために、9,10-ジヒドロアントラセンとの反応などで、良好な酸化試薬として機能した。
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長坂 佳治, 川瀬 毅, 北村 千寿, 蔵田 浩之
セッションID: 1P42
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
会議録・要旨集
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共役系の縮環によりπ系を拡張したヘテロールは高い酸化還元特性や発光特性が期待され、現在注目されている化合物群である。ビアセナフチレン骨格をもつヘテロール誘導体としては、これまで相当するチオフェン体が知られただけであった。今回、我々はジブロモアセナフチレンを出発物質に2段階で相当するシロールを安定な紫色結晶として、ピロール誘導体を安定な赤色結晶として合成した。
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山口 龍一, 廣戸 聡, 忍久保 洋
セッションID: 1P43
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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ヘキサベンゾコロネン(以下、HBC)は、広大なπ共役平面を持ち、超分子マテリアルへの展開についても広く研究されている化合物である。従来のHBCへの置換基導入は、HBC骨格形成の前段階にのみ限られており、その修飾法は限定的であった。本研究では、Ir触媒を用いた直接ホウ素化反応により、HBC周辺の直接官能基化に初めて成功し、ヒドロキシ基、カルボニル基への変換にも成功した。カップリング反応を用いた、HBCへの多様な修飾による応用が期待できる。
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林 陽介, 山口 滋, 忍久保 洋
セッションID: 1P44
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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ボロンジピリン(BODIPY)は、高い蛍光量子収率、シャープな吸光、蛍光スペクトル、高い光学的、化学的安定性などの有用な特性により高い注目を集めている蛍光材料である。本研究では、β位を選択的にブロモ化したBODIPYとパラジウム触媒を用いて、β結合BODIPY多量体の合成に成功した。今回はその合成法や、光学的特性、応用などについて報告する。
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鈴木 勝也, 神谷 拓輝, 廣戸 聡, 忍久保 洋
セッションID: 1P45
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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ジアリールエテンはフォトクロミック材料として注目されている。しかし、その合成は効率が悪く、基質が限定されていた。今回、取り扱いの容易な1,2-dichlorohexafluorocyclopenteneを基質にクロスカップリング反応により簡便かつ高収率にジアリールエテンを合成する方法を開発した。この反応は様々なボロン酸に応用可能であり、これまで合成が困難であった官能基をもつジアリールエテンの合成にも成功した。また、ジアリールエテンの直接官能基導入にも成功したので併せて報告したい。
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谷口 拓弘, 山口 茂弘
セッションID: 1P46
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンはベンゼンと等電子構造を有し、特にπ電子系材料の基本骨格としての潜在性に興味がもたれる。我々は、1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンの3,6位でπ共役骨格を拡張した誘導体が、窒素上を保護したジピロリルボランからの環拡大反応により得られることを見いだした。この分子は対応するベンゼン誘導体と比較して長波長に吸収および蛍光極大を示し、また極めて高い蛍光量子収率をもつことが分かった。X線結晶構造解析、サイクリックボルタンメトリー測定、分子軌道計算の結果、拡張したπ共役骨格において1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンはベンゼン環よりもシクロヘキサジエンに近い性質をもつことが明らかとなった。
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小池 護, 長谷川 真士, 真崎 康博, 大谷 裕之
セッションID: 1P47
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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非対称2-アミノトロポン-5-イルブタジイン分子として、ブタジイン構造で拡張した5-アリール-2-アミノトロポン類を設計し、その合成ルートとその吸収特性や蛍光特性について検討した結果を発表する。本発表では、5-ジメチルアミノベンゼンが置換した表題分子のX線結晶構造解析の結果についても報告する。また、溶液状態における表題分子の光物性と対称型ビス(2-アミノトロポン-5-イル)ブタジイン類の光物性とを比較した結果についても併せて報告する。
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工藤 令奈, 長谷川 真士, 真崎 康博, 大谷 裕之
セッションID: 1P48
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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5-ピレニルエチニル-2-モノアルキルアミノトロポン類(トラン型トロポノイド分子)として,2-プロピルアミノ体,2-ドデシルアミノ体および2-ジエチレングリコキシ体を設計・合成し,その吸収・蛍光特性を比較検討した。また,これらの金属錯体の生成についても検討し,2-プロピルアミノ体と2-ドデシルアミノ体は2価金属イオンと2:1錯体を形成し,2-ジエチレングリコキシ体では1:1錯体を形成することを明らかにした。
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前田 大光, 高山 真由美
セッションID: 1P49
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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非環状型アニオンレセプターであるジピロリルジケトンホウ素錯体のホウ素周辺をフッ素、酸素、炭素ユニットで置換した種々の誘導体を合成し、これらのホウ素周辺修飾レセプターの光物性やアニオン認識能を比較検討し、さらに共有結合多量化への展開を試みた。たとえば、各種ホウ素周辺修飾体において、レセプター骨格への置換基導入による蛍光量子収率が大きく異なり、光物性の制御が可能であることが示唆された。
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坂東 勇哉, 前田 大光
セッションID: 1P50
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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π共役系非環状型アニオンレセプターであるジピロリルジケトンホウ素錯体の分子骨格、とくにホウ素周辺にキラルユニットを導入した誘導体の合成を行った。ピロールβ位にπ拡張ユニットを導入することで、アニオン会合にともなうピロール環反転による劇的な構造変化を誘起し、アニオン選択性の制御や電子・光物性の変調を検証した。
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堀越 敬史, 鈴木 修一, 杉村 亮治, 小嵜 正敏, 木本 健嗣, 野崎 浩一, 岡田 惠次
セッションID: 1P51
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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我々は、先にトリフェニルアミン (D) およびナフタルジイミド (A) 誘導体をベンゼン環にペンダント型に置換したDA連結ユニットを合成し、これを2つ導入したビピリジン白金錯体が比較的長寿命の電荷分離状態を生成することを観測した。白金部の吸収波長やDA部との距離の効果を明らかにするために、今回、ジピリジルベンゼン白金錯体にDA連結ユニットを1つ導入した分子を合成し、この分子の光電子移動過程を検討した。
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中村 健一, 馬場 優美, 橋本 有未, 白旗 崇, 宮本 久一, 長谷川 真士, 真崎 康博, 御崎 洋二
セッションID: 1P52
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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テトラチアフルバレン(TTF)は分子性導体のドナー成分として知られている。高い伝導性をもたせるは、TTF間を電荷が非局在化するface-to-face相互作用が存在している。そのような相互作用は、さまざまな架橋鎖を持つTTFオリゴマーの酸化状態でも確認されてきた。しかしTTF部位が多くなれば酸化還元挙動は複雑になり、挙動の解明にはいたっていない。
そこで本発表では、フレキシブルな架橋鎖をもつTTFオリゴマーを合成してサイクリックボルタンメトリ-測定、電子スペクトル測定、X線結晶構造解析、分子軌道計算から検討した。
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山口 修平, 小和田 俊行, 大江 浩一
セッションID: 1P53
発行日: 2011年
公開日: 2012/03/29
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我々は既に630 nm以上の領域で強い蛍光を示すBODIPY誘導体1を報告している。今回、インデノピロール骨格の6位を修飾した2-4を新たに合成した。これらは1に比べ吸収および発光波長が長波長シフトした。3と4については、pHや溶媒の極性によって分子内電荷移動による吸収および発光波長の変化が見られ、条件により、750 nm以上の近赤外領域での発光を示した。ピリジン骨格を有する5についても合わせて報告する。
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