La mer
Online ISSN : 2434-2882
Print ISSN : 0503-1540
54 巻 , 3-4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 許 敏, 小松 輝久
    2016 年 54 巻 3-4 号 p. 43-53
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/05/19
    ジャーナル オープンアクセス
    アカモクは流れ藻を構成する最も重要なホンダワラ類の1種である。抗力は,基質から海藻を引き剥がす最も重要な要因である。2014 年4 月および2015 年2 月に,鍋田湾において,40cm 以上の葉状部をもつアカモク個体を0.5m s-1から4.0m s-1の間の一定速度でボートから曳航し,これらの個体にかかる抗力を計測する野外実験を行った。葉状部の基部に伸長しないテグスを結び,パイプの内部を通して,舷側から鉛直方向に固定したポールの下端およびに船上の上端に摩擦の少ないプーリーを介して,テグスを張り,バネばかりに結んだ。パイプの下端は,葉状部が海面下の位置を保つように水深1m に沈めた。葉状部と海水の相対的な流速は,パイプの下端に取り付けたフローメータで連続的に計測した。その結果,葉状部の長さおよび流速が増加すると抗力は増加し,およそ流速の3/2 乗に比例することが分かった。レイノルズ数(Re)が104から106の範囲では,アカモクの抗力係数Cd は,:Cd = 18.295Re-0.571の式で表された。
  • 東薗 圭吾, 山口 一岩, 多田 邦尚, 一見 和彦
    2016 年 54 巻 3-4 号 p. 55-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/05/19
    ジャーナル オープンアクセス
    瀬戸内海備讃瀬戸に位置する新川河口域において海水試料を現場で培養し,Chl a 濃度の比増殖速度と一次生産速度について年間を通じた測定を行った。培養海水中の栄養塩は,試験期間を通じて,培養終了時にも植物プランクトンの増殖を制限しない濃度で残存していた。また,調査海域は海底まで十分量の光が透過する上,浅海域の特徴である強光条件による一次生産速度の抑制も観察されなかった。これより,光強度も本調査域の一次生産速度を制限する主な要因ではなく,最も重要な環境因子は水温と考えられた。Chl a 濃度は,低水温期には増加が認められなかったが,高水温期(7 月~9 月)は大きく増加し,比増殖速度として0.3-0.4/h を示した。一次生産速度も高水温期に高く,2015 年8 月には著しく高い460 μg C/l/h を記録した。一方,水温およびPAR から算出した月ごとの一次生産速度は0.01~1.13 g C/m2/day と見積もられ,他の河口域や沿岸域と同様の範囲にあった。
  • 和  吾郎, 木下 泉, 茨城 重田 裕佳
    2016 年 54 巻 3-4 号 p. 73-84
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/05/19
    ジャーナル オープンアクセス
    土佐湾西部海域の四万十海底谷周辺における栄養塩水準,湧昇発生の有無,基礎生産の状況を明らかにすることを目的とし,2010 年の四季(1,5,8,11 月)に栄養塩とクロロフィルa の鉛直分布を調べた。栄養塩濃度は各季節とも無光層となる100m 以深で濃度が上昇し,海底谷内の底層(300m 層)で最高濃度を示した。その年平均値と土佐湾西部海域に最大の淡水量を供給する四万十川下流部の既往報告値とを比べると,硝酸+亜硝酸塩とリン酸塩は海底谷が高く,豊富な栄養塩が存在することが明らかとなった。8 月の観測では海底谷内の栄養塩の高濃度層が上層側に拡大し,湧昇によって有光層まで輸送されている状況が認められた。その際のクロロフィルa 量は海底谷縁辺の亜表層で年最大値となる極大層が出現し,基礎生産が活発であった状況が確認された。各観測時の黒潮流路は湧昇が生じていた8 月のみ接岸していたのに対して,他季はいずれも離岸していた。以上のことは,黒潮の流路変動が当水域の湧昇発生の有無に関与し,接岸した際に海底谷内に豊富に存在する栄養塩が有光層まで供給され,基礎生産の向上に貢献することを示している。
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