La mer
Online ISSN : 2434-2882
Print ISSN : 0503-1540
53 巻, 3-4 号
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  • 千手 智晴
    2015 年 53 巻 3-4 号 p. 43-51
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/06/27
    ジャーナル フリー
    日本海の大和海盆深層に音響ドップラー流速プロファイラー (ADCP) を係留し、非常に高い時間分解能で流速を測定することにより、近慣性内部波 (NIW) の鉛直伝播を観測した。流れと水温の計測値には NIW と関連した近慣性周期の変動が認められ、また流向の偏向度から NIW の鉛直•水平波数として 1.741 × 10-3m-1および2.563×10-4m-1が見積もられた。観測された流速の位相は下向きに 5.34×10-2 ms-1の速度で伝播しており、このことは上向きの群速度をもつ NIW の存在を示している。観測点を通る NIW のエネルギーレイパスの逆追跡から、観測されたNIWは表層で生成された内部波が下層に伝播し、海底で反射したものであることが示唆された。また観測された NIW の原因の一つとして、時計回りの風向変化イベントが示唆された。
  • 西野 康人, 佐藤 智希, 谷口 旭
    2015 年 53 巻 3-4 号 p. 53-60
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/06/27
    ジャーナル フリー
    北海道のオホーツク沿海域にある能取湖は、冬期に全面凍結する海水湖である。4月中句から12月中旬までは、オホーツク海との海水交換がある一方で流入河川はごく少ないために、湖内水はオホーツク海水に等しいことが明らかになっている。しかし、結氷期の調査研究例はほとんどなく、冬期間の湖内環境は不明である。本研究では、2008年2月6日から3月18日までの結氷期間に、水柱中と海氷中のクロロフィル a の経時変化と環境の変化を調査した。その結果、期間を通じて、海氷上面の太陽放射の1%に相当する光が海氷下6-10mまで到達し、水中には0.4-6.0mg/m3のクロロフィルa があり、水深18mまでの積算量は8.7-119.1mg/m2に達することが分かった。この間、厚さ20-31cmの海氷中の積算クロロフィルa 量は2.2-10.1mg/m2であった。クロロフィルa の積算量では、アイスアルジーの寄与度は小さいようにみえるが、平均濃度では海氷中の値は8.3-40.1mg/m3と顕著に高く、その分布は海氷下部に集中しているため、海氷直下の水中の一次消費者にとって利用しやすいものと考えられた。さらに、期間の途中で大型サイズのアイスアルジーが海底に直接沈下している可能性が示唆された。
  • 小針 統, 細内 草太, 森 晴子, 大田 秀久, 福田 隆二, 内山 正樹
    2015 年 53 巻 3-4 号 p. 61-71
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/06/27
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾北部におけるCalanus sinicus の個体群構造および深度分布の季節変動が調べられた。本種は、クロロフィルa 濃度が高かった4月から6月まで多く出現した。コペポダイト幼体初期および成体は周年出現したが、コペポダイト幼体5期は個体数密度が最少だった2009年8月と2010年7月に優占した。全ての発育段階が50m以浅と100m以深に周年出現したため、季節的鉛直移動は不明瞭だった。RNA:DNA比は、周年極端に減少することはなかった。これらの結果は、鹿児島湾北部ではC. sinicus が周年再生産を行っており休眠しないことを示唆している。
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