ラテンアメリカ・レポート
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論稿
  • 岡田 勇, 大沼 宏平
    2021 年 38 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
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    2019年のボリビア大統領選挙では、社会主義運動(MAS)の候補であったエボ・モラレスと次点候補との得票差が接近するなかで選挙不正が疑われ、モラレスが辞任・亡命する混乱に陥った。しかし、その1年後に行われたやり直し選挙では、MAS候補のルイス・アルセが得票率を積み増して当選を果たした。このようなMASの失墜と再来はどのように理解できるだろうか。本稿は、MAS派と反MAS派が西部5県と東部4県および農村部と都市部に安定的な支持基盤を有する構造性を指摘したうえで、多くの場合、選挙での多数決でこの構造的対立は解決されるが、党派対立と選挙プロセスへの不信が高まれば2019年選挙のような混乱が今後も起きかねないことを論じる。また、2019〜20年の反MAS派による暫定政権への不満や、MASの組織的動員力の高さ、そして反MAS派の分裂傾向がMASの復権をもたらしたことも指摘する。新アルセ政権は、こうした構造的な党派対立と社会経済面で山積する課題に対処することが求められる。

    Editor’s picks

  • 舛方 周一郎
    2021 年 38 巻 1 号 p. 14-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
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    2020年11月、各市町村の首長と議員を決めるブラジル統一地方選挙が実施された。今回の地方選挙はCOVID-19の感染拡大の影響をうけて選挙日程が延期になるなど異例であった。大勢では、現職のボルソナロ大統領の政治力に便乗した候補者と、2016年8月まで国政において政権政党を務めていた労働者党が惨敗した一方で、中道・保守派政党が勝利した。今回の市長選挙ではとくに、現職市長が立候補した場合、再選する傾向が高いことが確認できた。しかしブラジルの二大都市の市長選では、サンパウロ市ではコバス市長が再選したものの、リオ市ではクリベラ市長は敗戦するなど、両市長の明暗は分かれている。こうした違いが生まれた要因を、コロナ禍における保健医療や治安、汚職問題などの市政運営への評価と、市長と福音派有権者との関係性などからも読みとることができる。さらに地方選挙の終了後、2022年大統領選挙にむけたブラジルの政治情勢は、ボルソナロ大統領の優位からルーラ元大統領の優位に変化している。しかしどの候補者にとっても、福音派の支持をいかに取り込めるかが今後の鍵となりうる。

    Editor’s picks

  • 磯田 沙織
    2021 年 38 巻 1 号 p. 28-43
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
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    ペルーでは1990年代以降、約30年にわたって新自由主義経済政策が実施されてきた。その過程でマクロ経済は安定したものの、地方を中心に貧困状態が改善されない人々の不満が蓄積されてきた。他方、次々と出現する個人政党が組織化されないまま民主体制が維持され、誰が大統領に当選しようとも新自由主義経済政策が維持される「自動操縦(piloto automático)」であると揶揄されてきた。また、1990年代以降の大統領はすべて汚職などにより実刑判決を受けたり、捜査対象になったり、あるいは捜査の最中に自殺したことで、有権者の政治家に対する不信は強まっている。こうした新自由主義経済政策に対する不満、既存の政治家に対する不信の蓄積により、2021年総選挙において左派の泡沫候補が一次投票を1位通過し、決選投票においても過半数を上回る票を獲得した。本稿では、2021年総選挙の過程でペルーの分断が可視化されたことに関して、フジモリ派と反フジモリ派が二分してきたこと、都市部と農村部の格差が継続してきたことを中心に考察する。

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  • 清水 達也
    2021 年 38 巻 1 号 p. 44-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
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    ペルーでは近年、財政に余裕があるにもかかわらず、公共事業による社会経済インフラの整備が進んでいない。2020年以降はコロナ禍で医療施設の不足が問題となったが、2010年代に入って公共事業として整備に取り組んだ49の病院建設のうち、これまでに稼働しているのは3分の1に満たない。2016年に始まったクチンスキ政権が優先課題として取り組んだ大規模インフラプロジェクトも、相次いで遅延または頓挫している。

    ペルー政府は2000年代以降、公共事業の推進に向けたさまざまな取り組みを行ってきた。事業を一括して民間企業に委ねる官民連携や、民間企業による納税に代わる公共事業など、民間部門のノウハウを取り入れることで、従来の政府調達による公共事業の問題を克服しようと試みてきた。しかしこれらの取り組みでも、さまざまな問題が生じている。

    このような状況のなかで最近注目を浴びているのが、外国政府からの支援を受けて大規模な公共事業を実施する政府間合意という方法である。2019年パンアメリカン競技大会をリマで開催するために、ペルー政府はこの方法を用いて準備を進め、大会を成功させた。今後はほかの公共事業でもこの方法を採用することで、大規模なインフラ整備の加速を目指している。

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