ラテンアメリカ・レポート
Online ISSN : 2434-0812
Print ISSN : 0910-3317
39 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論稿
  • 三浦 航太, 北野 浩一
    原稿種別: 論稿
    2023 年 39 巻 2 号 p. 1-16
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/31
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    2022年9月4日に行われた新憲法案承認をめぐる国民投票の結果、1年にわたり制憲会議で作成されてきた新憲法案は否決された。本稿の目的は、なぜ新憲法案が否決されたのかを検討することにある。まず、制憲会議には市民社会組織での活動経験をもつ多様な関心テーマや政策提案をもつ議員が多数選出された。制憲会議では、そうした特徴をもつ議員たちによる個別の発議をもとに、議論が進められた。その結果、多民族国家の規定、上院の廃止、私的所有権の制限、社会保障、教育、ジェンダーといった社会変革をめざす各論点が、グランドデザインを欠いたまま浮上した。左派寄りの議員構成もあり、それほど合意形成を経ることなく、新憲法案に盛り込まれた。当初から新憲法制定に否定的な右派や保守的な層の国民の反対だけでなく、とくに多民族国家の規定に対する国民の懸念は大きく、政治的立場、価値観で中道に位置する国民の支持を大きく失い、国民投票での大差の否決に結び付いたと考えられる。

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  • 柴田 修子
    原稿種別: 論稿
    2023 年 39 巻 2 号 p. 17-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/31
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    2022年に行われたコロンビア大統領選挙で、グスタボ・ペトロ候補が当選した。コロンビア初の左派政権誕生であることや副大統領候補がアフロ系女性であること、従来の伝統的政党の潮流を汲んでいないことなどから、今回の選挙は歴史的転換ととらえられている。そこで本稿では、歴史的転換がなぜ起こったのかを分析する。まず選挙制度改革によって左派勢力が参加する余地が生まれたことを概観し、選挙プロセスをたどりながらペトロの勝因を分析する。勝因として既成勢力への批判、左派勢力の一本化、社会運動の影響があったことを明らかにし、おわりに今後の展望を述べる。

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  • 尾尻 希和
    原稿種別: 論稿
    2023 年 39 巻 2 号 p. 30-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/31
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    2022年のコスタリカ国政選挙では、与党PACが歴史的な惨敗を喫したが、大統領に選出されたのは、無名の新規政党から出馬し、長い海外在住から帰国してまだ数年と、政治経験のほとんどないエコノミストであるロドリゴ・チャベスであった。コスタリカでは2017年から財政悪化が取り沙汰されていたが、少数政権であるPACが伝統政党と組んで粛々と財政改革を実行する姿に有権者が幻滅し、「変革」を掲げるチャベスが勝利したと考えられる。本稿では、PAC政権のもとで進められた財政改革と、それが選挙戦に及ぼした影響、さらにチャベス新政権のこれまでの政策を紹介する。そして最後に、公務員を含むコスタリカの中間層が財政改革で大きく影響を受けるため、チャベス政権が中間層と折り合いをつけることができるのかが問われることになることを示す。

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  • 坂口 安紀
    原稿種別: 論稿
    2023 年 39 巻 2 号 p. 42-56
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/31
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    ベネズエラは2014年以降7年連続のマイナス成長が累積し、経済規模(GDP)が5分の1に縮小するという未曾有の経済危機を経験した。同時にハイパーインフレにも悩まされた。それが2021年後半以降、経済成長率がプラスに転じるとともにインフレ率が100%台にまで低下した。ベネズエラ経済が好転の兆しをみせている背景には何があるのか。本稿では、「やむにやまれぬ」マドゥロ政権による国家介入型経済政策の緩和と事実上のドル化の広がりを指摘する。

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