理学療法の歩み
Online ISSN : 1882-1464
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30 巻, 1 号
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特別寄稿
  • 近藤 和夫
    2019 年 30 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル フリー

    高齢化社会の中で心不全患者が増加する「心不全パンデミック」が到来している。高齢心不全患者は重複障害を合併していることが多く,心大血管リハビリテーション施設だけではなく,他の疾患別リハビリテーション施設,介護老人保健施設そして在宅とあらゆる場面でコメディカルは循環器疾患と向き合わなければならない。コメディカルとして,基礎疾患,服薬などの治療内容,ペースメーカー設定,栄養状態などをよく理解し,リスクを管理しながら活動時の評価をおこない,身体機能障害を改善させることが求められる。また,ADL,QOLを向上させることに寄与するだけではなく,疾病管理によって心不全増悪による再入院の予防に向けた関わりをする必要がある。そして,長期にわたる患者サポートをおこなえるよう努め,アドバンスケアプラニング(ACP)について準備していくことが望まれる。

  • 藤澤 宏幸
    2019 年 30 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル フリー

    動作分析は理学療法において最も基本となる評価法の一つであることは論を俟たない。我々は動作分析の体系化を進めており、動作分析を日常動作分析と特定課題分析に大別している。日常動作分析は、起居動作および歩行を分析対象とし、対象者がその状態で普通に行う動作を分析するものである。この場合、正常範囲の運動パターンとの比較により、異常性を判断する。もう一方の特定課題分析は、ある運動機能が重要となる課題を与えて、その運動機能の優劣を判断するものである。臨床においては日常動作分析と特定課題分析を組み合わせながら、日常動作を効率よく行えない原因、すなわち機能低下を分析してゆく。本稿では、我々が体系化を進めている「データに基づいた臨床動作分析」の概要を説明したのち、運動機能低下を絞り込むために重要な特定課題分析について、身体運動学的観点から根拠を示したい。先にも述べたように、特定課題はある運動機能に焦点をあてており、治療へも応用可能という点で重要である。特定課題分析の意義を理解することで、的確な仮説のもとに治療が可能になるということを共有したい。

研究報告
  • ―上肢への教示と下肢への教示の運動学習効果―
    我妻 昂樹, 鈴木 博人, 村上 賢一, 鈴木 誠, 藤澤 宏幸
    2019 年 30 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル フリー

    〔目的〕フォームに着目した運動学習課題として膝立ち位でのファンクショナルリーチ(FR-k)を取り上げ,Internal Focus of Attention(IFA)のより優れた教示内容を明らかにすることを目的とした。〔対象〕健常青年18名とした。〔方法〕プレテストにてFR-k距離及び重心位置を測定した後,上肢へのIFA教示群(IFA-U)と下肢への教示群(IFA-L)の2群に割り付け,各群30試行の練習を実施させた。また,練習期間終了後の翌日と1週間後における保持テストを実施した。〔結果〕FR-k距離については両群で即時的に有意な変化が認められ,運動学習効果が確認された。また,保持テストにおいて群間で有意な差があり,IFA-L群の方が優れたパフォーマンスを示した。〔結語〕FR-kにおいて,下肢への教示は上肢への教示よりも,運動学習に優れた効果を示した。

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