理学療法の歩み
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33 巻, 1 号
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特別寄稿
  • 藤澤 宏幸
    2022 年 33 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/06
    ジャーナル フリー

    近未来の日本においては,個人の健康意識がより高まるものと考えられる。それは単に身体的側面のみならず,精神的,社会的側面にも考慮されたものでなければならない。その意味で国際生活機能分類における生活機能モデルは活動,参加を促すために医療人として何が出来るのかを検討するツールとして有用であることは間違いない。また,行為のレベルで対象者の生活を考えることも求められている。しかし,理学療法士の専門性を考えた場合には,治療モデルが必要であることも事実である。生活機能モデルと連結可能な治療モデルを構築することは喫緊の課題であり,さらには社会的に求められている予防の観念も包括したモデルが必要である。本論では,その一つの提案として行動制約モデルを取り上げ,予防を射程に入れた理学療法における治療モデルについて説明する。

  • 中村 雅俊
    2022 年 33 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/06
    ジャーナル フリー

    「じゃあ今からストレッチしますね」と理学療法士の先生なら一日一回,もしくは複数回,口に出している言葉だと考えられる。このストレッチングに関する知識についてアップデートをするということを目的に第 24 回宮城県理学療法学術大会で講演を行った。今回は,その内容をまとめ,更にその情報よりも新しく情報をアップデートしたものとなっている。しかしながら,医学というものは日進月歩で進んでおり,本稿の内容が最新のものではないと確信しており,今後も新しく情報が追加・更新される。そのため,本稿で期待すべきこととしては,現在のストレッチングに対する知見について現在の情報をアップデートすることだけではなく,新しいエビデンスを確立するための情報を築くための研究や発表を行うため基礎情報となることを楽しみにしております。

  • 平山 和哉
    2022 年 33 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/06
    ジャーナル フリー

    超音波診断装置(以下,エコー)は単なる画像診断装置ではなく,新たな治療を創出するツールとして運動器診療での活用範囲が拡大しつつある。本稿では初学者向けに運動器エコーに関する基本的な知識を紹介しつつ,理学療法士による活用方法について述べる。 エコーはプローブを当てて即評価ができるその簡便性が最大の長所であり,医師は診断のみならずエコーガイド下注射など診療の補助ツールとして活用している。理学療法士にとっては,触診や体表解剖の触診ツールとして,理学療法評価や治療の補助ツールとして活用できる。例えば,関節可動域制限の制限因子の特定,筋断面積,筋線維長,筋輝度といった筋機能の評価が可能である。さらに近年注目されるfasciaの観察も行うことができ,多職種の共通言語としてエコーを使用することで異常fasciaによる疼痛,伸張性・滑走性の低下に対する評価・治療に役立つ。

短 報
  • 鈴木 誠, 鈴木 博人, 阿部 玄治, 平山 和哉, 長井 真弓
    2022 年 33 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,中学生の運動器の状態を把握することを目的に,身体柔軟性及び疼痛部位とその有訴率の傾向についてそれぞれ調査することとした。対象は,某中学校の運動部に所属する1・2年生の生徒計173人であった。柔軟性テストは,①しゃがみ込み動作,②立位体前屈,③両上肢挙上,④背部での両手合わせの4種目を行った。疼痛部位調査は,紙面による質問方式をとった。結果,しゃがみ込み動作不可の者が40人(23.1%),立位体前屈不可の者が70人(40.5%),両上肢挙上不可の者が6人(3.5%)であった。また,背部での両手合わせは,左肩関節外旋位と右肩関節内旋位の構えにおいて不可と判定された者が46人(26.6%),右肩関節外旋位と左肩関節内旋位の構えにおいては11人(6.4%)であった。疼痛部位の有訴率は,右膝関節では20.2%,左膝関節では19.7%であった。今回の調査結果を踏まえ,更なるデータを積み重ね,より充実した一次予防(疾病予防)の取り組みを構築していく必要がある。

活動報告
  • 三田村 徳
    2022 年 33 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/06
    ジャーナル フリー

    理学療法における国際事業や交流は重要であるが,国際分野に関わる人材や地域での活動は少ない。独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency;以下JICA)における,JICA海外協力隊への参加動機からフィジー共和国(以下フィジー)での活動を報告する。フィジーの概要とともに理学療法の現状や経験,そこから見えてきた課題と展望について考察した。また,今年度より宮城県理学療法士会に「国際交流・支援等委員会」が設立された。その背景として,世界や国内における理学療法の重要性や日本理学療法士協会における国際事業や国際交流の活動を紹介する。

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