改良9Cr-1Mo鋼のミクロ組織に及ぼす冷間加工と焼戻し熱処理の影響の違いをXRD,ECCI法およびEBSD法を用い,調査した。冷間加工を模擬した引張中断試験を実施した。試験片に付与したひずみ量は0〜20%である。引張中断試験片と同程度の硬さを有する熱処理材を作製するため,焼戻し熱処理を700〜760℃で0.25〜6 h実施した。
予ひずみ材と熱処理材の転位密度を測定するためにXRDを実施した。ECCI法およびEBSD測定からラス幅,析出物の間隔および大角粒界の間隔をそれぞれ測定した。
予ひずみ材と熱処理材では同じ硬さであっても,ラス幅,析出物および転位の間隔が異なった。予ひずみ材の転位下部組織は熱処理材と明らかに異なった。