減圧浸炭は,処理時間短縮およびコスト・CO2の削減が可能な熱処理強化技術として注目を浴びている。さらなる処理時間の短縮には,処理温度の高温化が必要であるが,これまでには1323Kまでしか知見が無く,それ以上の温度における浸炭現象は明らかになっていない。そこで今回,1373 K・減圧下において,浸炭中のテストピースの重量変化をリアルタイムに計測することによってセメンタイトが発生するタイミングを明らかにし,1373 K・減圧下におけるセメンタイトが発生するまでの浸炭現象は,1323 Kまでと同じであることを示した。また,1373 Kで浸炭する際にエッジ部のセメンタイトの発生を抑制するために,エッジ部の炭素濃度を予測できる数値解析モデルを確立した。最後に,前述の解析結果と統計学の一つである遺伝的アルゴリズムを用いて,エッジ部にセメンタイトを発生させない状態で,最も短い時間での浸炭パルスパターンを導出した。