窒化により優れた硬化とその深さを示すFe-2.0Al-xV-0.2C(x=0.0~1.0)合金の硬化機構の解明を目的に,窒化層組織及び合金窒化物や炭化物の析出形態を調査した。V添加により母相に析出したVCは,Alが添加されることでその成長は抑制された。続く窒化に伴い,窒素拡散層にはVCから反応したV(C,N)が析出することで拡散層の硬さが増加した。Alのみ添加したFe-2.0Al-0.2C合金では窒化に伴いAlが表面近傍へ拡散して濃化しAlNを形成するが,Fe-2.0Al1.0V-0.2C合金ではVの添加によりAlの拡散が抑制されて,窒化層域に均一に分布しAlNを形成した。これらAlとVの共存によってV(C,N),AlNが窒素拡散層に析出して硬さや硬化深さを向上させることが推測される。