リチウム添加塩浴軟窒化処理によって形成されるFe-0.4mass%C合金の表面組織とその成長挙動について研究した。アーク溶解により作製したFe-0.4mass%C合金を用い,Li+,Na+ およびK+と共にCNO-およびCN-からなる823 Kの溶融塩浴にて0.1~10 h塩浴軟窒化処理を行った。まず表面には化合物層が形成する。1.0 h処理後では化合物層直上に酸化層が形成し,その後は各層が成長し厚さが増す。化合物層の柱状晶界面には内部酸化物が形成する。これらの酸化物はNaCl型構造のLixFe1-xOであり,その成長は酸化層中の鉄の拡散に律速される。一方,化合物層は,表面側ではε-Fe2(N,C)1-y相,母材近傍ではγ’-Fe4(N, C)1+z相からなることが分かった。
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