人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第37回 (2023)
選択された号の論文の942件中251~300を表示しています
  • 川﨑 春佳, 茂木 比奈, 西田 知史, 小林 一郎
    セッションID: 2F1-GS-1-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,音楽を聞いた際のヒト脳内の情報処理に関する性差の解明を目的に,機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)で計測された脳活動に対し,Representational similarity analysis(RSA)を適用することにより,性差および個人差のある関心領域(Region of interest, ROI)について調査した. また,性差に関わるROIと個人差に関わるROIに差があるのかを調査するために,性差と個人差の有意差を検定した. その結果,性差および個人差の大きいROIを見てとることができたが,今回の手法では性差を個人差以上のものとして見出すことはできなかった.

  • 林 涼太, 馬目 信人, 高橋 達二, 篠原 修二
    セッションID: 2F1-GS-1-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    コミュニケーションにおいて, 人間は発話や表情などの外部情報と, 感情やきもちなどの内部情報をもつ. 円滑なコミュニケーションのためには, 相手の内部情報を推定しながら話す必要があるが, 直接観測することができない内部情報は直接観測できる外部情報をもとに推定する他ない. この推定を可能にする手段のひとつとしてベイズ推定が挙げられる. ベイズ推定は、予めいくつかの仮説を準備しておき, 観測データに基づいて最も適切な仮説を絞り込んでいく推定手法である. この手法は推定対象が定常の場合は非常に有効であるが, 人間の感情のように時々刻々変化する場合, 何らかの対処法が必要である. そこでベイズ推定に認知バイアスのひとつである対称性バイアスを組み込むことで, 忘却率と学習率を導入した拡張型ベイズ推定に着目する. 本研究では, この推定手法を搭載した2体の意思決定エージェントが互いの内部に持つ生成モデルを推定しあうコミュニケーションゲームをシミュレートすることで, この推定手法の有効性を検討する.

  • 小梛 拓真, 水野 一徳, 鈴木 陽介
    セッションID: 2F1-GS-1-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    大規模な制約充足問題(CSP)の解決するための手法の一つとして,蟻コロニー最適化(ACO)が研究されてきた.ACOは,CSPを解くのに有効であるが,大規模な組合せ問題において,局所最適解に陥ってしまうことで解の発見が難しい場合がある.そこで,局所最適解を回避するためにLévy Flight(LF)を用いたACOアルゴリズムであるLévy ACOが提案されている.Lévy ACOは,ACOの局所的探索にLFによる大域的探索を織り交ぜることで局所最適を回避している.しかし,LFの使用頻度を決定するパラメータ(LFパラメータ)が固定化されていることにより,探索の効率が低下してしまう場合がある.そこで本研究では,Lévy ACOのLFパラメータを,探索進度に応じて動的に調整できる方法を提案する.本手法が,大規模かつ解決困難なグラフ彩色問題に対して,従来手法よりも有効性が高いことを示す.

  • 梅村 恭司, 廣中 詩織, 高本 綺架, 高橋 茶子
    セッションID: 2F1-GS-1-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    ルールマイニングにおいて,ルールを構成するアイテムが低頻度のケースをどのように扱うかという問題がある.ルールマイニングのアルゴリズムには,低頻度の問題に関係する調整パラメータが存在する.通常,パラメータの値を決定するには検証データとして正解ルールが必要だが,正解ルールの入手は難しい.我々は,アルゴリズムが出力するルールの強さの推定値の集合に注目すると,そのヒストグラムの滑らかさとパラメータの最適値に関係があることを発見した.ヒストグラムの作成には正解ルールの情報を使用しない.この論文では,ヒストグラムを利用してパラメータを決定する,教師なしの方法を示す.

  • 吉添 衛, 服部 宏充
    セッションID: 2F4-GS-5-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    現在,都市部における車の渋滞により引き起こされる排気ガスなどの環境問題や、電気自動車・自動運転車に適した交通環境の整備は社会的に大きなテーマであり,これらを考慮した様々な交通施策の検討が進んでいる.一方で,施策や交通法規を実社会に導入することによる交通流への影響を実証実験などを通して確認することは容易ではない.我々は,マルチエージェント交通シミュレータMACiMAを開発し,シミュレーションによる複雑な交通現象の再現や,交通施策の導入による交通流への影響の分析を試みている.MACiMAでは,エージェントの相互作用によって交通流を表現しているが,導入する施策に応じて各エージェントの行動ルールや振る舞いをプログラム上で逐一定義することは,実装上の負担が大きい.そこで本研究では,交通法規に基づくエージェントの意思決定機構について,論理型プログラミング言語Prologを利用した法的推論システムPROLEGと連携して推論を行う仕組みを検討した.作成したシミュレータによる実験を行い,交通法規に従って動的に行動を決定するエージェントとそれらの割合変化によって起こる交通への影響について示す.

  • 工藤 ミコト, 秋本 洋平
    セッションID: 2F4-GS-5-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    オンライン強化学習による自律学習エージェントは環境とのインタラクションから得られる状態観測とエージェント内部に定義された報酬のから逐次的に方策を学習している.しかし,他のエージェントの行動が介入することによって状態遷移が変化すると,本来学習したかった方策が学習できなかったり特定の別の方策を学習するよう誘導されてしまう可能性がある.本研究ではそのような強化学習過程への介入攻撃を対象に,介入アルゴリズムの提案とその性質について調査する.介入エージェントによる主人公エージェントへの介入を2-player Markov Gameとして定式化し,介入者が意図した報酬を最大化させる方策を主人公が学習するように介入エージェントの方策を学習すると,主人公が自らの報酬についての最適方策を常に獲得しているような状況でも介入が失敗しうることがわかった.主人公が学習途中であるような状況では別の問題も発生し,そのためのアルゴリズムの改良を考案した.

  • 赤星 雄太, 木村 慧, 東藤 大樹, 横尾 真
    セッションID: 2F4-GS-5-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    ヘドニックゲームは,エージェントのグループを適切なサブグループに分割する数理モデルで,従来協力ゲームの一分野として研究がなされてきた.一方,許可構造つきの協力ゲームは,エージェントのゲームへの参加が,別のエージェントによる許可制であるようなモデルである.本研究では,ヘドニックゲームに許可構造を導入し,情報拡散,すなわち,できる限り多くの許可を出すことのインセンティブが成立するヘドニックゲームの解について議論する.具体的には,まずナッシュ安定解と情報拡散が非両立であることを示す.この不可能性を受け,情報拡散のインセンティブを有するアルゴリズムを提案し,達成可能な社会的余剰の近似率を示す.

  • 北 篤佳, 青山 秀紀, 谷口 忠大
    セッションID: 2F4-GS-5-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    オフィスビル内で自動走行ロボットを用いた配送サービスでは、歩行者や多種多様なロボットが共存し、ロボットがこれらの障害物を回避しながら通路を走行するため、通路を横断するのに要する時間が一定でなく、かつ所要時間の分布についての事前情報が不十分であったり、分布が時間とともに変化することが多い。本研究では、所要時間が確率的に変動し、かつこの確率分布が事前に与えられるのではなく、走行中に得られる情報をもとに推定する必要があるようなマルチエージェント経路探索問題に対し、ベイズ推論を用いて移動時間の確率分布のパラメータ更新を更新する手法を提案する。シミュレーションを通じて、本手法の性能を既存手法と比較する。

  • 峯岸 朋弥, 大澤 博隆
    セッションID: 2F4-GS-5-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、SFプロトタイピングにおけるアイデア発想支援を行うエージェントを開発する。未来を創造するワークショップ手法のうち、SFプロトタイピングは参加者の制約を外し、ありうる可能性を探索する上で有用だが、そのためには適切なファシリテーションが必要となる。本研究では未来社会を創造する過程においてアイデア発想支援を、人と同様の顔を持ち画面上で動作するバーチャルエージェントを通じて行うシステムを作成し、その結果を分析した。バーチャルエージェントは文脈を理解しながらファシリテーションを行うよう開発した。実験から、議論の発散のためアイデアを多く創発することが求められる新しい言葉創造フェーズにおいて、参加者のアイデア数の均衡化が期待できることがわかった。また、最終成果物へ影響が出る可能性がある新しいキャラクタ創造フェーズにおいて、人がファシリテーションを行う場合に比べ、キャラクタ創造数が増加する可能性を示した。

  • 佐藤 匠, 伊藤 徹, 福田 直樹, 渡邉 博子, 廣江 晃, 東本 幸子, 高山 聖, 小川 貴代, 神成 淳司, 和田 智之
    セッションID: 2F5-GS-5-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    日本における高齢化の進行により,介護の重要性が増加している. 一方で,介護離職の増加も指摘されており,介護者の QOL を向上させることが必要であると指摘されている.これまで,著者らは,介護行為 のカテゴリ及び介護者と被介護者の相性を考慮した,介護者と被介護者間の QOL を最適にする介護マッチング機構の試作と介護現場のデータを用いた評価を行なってきた.一方で,本システムを実際の介護現場に導入するためには,介護士と被介護者のマッチング結果を参考に,介護スケジュールの作成をする必要がある.日々の介護においては,スケジュールの変更が発生するという課題があるため,本システムはスケジュールの変更に対してレジリエントな性能を有する必要性がある.また,現場におけるシフトを作成を考えた場合,実際の介護現場の介護士の意見を反映可能なスケジューリングシステムを実現することが求められる.そこで,本研究では,介護現場における価値共創を考慮したレジリエントなスケジューリングシステムの適用の検討を行う.

  • 吉田 健人, 木村 慧, 横尾 真
    セッションID: 2F5-GS-5-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    一次元区間上の施設配置メカニズムの近似アルゴリズムによる解析において,エージェントの効用の最小値が大きいほどよいとされる平等性にもとづく目的関数や,エージェントの効用の総和が大きいほどよいとされる効率性にもとづいた目的関数が用いられた.目的関数に対する近似比は1に近いほどよいとされる.中点メカニズムは平等性に基づく目的関数で1の指標をもち,効率性に基づく目的関数でも比較的よい値をもつ.また,ナッシュメカニズムは平等性に基づく目的関数,効率性に基づく目的関数の双方で比較的1に近い値をもつ.しかし,中点メカニズムとナッシュメカニズムは戦略的操作が可能な場合が存在する. そこで,本研究では中点メカニズムとナッシュメカニズムに対してエージェントの申告値を考えることで,2種のメカニズムの戦略的操作の考察を行う. 結果として,中央値メカニズムはエージェントの申告値の区間が小さい場合にあるエージェントが効用を1にする戦略的操作が可能な場合が存在する.一方でナッシュメカニズムでは非常に多くのエージェントが特定の値を申告する場合に1人のエージェントの戦略的操作の影響が非常に小さくなることを示した.

  • 日出 恵輔, 北澤 正樹, 高橋 聡, 吉川 厚
    セッションID: 2F5-GS-5-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,大学受験において,国による大学定員と新奨学金の配分によって,地域間の進学移動を活発化させる方策を検討する.現在,国は都市圏の大学に対して入学定員の超過率の上限を徐々に引き下げる政策を行っているが,未だに大学進学者は都市圏に集中している.このような中,地方への進学をさらに促進する施策として,他地域出身の入試成績上位者に対して新たな奨学金を設ける方法が考えられる.そこで本研究では,国による大学定員と新奨学金の配分が地方進学者数に及ぼす影響を,大学受験エージェント・ベース・シミュレーションを用いて推定する.新奨学金は,各地方大学において,他地域出身で入試成績が上位の進学者に対して学費を支援する施策である.国は予算に限りある新奨学金を各地方大学に配分し,地方への進学を誘導する.大学定員の超過率の上限の変更と新奨学金の配分を組み合わせ,地方大学への進学者数が増加する施策を見出す. 結果,新奨学金単体では地方への進学誘導効果に限度があること,新奨学金と地方大学を優遇した定員傾斜配分を同時に行った場合には,地方中核都市への進学者増加をもたらすことが確認された.

  • 中島 敬祐, 加藤 泰輝, 菊池 脩太, 杉山 淳一, 瀧沢 岳, 柿澤 恭史, 向井 大誠, 倉橋 節也
    セッションID: 2F5-GS-5-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    感染症の脅威が続く中、人々の適切な衛生習慣には、生活場面における病原体曝露リスクと衛生行動の効果の可視化が重要となる。日常生活全体の感染リスク低減に向け、多数が集まる学校活動に着目し、児童のウイルス接触リスクの推定を試みた。シミュレーションモデル構築に向け、承諾を得た小学校の4年生に対して教室や廊下に設置したカメラでビデオ撮影を行い、主に授業の前後や休み時間における児童の行動を解析した。児童の動線や接触した物品の順番から、手を介したウイルスの伝播を算出した結果、教室内に広くウイルスを拡散することがわかった。また、児童のコミュニケーションの解析から児童同士のネットワークを明らかにした。これらを活用したシミュレーションの行動決定モデルを新たに設定したので報告する。

  • 丹澤 優成, 坪倉 和哉, 大橋 玲音, 櫻井 響, 小林 邦和
    セッションID: 2F5-GS-5-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,不完全情報ゲームの一つであるDixitを対象とする.このゲームではイラストが描かれたカードを用いる.語り部と呼ばれる役割のプレイヤー(1名)は,手札からカードを1枚選択し,ヒントとなる言葉を発して向きに出す.語り部以外のプレイヤー(複数名)は手札からこのヒントに関するカードを裏向きに出す.そして全てのカードを混ぜた後,表に向け,語り部以外のプレイヤーが語り部の出したカードをヒントから推理するゲームである.推測が容易なヒントで全員正解を当てる,または推測が困難なヒントで誰も正解を当てることができなければ,語り部は得点出来ない.そのため,語り部が効率良く点を獲得するには,イラストとカードのヒントの関連度の調整が重要になる.このような曖昧性を持つヒントを分析することでDixitプレイヤーの実装や人間の認知特性の理解に役立つと考える.DixitのゲームAIの実装を試みた先行研究では,関連度の調整に関する検討が十分に行われていない.そこで,本研究では,人間とAIが作成したDixitヒントデータを収集し,関連度のスコアをアノテーションすることで評価を行った.

  • Overview
    Rafik HADFI, Takayuki ITO
    セッションID: 2F6-GS-5-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    The field of computational social choice brings together principles, techniques, and tools from computer science and social choice theory to create a thriving multidisciplinary field. One of the most well-studied problems in computational social choice focuses on voting rules for selecting the winning candidate in an election. Recent research goes beyond classical voting rules by looking at rules that select multiple winners or drawing on the parallels between machine learning and voting. It is common to encounter voting paradoxes when implementing voting rules in electoral systems. Unfortunately, these paradoxes usually provide little information on the conditions that make them more or less likely to occur. Computer simulations and generative probabilistic models are practical approaches to address this problem. This short paper addresses the problem of evaluating voting rules in competitive computer simulations. Multiagent simulations can provide valuable insights into the performances of competing voting rules defined over parametrically generated problems and populations. The outcomes of this work could improve the designs of electoral systems in the absence of theoretical results to support the optimality of a voting method, and to bridge the gap between axiomatic and experimental analysis of voting systems, leading the way to enhanced explanations and predictions.

  • 佐藤 弦, 白松 俊, ZHANG Boyang
    セッションID: 2F6-GS-5-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    現在,教育現場や企業, あらゆる場面において議論が行われている.トゥールミンの論証モデルによると,論理的な議論を行うために重要であるものは,根拠と,根拠と主張の飛躍を妥当と示す論拠だとされている.しかし,すべての人が適切な根拠や論拠を付け加えながら発言しているわけではない.そこで我々は主張の根拠に着目し,エージェントが議論中に主張を補う根拠を推薦することができれば,議論を円滑に進めるための手助けになるのではないかと考えた.本研究の目的は,議論中に参加者が選んだ発言をもとに,主張を支持する意見や反論をエージェントが提供することである.そのために,Web検索による根拠推薦エージェントを提案する.本稿では,(1)意見からの主張の抽出と(2)検索語の生成・Web記事の収集手法に着目し,GPT-3を用いた手法を開発した.開発した根拠推薦エージェントの有意性を検証するため,根拠推薦エージェントを介入した議論実験を行った.

  • 松香 敏彦, 岩淵 汐音, 大橋 秀也
    セッションID: 2F6-GS-5-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人間の認知においてカテゴリー化は非常に重要な役割を担っている。カテゴリー化は無数の特徴次元の情報を効率的にエンコーディングする。また、カテゴリー化され圧縮された情報は、そのシンボルに関する特徴を正確にデコーディングすることが可能である。これらは自動で高速な認知処理であり、複雑な情報処理を可能とする。これまでのカテゴリー学習に関する研究では、実験者が実験参加者に特定の特徴セットを提供したり、カテゴリーのラベルかつ部分的な特徴次元の情報を提供したりするなど、学習の対象は実験者が選別し、学習者においては受動的な学習が行われていた。本研究では、学習者がどのような情報を得たいか自由に選択できる課題を用い、能動的なカテゴリー学習時に学習者がどのような情報希求行動を行うかを検討した。

  • 飯田 匠, 野田 五十樹, 小山 聡, 近藤 豊大, 左右田 洋希, 上田 真玄, 名和 政道, 加藤 紀彦
    セッションID: 2F6-GS-5-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    Multi-Agent Path Finding(MAPF)はグラフ上のエージェントの集合を衝突させることなくそれぞれのタスクの目的地点まで移動させる問題である.特に物流センターを模した,エージェントが常に新しいタスクに割り当てられるLifelong MAPFをより効率的に解くことが望まれている. マルチエージェントの観点で自動倉庫を見る場合, 重要な視点は, 倉庫としての空間利用率とエージェントの動作空間確保のトレードオフである. 倉庫としては同じ空間にできるだけ多くの荷物を格納できるようにしておきたい一方, その荷物の出し入れ速度向上にはエージェントの数とその移動のための空間の確保が重要となる. よって, 決められた空間制約の中で格納空間と移動空間のバランスは, 各社様々な形態が開発されてきている. これらの形態のうち, 共通通路に沿って櫛上に通路がのびる形態の自動倉庫に着目し, 共通通路の利用効率をいかに向上させるかという問題を取り上げる. 本論文では排他制御への交渉アルゴリズムの導入を行った.実験では提案した交渉アルゴリズムが,従来と比較して効率的に動作することを示した.

  • 上條 達也, 石本 幸暉, 松嶋 達也, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 2G1-OS-21c-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人間は環境の構造を理解し,複数モダリティからなる感覚器官からの情報を処理することで実世界で様々なスキルを獲得できる.人間のように多様なスキルを自律的に獲得できる知能ロボットの実現を目指す上で,複数モダリティからなるセンサ情報から世界モデルを学習し,モデルベース強化学習を行う手法は,自然なアプローチである.本稿では,ロボットアームのPick and Placeタスクにおいて,世界モデルに基づくモデルベース強化学習手法であるDreamerアルゴリズムを用いて,実ロボットアームの手先に触覚センサを取り付け,観測に用いることで,学習にかかる時間が短縮されることを検証する.また,実ロボットを用いて深層強化学習によりマニピュレーションタスクを学習させる際の学習環境について考察を行う.

  • 寺島 舞, ウリグエン エルフリ ペドロ ミゲル, ジア ユアンユアン, 柴田 博諄, 伊藤 昌樹, 谷口 忠大
    セッションID: 2G1-OS-21c-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    高精度な制御の実現は,医療現場におけるロボット制御において必要不可欠である.そこで,本研究は世界モデルの一種であるNewtonianVAEを用いて,高精度な制御を行うことを目指す.このためには,複数のモダリティ情報を用いることで,環境を正確に表現した潜在空間を獲得することが求められる.しかし,これまでにNewtonianVAEを用いた複数のモダリティ情報の学習は行われてこなかった.そのため,本研究はNewtonianVAEで複数の観測情報を学習するために,Mixture-of-Products-of-Experts (MoPoE) を用いて複数の観測情報の潜在表現を統合するMulti-modal NewtonianVAE (MNVAE) を検討する.実験では,目標位置までの制御を行う位置決めタスクを行い,MNVAEを用いた3次元制御の有効性を検証した.

  • 大島 佑太, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 2G1-OS-21c-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    マルチモーダル変分オートエンコーダーは、推論モデルを学習することで、全てのモダリティからの情報を統合した潜在表現(共有表現)を獲得できる。しかし、任意のモダリティから共有表現を得たい場合、他のモダリティの入力が欠損してしまい、適切な表現推論が行えない。本研究では、欠損モダリティ問題を、任意のモダリティからの償却推論とマルチモーダルELBOの償却ギャップの一部として捉え直し、反復償却推論を用いて単一のモダリティ入力から共有表現を適切に得る方法を提案する。しかし、反復償却推論の過程では、マルチモーダルELBOを評価する必要があるため、欠損モダリティも必要となる。そこで、単一のモダリティのみを入力とする推論モデルを用意し、教師として反復償却推論を、生徒として新たに用意した推論モデルを蒸留し、単一モダリティから共有表現を獲得できる推論モデルが得られることを検証する。

  • 小槻 誠太郎, 石川 慎太朗, 杉浦 孔明
    セッションID: 2G1-OS-21c-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    我々は,自然言語による指示によって家庭環境内の対象物体を特定するタスクに取り組む.本研究では,マルチモーダル言語理解のための新しい転移学習手法として,新たに設計した対比損失であるDual ProtoNCEを用いたPrototypical Contrastive Transfer Learning (PCTL)を提案する.当該タスクのために構築した新規データセットにおいて,PCTLは既存の手法を上回った.

  • 野口 渉, 飯塚 博幸, 山本 雅人
    セッションID: 2G1-OS-21c-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    身体近傍空間は自己身体で到達可能な範囲の空間であり,脳内で視覚や触覚等のマルチモーダルな感覚の統合された表現をもつ.身体近傍空間では個体が環境と近接的で密な相互作用を行い,この相互作用を通して身体近傍空間の表現が獲得されていくと考えられる.本研究では,視覚と触覚および身体姿勢の固有受容感覚の経験を通して,視覚・触覚で共有な身体近傍空間表現を獲得する神経回路網モデルを提案する.提案モデルは,自己注意機構に基づくTransformerにより複数の固有受容感覚および視覚・触覚の観測を統合したのちに,固有受容感覚に対応した視覚・触覚を再構築する.シミュレーション上のロボットのカメラによる視覚とアームによる触覚,および対応するカメラとアーム姿勢の固有受容感覚における学習の結果,モデル内部に身体近傍の空間座標と視覚および触覚の対応を表す空間マップが構成された.とくに,視覚・触覚を出力するモジュールの一部を共有することにより,視覚と触覚で共有な空間マップが構成されることが示された.

  • 是方 諒介, 神原 元就, 吉田 悠, 石川 慎太朗, 川崎 陽祐, 髙橋 正樹, 杉浦 孔明
    セッションID: 2G4-OS-21d-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,生活支援ロボットが自然言語指示文に基づいて日用品を家具へ運搬する手法の構築を目的とする.例えば「皿の左側にある黄色いボトルを,上に何も置かれていない椅子まで移動させる」という指示文が与えられたときに,環境中の複数の日用品および家具からボトルおよび椅子を特定し,把持および配置動作を行うことが求められる.既存のマルチモーダル言語理解手法の多くは対象物体候補と配置目標候補に関するすべての組合せについて推論を行うため,計算量の点で非実用的である.本論文では,対象物体および配置目標に関する予測を単一モデルで個別に行う方法でタスクを解くことが可能なSwitching Head-Tail Funnel UNITERを提案する.物体操作指示文および標準的なシミュレータを用いて収集された画像から構成される新規データセットにおいて評価を行い,提案手法がベースライン手法を言語理解精度で上回った.さらに,生活支援ロボットが参照表現を含む指示文に従い標準的な日用品を運搬する実機実験を標準化された家庭環境で行い,物体把持および配置動作をそれぞれ90%以上の成功率で実行可能であることを示した.

  • 青木 瑞穂, 藤重 天真, 塚本 慧, 藤本 昌也, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 2G4-OS-21d-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年, 強化学習手法を用いてマルチエージェント経路計画を行う研究が発展している. この問題に取り組む上で, 各エージェントが自身の報酬に動機づけられることで, エージェント同士が協調する行動を学習することが難しいという課題がある. 本研究では, 周囲の動きを予測する世界モデルを用いて自己の利益と他者の利益を併せて考慮することで, エージェントの動作に与える影響を調べた. エージェントの公平性を考慮することは, エージェント間の獲得報酬に生じる偏りを是正する有力な解決策となり, 最終的には混雑した環境での動作など実環境で利用する上で十分な性能を獲得することが期待される.

  • 五十嵐 渓, 村田 真悟
    セッションID: 2G4-OS-21d-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    外部環境の情報をセンサによって取得し、状況に応じた行動生成が可能な知能ロボットの実現が期待されている。多くの場合、カメラ画像の利用は必須であるが、単視点だけではなく多視点で取得した画像を利用することで、ロボット自身や外乱による遮蔽への対処が可能になると考えられる。しかし、単純に多視点から取得された画像の特徴量を足し合わせたり、連結したりするだけでは、遮蔽を受けた視点の特徴量が別視点の特徴量に含まれる有益な情報を阻害する可能性がある。そこで本研究は、状況に応じた多視点の画像特徴量の重みづけに着目し、ロボットの行動生成のためのゲート機構を利用した深層学習モデルを提案する。具体的には、2視点のカメラから得られた画像の潜在表現を対照学習によって近づけ、ゲート機構を用いて両潜在表現の加重平均を算出した。また、視界を遮蔽するデータ拡張を導入することで、モデルが過去の情報を積極的に引き継ぎ、遮蔽に対応できるようにした。さらに、行動予測学習に関する補助コストを導入した。評価実験として、2視点カメラ画像の適切な統合が必要なタスクを設定し、実ロボット実験を行った結果、提案手法の各要素の有用性が確認された。

  • 河村 和紀, 池之内 颯都, 石川 峻弥, 村上 綾菜, 河野 慎, 松尾 豊
    セッションID: 2G4-OS-21d-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本論文では、グラフで表される環境において事前知識を有効に活用して最適な方策を求めるための世界モデルに基づく強化学習手法を紹介する。ゲームや交通ネットワーク、知識グラフ、社会ネットワーク、通信ネットワークなど、仮想世界や現実世界においてグラフで表される環境は多い。これらの環境で最適な方策を求めるための手法はいくつかあるが、既存の研究においては、類似した環境下で獲得した事前知識を新たな方策を学習する際に活用できていない。そこで、本研究ではグラフで表される環境に対する事前知識を獲得した状態でより良い方策を学習する手法を提案する。また、グラフで表される迷路ゲームをシミュレーションし、提案手法が事前知識を用いない単純な強化学習モデルよりも性能が良いことを示す。

  • 村山 大騎, 土方 祥平, 横地 康太, 田中 翔麻, 上村 知也, 佐野 明人
    セッションID: 2G4-OS-21d-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,受動歩行由来の身体と環境との相互作用からなる受動的力学機序と世界モデルを融合し,ヒトに近い2足ロボットの開発を目指す.ロボットを横から撮影し,鏡の前でのダンス練習の如く自らの姿を見て跳躍動作を学習する.カメラ映像から直接,空圧アクチュエータとモータへの力指令を生成する(End-to-End).実機実験において,世界モデルベースの深層強化学習DreamerV2を用いて連続跳躍を実現した.

  • 黄瀬 輝, 奥村 亮, 谷口 忠大
    セッションID: 2G5-OS-21e-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    一般的に、ロボットの制御はあらかじめプログラムされた動作に限られ、環境への適応性や人間にとっての使いやすさが課題となる。本論文では、コード生成のための大規模言語モデルとロボット制御のための世界モデルを組み合わせることで、人間の自然言語文を入力としてロボットの自律的な振る舞いを実現する手法を提案する。具体的には、大規模言語モデルが生成するLanguage Model Program(LMP)がNewtonianVAEで学習した世界モデルの潜在空間を利用することで、世界モデルを利用した高自由度かつ高抽象度の制御を実現する。実験では、提案手法がロボットのエンドエフェクタ座標、関節角、物体位置などの情報を利用せずに、自然言語文で指示される未知のタスクに対して自律制御ができることを示した。この大規模言語モデルと世界モデルの組み合わせは、潜在表現と記号表現を組み合わせたニューロシンボリックAIの文脈で重要な要素である。

  • 佐藤 誠人, 海野 良介, 根岸 優大, 田畑 浩大, 渡部 泰樹, 蒲原 惇乃輔, 久米 大雅, 岡田 領, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 2G5-OS-21e-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    深層学習の発展に伴い、コンピュータビジョンや自然言語処理の分野において、大幅な性能向上が見られる。これらの発展において、モデルサイズ、データセットサイズ、学習に使用する計算量に対して、モデルの性能が指数関数的に変化することを示すスケーリング則が大きな役割を果たしている。これらのスケーリング則は、画像分類、画像生成、自然言語処理タスクなど、様々なタスクで成立することが報告されている。しかし、スケーリング則が長期的な予測を伴うタスクに有効であることはまだ確認されていない。本研究では、モデルサイズの観点から世界モデルにスケーリング則が成立することを調査した。CARLAデータセットを用いた行動条件づけ動画予測タスクにおいて2つの世界モデルのモデルサイズを大規模化する実験を行い、オートエンコーダの大規模化を含む場合に損失関数が指数関数的に減少し、スケーリング則が成り立つことを検証した。

  • 楊 巍, 植田 有咲, 杉浦 孔明
    セッションID: 2G5-OS-21e-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    画像、動画など視覚的に示された物を理解, 例えば, 実世界の画像を対象として説明文を生成する技術の実現は, 人工知能分野における重要な課題の一つである. 一般的な画像説明文生成に比べ, テキスト付き画像の説明文生成は,画像全体・画像中の物体・テキストを統合する点において挑戦的課題である. 本研究では Image captioning with reading comprehensionタスクを扱う. 提案手法では, 画像中のテキスト情報に関して文字から単語まで複数粒度かつマルチモーダル情報として統合する.また, 画像全体の大域的な視覚情報, マルチモーダルOCR特徴, 画像中の物体群, の三者を扱うマルチモーダル注意機構を導入する.提案手法はTextCapsデータセットにおいて, 既存手法を上回る結果を得た.

  • 藤井 健太朗, 磯村 拓哉, 村田 真悟
    セッションID: 2G5-OS-21e-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人間のように未学習の環境であったとしても適切に知覚し、目標を達成するための適応的な行動生成が可能な知能ロボットの実現が期待されている。人間の脳の計算原理である自由エネルギー原理に基づく能動的推論に深層学習を導入した深層能動的推論によって、シミュレーション環境におけるトイプロブレムの解決は示されているが、実ロボットに応用した例はない。そこで本研究は、実ロボットによる行動生成のための深層能動的推論フレームワークを提案する。提案フレームワークは世界モデル、行動モデル、期待自由エネルギーモデルから構成される。世界モデルは対照変分自由エネルギーの最小化に基づき学習を行うことで環境の適切な知覚が可能になる。行動モデルは、期待自由エネルギーモデルによって推定される対照期待自由エネルギーの最小化に基づいた模倣学習を行うことで、目標を達成するための適応的な行動生成が可能になる。評価実験として、実ロボットによるリーチングタスクを、学習済み・未学習の環境で行なった。実験の結果、提案フレームワークはどちらの環境においても適切に知覚し、目標を達成するための適応的な行動生成が実現可能であることが確認された。

  • 大庭 弘己, 近藤 生也, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 2G5-OS-21e-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    シミュレータ空間内で複雑な人間のモーションを獲得することは,ゲームや3DCGアニメーションなど様々なシーンにおいて意義が見込まれる.その手法の一つにモーションキャプチャの人間の動作を参照して強化学習を行うものがあるが,参照となる動作を獲得するのには機材や俳優が必要となり,コストが高い.そこで,近年発展しているモーションの生成モデルにより出力したアニメーションを参照動作に強化学習を行うことができればそのコストを低減させることができる.その背景のもと,本研究では,現状の拡散モデルを用いたモーション生成のSOTAモデルであるMotion Diffusion Modelを参照動作の生成に用いた場合の適用可能性と問題点を調べた.

  • 池田 悠也, 松嶋 達也, 岩澤 有祐, 新山 龍馬, 松尾 豊
    セッションID: 2G6-OS-21f-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    ゴムやエラストマーなどの柔らかい素材でできたロボットはソフトロボットと呼ばれ,その物理的な柔らかさから,従来のロボットの課題の一つである安全性を保証できるとして注目が集まっている.一方で,ソフトロボットの課題の一つとして,柔らかさゆえに正確な数理モデルの計算が困難であるため,高精度な制御が難しいことが挙げられる. そこで本研究では,ソフトロボットの一種であるMcKibben型人工筋肉に対して,高精度な制御の実現のための,予測モデルを学習によって獲得することを目的とした.空気圧,筋肉長,荷重データを収集する,スケール可能なデータ収集装置の作成し,収集したデータを用いて時系列予測モデルの学習を行った.さらに,学習した予測モデルを用いて制御タスクを実行し,本手法の有効性を検証した.

  • 野村 優太, 村田 真悟
    セッションID: 2G6-OS-21f-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    ロボットが複雑な環境で人間のようにさまざまな作業を行うことが期待されているが,そのためには高い汎化性能が要求される.一般に,強化学習は汎化性能が高い一方で探索が必要なため効率が悪く,模倣学習は教示者のデモンストレーションを用いるため効率が良い一方で汎化性能が低い.そこで本研究は,プレイデータと呼ばれる,人間が好奇心に基づきロボットを操作して取得するデータに注目する.具体的には,世界モデルを利用したプレイデータの学習に基づく実ロボットの行動生成法と世界モデル内におけるプレイデータの拡張法を提案する.実環境におけるロボットの物体操作実験の結果,与えられた目標状態に到達するための行動生成が可能なことを確認した.さらに,世界モデル内でのシミュレーションによって,取得したプレイデータには存在しないバリエーションを含んだデータの拡張が可能なことを確認した.以上の結果から,拡張されたプレイデータをさらに学習することで,より汎化性能が高い行動生成の実現が期待される.

  • 髙波 亮介, 小林 聖人, 松嶋 達也, 池田 悠也, 石本 幸暉, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 2G6-OS-21f-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年少子高齢社会により,労働力が減少しており人間の代替に労働力を創造するロボットが希求されている.特にモバイルマニピュレータは屋内環境において人間の労働を代替,支援できるロボットとして期待を集めている.しかし,モバイルマニピュレータを実際に運用するには人間による遠隔操作が必要不可欠である.また,モバイルマニピュレータの特有の構造から従来遠隔操作することは困難であった. 本研究では,従来のインターフェイスに代わる新たなモバイルマニピュレータ用の遠隔操作基盤を開発した.従来手法では,把持タスクをする際に限られた視野で移動,把持を実行することを強いられるが,本手法では,世界モデルを仮定した認識システムにより視覚情報を統合し,インターフェイス上に投影することで,参照可能な情報が拡張され,遠隔操作を支援することができる.また,インターフェイス内の把持対象物体を選択することで対象物体を把持する直前の姿勢に自動で移行する支援動作を導入した.検証の結果,従来手法に比べ,遠隔操作に要する時間は短縮され,操作性の向上が示唆される結果が示された.

  • 平松 駿, 村田 真悟
    セッションID: 2G6-OS-21f-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人と同じ空間で助け合いながら作業を行う協働ロボットの実現が期待されている.その実現のためには,人とロボットの間で作業目標を共有することが重要であり,深層学習の利用は有効な手段の一つである.深層学習を用いたアプローチとして,強化学習は汎化性能が高いが,探索が必要なため効率が悪く,また探索段階での人とのインタラクションには物理的接触による危険が伴う.一方,模倣学習はデモンストレーションデータを用いるため効率が良いが汎化性能は低い.そこで本研究は,人間が好奇心に基づきロボットを操作して取得するプレイデータ注目し,その学習に適したフレームワークを提案する.具体的には,プレイデータの部分時系列全体から作業計画の潜在表現を推論するモデル,現在状態のみから到達可能な目標の潜在表現を推論するモデル,これらの潜在表現をもとに行動を生成するモデルを構築した.さらに,予測誤差最小化原理に基づき,人のふるまいから目標の潜在表現を修正可能な仕組みを導入した.実ロボットを直接教示することで得られたプレイデータを用いてこれらのモデルを学習させた結果,提案フレームワークの有用性が示された.

  • 根岸 優大, 佐藤 誠人, 海野 良介, 田畑 浩大, 渡部 泰樹, 蒲原 惇乃輔, 久米 大雅, 岡田 領, 岩澤 有祐, 松尾 豊
    セッションID: 2G6-OS-21f-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    過去10年ほどで,深層学習技術は自然言語処理や画像処理分野を含む様々な分野で大きく成功してきた.この成功の背景には,大規模な計算資源で大規模なモデルの学習が可能になったことがある.実際近年の多くの研究において,言語モデリングや画像生成を含む様々な生成タスクで,Transformerを用いた大規模モデルが性能を発揮している.そのような大規模モデルを効率的に学習するためには膨大なデータが必要であり,多くの分野で大規模データセットの構築が進められている.しかし,CARLAなどのシミュレータ環境やRoboNetなどのデータセットの整備の進展にも拘わらず,環境の空間的・時間的表現の獲得を目的とする世界モデルのデータセットサイズに対するスケーリングについては十分に研究されていない.そこで本研究では,世界モデルのデータセットサイズに対するスケーリング則を実験的に検証した.モデルにはVideoGPTを使用し,データセットはCARLAシミュレータで作成した.さらに我々は,パラメータ数が107のオーダー以上で計算量が制限される場合は,計算量をデータセットサイズの拡大に使うことが効率的であることも確認した.

  • 山田 健太, 青田 雅輝, 並木 亮, 横山 源太朗
    セッションID: 2H1-OS-3a-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    政治資金収支報告書は、政治団体によって提出され、政治資金規正法により公表が義務付けられています。しかし、これらの報告書は多くが手書き文字を含む紙媒体であり、機械判読に適さず、オープンデータの定義を満たしません。そのため、これらのデータをデータベース化することで透明性が向上し、市民による政治的な意思決定への参加が促進されると考えられます。本研究では、政治資金収支報告書の「(その2)収支の状況」に限定し、光学式文字認識(OCR)技術を用いてデータの抽出と整備を行いました。具体的には、2019年に提出された政治資金収支報告書に対し、収支の状況ページからデータを抽出し、データセットを構築しました。また、作成したデータセットを元に分析例を示しました。本研究は、政治資金データベースの作成に向けた第一歩であり、今後も政治資金報告書の形式やデータの改善に取り組むことが求められます。政治資金データベースの構築は、より透明で民主的な社会を実現するための重要な一歩であると考えられます。

  • 尾崎 順一, 志田 洋平, 高安 秀樹, 高安 美佐子
    セッションID: 2H1-OS-3a-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    2020年初めから2023年1月現在に至るまでCOVID-19は世界中で猛威を振るっており、その拡大を予測・説明するモデルの構築は社会的に重要である。本研究では、まず大規模GPSデータを用いて都市内の社会的接触の数を社会的接触の種類ごとに推定し、実効再生産数をフィットすることにより基本となる1対1での実効感染率を具体的に算出する。それをベースにデルタ株・オミクロン株の影響、ワクチン接種・ワクチン効果減衰の影響、集団免疫の影響を網羅的に取り入れた数理モデリングを行う。実データを用いてフィッティングした結果、すべてのパラメータが臨床試験等のデータと整合し、COVID-19の実効再生産数を構成する要素を網羅的・定量的に明らかにした。

  • 高野 雅典, 高 史明, 荻上 チキ, 永田 夏来
    セッションID: 2H1-OS-3a-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    著名人やインフルエンサーのネットハラスメント被害が問題になっている。ネットハラスメントは、著名人/インフルエンサーを精神的に苦しめ、社会にも悪影響を及ぼす。一方で著名人・インフルエンサーのネットハラスメント被害に関する研究は限られており、その影響も明らかでない。本研究では実態と課題を明らかにすることを目的として、日本の著名人・インフルエンサー(N=213)を対象に、ネットハラスメント被害、精神的ダメージ、加害者への対応についての調査を行った。本発表では、調査結果を報告し、課題解決のためのアクションについて考察する。

  • 友清 雄太, 浅谷 公威, 宮崎 邦洋, 鳥海 不二夫, 坂田 一郎
    セッションID: 2H1-OS-3a-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    SNSでの政治的議論にはリベラルと保守の対立という観点から分析が多くされてきた。しかし、党派的なユーザは全体の一部に過ぎず、大多数は政治的関心の薄い非党派的クラスタである。政治的議論における彼らの役割や党派的クラスタとの関心トピックの違いを把握することが議論の相対的理解に重要であるが、既存研究では非党派的クラスタの理解には小さな焦点しか当てられておらず、ネットワーク構造に関する分析が主であった。本研究では、故安倍晋三元首相国葬に関するTwitter上の議論における各クラスタの関心トピック、投稿傾向、ツイートのリーチに着目した。非党派的クラスタは党派クラスタとユーザ数ではほぼ同数あったがツイート数は大きく少なかった。また、彼らは出来事には興味を示すが、ハイコンテクストな議論には大きな興味を示さなかった。さらに、重要な出来事が起こるとツイートがバーストし意見を変えやすい傾向にあった。彼らは党派クラスター間の中心に位置し、中立的なツイートも多く、議論の安定化に寄与していることが示唆された。本研究は非党派的クラスタを考慮した上で政治的議論を分析することの重要性を示している。

  • 陳 景慧, 水野 貴之, 土井 翔平
    セッションID: 2H1-OS-3a-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    Twitterはリアルタイムにアクセスできるユーザー情報が豊富なため、様々な研究領域で活用されている。近年、リツイートネットワークやフォロワーネットワークなどのリンク解析により、TwitterユーザーのIdeologiesを検出する研究が盛んに行われている。しかし、言語の異なる国同士のリンク関係を考慮するとき、言語の壁がある場合、リツイートやフォローがほとんど行われないという困難がある。言語を跨いで共通のイデオロギーを持つ人々を見つけることができないため、異なる言語を使う人々のイデオロギーを比較こともできない。 本研究では、多言語LaBSEモデルを用いて、政治活動家のユーザベクトル埋め込みから米国の政治的次元を作成し、他国の政治的ユーザベクトルを投影してトランスナショナルなイデオロギーを明らかにする。また、ツイートを様々なトピックに分類する分類器を構築し、トピックの変化により同一ユーザーの政治的イデオロギーが変化するかどうかを確認した。その結果、ユーザーの政治思想は、トピックによって異なる分極化の程度を示すことがわかった。

  • 井上 健二郎, 吉田 光男
    セッションID: 2H4-OS-3b-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    インターネット広告の成長は著しく,中でもディスプレイ広告の日本国内の市場規模は,インターネット広告全体の3分の1を占める.ディスプレイ広告は画像とテキストで構成され,広告主は広告を通じて消費者と接触し,購買を促すことで売上収益を最大化する.商品の均質化とニーズの多様化が進む現代社会では,広告による消費者心理への訴求がますます重要となっている.しかし,どのような訴求が消費者心理に影響を与えるかは十分に明らかでない.本研究では,ディスプレイ広告の一つであるInstagram広告で実際に配信された,Health products(健康食品)とCosmetics(化粧品)の広告テキストを,LIWC(Linguistic Inquiry and Word Count)を適用することで訴求を定量化し,CTRとの相関を分析した.その結果,消費者の不安や危機感を喚起するネガティブな訴求がCTRと関係していることがわかった.

  • 和田 伸一郎
    セッションID: 2H4-OS-3b-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は, ベクトル空間での単語埋め込みモデルを使った方法が, 構造主義的社会学(ブルデューなど)において検討された方法を高次元で実現できることの有用性, 応用可能性を示すことにある。後者の方法とは, 社会的空間内での行為者たちの間の相対的位置の関係(距離)を重視する関係論的分析の方法を指す。具体的には, 「育児休暇」に関するTwitterデータを収集し, 高次元のベクトル表現データを作成し, 三次元座標空間へのマッピング, クラスタリングを行うことによって, 公的空間からは見えにくい多面的な視点から, 行為者の多様な実践を一定程度可視化することを行った。

  • 橋本 萌那, 高澤 陽太朗, 笹原 和俊
    セッションID: 2H4-OS-3b-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    食の問題を解決する手段としてフードテックが注目されている.特に,肉の消費増加による健康や環境,動物福祉への悪影響に関しては,大豆ミートなどの「代替肉」の普及が有効な解決策になると考えられ始めている.代替肉の道徳的側面をアピールすることは,製品への消費意欲を高めるだろうか?本研究の目的は,道徳が代替肉の購入意欲に与える影響を定量的に明らかにすることである.そのために,代替肉の購入に関するオンライン調査を行い,購入意欲に影響を与える要因について重回帰分析を行った.さらに,代替肉消費に関連の強い道徳観の特徴を抽出するために,クラスタリング分析をおこなった.その結果,代替肉の購入意欲には道徳が影響を与えており,代替肉に道徳的なイメージを持っている人ほど購入に前向きになることがわかった.また,代替肉の購入意欲が高いクラスタでは政治的左翼の人々に特徴的な道徳観が見られた.代替肉の消費促進施策の検討における,道徳という切り口の有用性が示唆された.

  • 水野 貴之, Taizo HORIKOMI, 藤本 祥二, 石川 温
    セッションID: 2H5-OS-8a-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    2022年8月に浦安市を通過した延べ約68万台のスマートフォンの位置情報の履歴から,移動時間と移動場所を,自己回帰型言語モデルの1つであるGPT-2に入力することで,個人の日中の移動軌跡の事前学習モデルを構築する.さらに,各日の天候や新型コロナウイルス新規感染者数の環境状況と,各スマートフォンの保有者の属性情報とを追加学習する.学習時において,数値の情報は,ユニークな文字の組み合わせに変換する.このような変換を導入することで,地理情報を用いなくても,高精度の個人の移動軌跡が生成できることを示す.

  • 渡邉 葵, 日高 健
    セッションID: 2H5-OS-8a-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    旅行者が目的地までどのような経路を選択し移動するかという経路選択行動のモデル化は,モビリティサービスの評価など様々な応用先を有する.だが,典型的な経路選択モデルは,経路コストを用いてソフトマックス関数で各経路の選択確率を求めるため,どれほど遠回りな経路にも正の流量が配分されるという課題がある.この課題を克服する既往モデルは,パラメータ設定がアドホックで,推定時に最尤法と最短経路探索を組み合わせる必要があり計算負荷が高い.そこで本研究では,ソフトマックス型のモデルを特殊解に含みつつ,流量ゼロを表現でき,かつ,計算負荷を削減した経路選択モデルの構築を目指す.具体的には,シャノンエントロピーを一般化した一般化エントロピーを用いて正則化を行うことでスパースな活性化関数を構築する方法論を,既存の交通理論と整合する形で経路選択モデルへと展開した.結果,ソフトマックス型のモデルから流量ゼロを表現可能なモデルまで,連続的に表現可能であることを数値計算と合わせて確認し,パラメータ推定が単純な線形回帰で可能なことを示した.これにより,ゼロ流量を表現可能な既往モデルよりも推定時の計算負荷を大きく削減し得る.

  • 高橋 泰平, 近藤 雄也, 栗原 聡
    セッションID: 2H5-OS-8a-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年のデジタル機器の普及により大量の情報が蓄積されているが,それらは人間では処理しきれていない.そこで情報から特徴的なパタンを抽出することで知見を得ようと試みる,パタンマイニングが注目されており,特に高頻出なパタンを抽出する手法が多数提案されている.一方で季節による消費者の購買行動の変化や投薬実験等での生体データの振る舞いといった一時的に出現するパタンの存在が想定され,そうしたパタンの抽出により新たな知見が得られる可能性は多分にある. 本研究では長大な単一系列データから頻出度,局在性の高いパタンを抽出する手法を構築することを目的としている.具体的には,群知能メカニズムを利用しパタンの分布に柔軟に適合しながらパタンを抽出する手法の提案を目指す. 頻出度,局在性の高いパタンを含む系列データを作成し,提案手法を適用した結果,そうしたパタンが抽出できることを確認した. 提案手法によって抽出されたパタンの頻出度や局在性を読み取ることで,パタンの特性を把握することができ,有益な知見の獲得につながると考えられる.

  • Heng ZHOU, Takuya MAEKAWA
    セッションID: 2H6-OS-8b-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    This study presents a method for predicting the GPS signal strength received by devices at each position inside a target floor in a building. The predicted signal strengths can be used as a rough indoor fingerprint localization system without extra infrastructure. Although it has been widely considered as a fact that the current GPS system is still unable to achieve high-precision indoor localization, we attempted to analyze the characteristics of indoor GPS reception by considerable factors. We employ a neural network based system which mainly uses floor plan including wall’s information and window information as well as shapes and heights of neighboring tall buildings. In addition, we integrate the GPS satellite information including its azimuthal angle and elevation angle to estimate line of sight (LOS) from each satellite to the target environment. We evaluate our framework using data obtained in different buildings from different areas in the city and campus.

feedback
Top