人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第37回 (2023)
選択された号の論文の942件中301~350を表示しています
  • 樫山 武浩, 沖 拓弥, 小川 芳樹, 今泉 允聡, 大山 雄己
    セッションID: 2H6-OS-8b-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    大地震発生直後、人々の滞留や避難状況をリアルタイムに把握することは、二次被害を防止する上で重要である。前稿[高崎・小川・今泉・沖・大山2021]では、Gretel[Cordonnier et al. 2019]と呼ばれるグラフニューラルネットワーク(GNN)モデルと、データ同化手法の一つであるパーティクルフィルタを統合した、データ駆動型の避難者分布予測モデルを提案した。 本稿では、上述の提案手法に基づき、時間経過とともに変化する建物の延焼や倒壊による道路閉塞の状況を特徴量として組み込むことで、大局的な避難行動の傾向を考慮した避難者分布の予測を可能とするモデルを構築する。そして、擬似的な避難者分布の生成に用いるエージェントベースシミュレーションの結果と比較し、計算時間と予測精度の観点から構築モデルの有用性を検証する。

  • 梅基 陸平, 筒井 和詩, 藤井 慶輔
    セッションID: 2H6-OS-8b-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    チームスポーツにおける守備の解析は、イベントデータが限られているため、一般的に困難である。これまで、サッカーにおいては、全選手とボールの位置関係を用いて、ボール奪取と有効攻撃を予測することで、チーム守備を評価する方法が提案されている。しかし、先行研究はイベントの重要性を考慮せず、22人の選手全員の完全な観測を仮定し、国籍や性別などの多様性の影響を十分に調査していなかった。本研究では、イベントの予測確率を得失点でスケーリングすることで、守備チームの一般的な評価方法を提案する。UEFA EURO 2020とUEFA Women’s EURO 2022のサッカーの試合における放送映像フレーム内の全選手のオープンソースの位置データを用いて、選手数が予測に与える影響を調査し、試合分析により本手法を検証した。その結果、有効攻撃、得点、失点に関する予測では、全選手の情報は必要なかったが、ボール奪取に関する予測では、攻守それぞれ3〜4人の選手の情報が必要であることが判明した。ゲーム分析により、UEFA EURO 2020の決勝トーナメント進出チームの守備の優秀さを説明することができた。

  • スコット アトム, 内田 郁真, 丁 寧, 梅基 陸平, BUNKER Rory, 小林 蓮, 小山 孟志, 大西 正輝, 亀田 能成, 藤 ...
    セッションID: 2H6-OS-8b-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    あらゆるスポーツにおいて選手やボールを追跡するトラッキングシステムはチームのパフォーマンスにとって非常に重要である。本研究では、新たに複数のスポーツの多物体追跡データセットの構築に取り組む。提案するデータセットはサッカー、バスケットボール、ハンドボールという3つの異なるスポーツから構成されており、150分以上のビデオ映像に対しボウンディングボックスとID情報をアノテーションがされている。また魚眼レンズを装着した8Kカメラとドローンカメラを用いて、フィールド全体を捉えた二つのアングルから撮影することで全選手のデータを取得することができた。最後にデータセットの構築に加え、軌道予測のタスクでのアブレーションを行い、学習された特徴量の競技間における汎用性を検証した。

  • 内田 郁真, スコット アトム, 大西 正輝, 藤井 慶輔, 亀田 能成
    セッションID: 2H6-OS-8b-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    トラッキング技術の発展に伴い、サッカーにおける選手やボールの軌道データはかつてないスピードで生成されており、高速なシーン検索への関心も同様に高まっている。しかし、現場ではアノテーションコストの高い、シーンのラベルに基づき検索が行われている。本研究では、サッカーの大規模な軌道データの集合に対して、高速かつラベルフリーな検索を行う深層学習手法を提案する。提案手法では、プレー間の類似性を軌道データから表現するための深層学習アーキテクチャを構築する。大規模トラッキングデータで実験を行い、幾何学的な類似度検索手法よりも効果的に動作することを検証した。

  • 伝住 周平, 西野 正彬, 安田 宜仁
    セッションID: 2I4-OS-9a-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    ZDDは集合族を圧縮して表現することのできるデータ構造であるとともに,集合演算など多くの操作を圧縮したまま行うことができる処理系である.これまでにも入力のZDDサイズに依存する時間で計算を実行する手法が数多く提案されてきた.しかし,複数の集合間の関係を考慮する目的関数が与えられた場合に,その関数を最大化するようにZDDから複数の集合を選択する問題についてはこれまで効率良い解法が知られていなかった.本稿ではZDD上で効率的に計算を行える目的関数の条件を明らかにし,与えられたZDD上での動的計画法によって最適化を行う新しい演算を提案する.本手法により目的関数を集合の各要素ごとに分解できるような問題に対してはZDDのサイズに依存した計算時間で解を求めることができるようになった.そのような問題としては集合間ハミング距離の総和が大きくなるように集合を選ぶ多様性最大化問題や各要素の数によってスコアが決まるような問題,(厳密)集合被覆問題などが考えられる.また,提案手法を実装し複数の ZDD に対して計算機実験を行いその性能を確認した.

  • 大森 嶺, 宋 剛秀, 田村 直之
    セッションID: 2I4-OS-9a-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    独立集合とは,与えられた無向グラフの隣接する頂点を含まない部分頂点集合である.最大独立集合問題は,基数が最大の独立集合を求める問題であり,スケジューリング問題やDNAシークエンシングなどを解くのに用いられる.近年,命題論理式の充足可能性判定 (SAT) 問題を解くプログラムであるSATソルバーの性能が飛躍的に向上している.本論文では,SATソルバーを用いた最大独立集合問題の解法を提案する.具体的には,基本制約モデルとクリーク分割を利用した改良制約モデルの2つの制約モデルを提案する.また,探索の過程で得られた学習節を再利用することで高速化を図るインクリメンタルSAT解法を用いた最大独立集合問題の解法アルゴリズムについても提案を行う.提案手法の評価として,既存の最大独立集合問題の専用手法との評価を行い,提案手法の有効性を確認した.

  • 大場 翔, 川原 純, 湊 真一
    セッションID: 2I4-OS-9a-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究では,単項二階論理式で与えられた論理関数を,決定グラフと呼ばれるデータ構造で表現する手法を提案する.二分決定グラフ(BDD)は論理関数を,ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)は集合族を圧縮して表現するデータ構造であり,論理関数や集合族の各種演算を圧縮表現のまま実行可能である.単項二階論理式から BDD や ZDD を構築する手法を提案する.計算機実験により,いくつかのグラフの問題に対する単項二階論理式から BDD や ZDD を構築し,手法の性能を確認する.

  • 加藤 聖人, 宋 剛秀, 田村 直之, 番原 睦則
    セッションID: 2I5-OS-9b-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    支配集合遷移問題は,支配集合問題とその2つの実行可能解が与えられた時に,一方から他方へ,遷移制約を満たしつつ実行可能解のみを経由して到達可能であるかどうかを判定する問題である.この問題は代表的な組合せ遷移問題の一つであり,一般に PSPACE 完全であることが知られている. 本発表では,解集合プログラミング(ASP)を用いた支配集合遷移問題の解法について述べる.提案解法では,与えられた問題インスタンスに対して,制限された長さの遷移系列が存在するかどうかを判定する問題を論理プログラム(ASP 符号化) として表現し,そのステップ長を増やしながら,ASP システムを繰り返し実行することにより到達可能性の判定を行う.提案符号化は,基となる支配集合問題に対する既存の符号化の自然な拡張になっており,支配集合遷移問題の制約を ASP のルール13個程度で簡潔に表現できる点が特長である.

  • 高田 和紀, 山田 悠也, 番原 睦則
    セッションID: 2I5-OS-9b-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    独立集合遷移問題とは,無向グラフ上の2つの独立集合が与えられたとき,一方から他方へ遷移制約を満たしつつ,独立集合のみを経由して到達できるかを判定する問題である.遷移制約としては,1回の遷移でちょうど1つの頂点が他の頂点に変化する TJ 型と,1回の遷移でちょうど1つの頂点がその隣接頂点に変化する TS 型が広く研究されている. 本発表では,TS 型の独立集合遷移問題に対して,解集合プログラミング(ASP)を用いた解法について述べる.提案解法では,与えられた問題インスタンスをASP のファクト形式に変換した後,そのファクトと独立集合遷移問題を解くASP 符号化を結合した上で,高速 ASP システムを用いて解を求める.独立集合遷移問題を解くための ASP 符号化として,基本符号化と拡張符号化の2種類を考案した.特に,拡張符号化は TJ 型に対する既存の符号化の自然な拡張になっており,TS 型の遷移制約を簡潔に表現できる点が特長である.提案解法の評価として,組合せ遷移国際競技会 CoRe Challenge 2022 問題集を用いた実験結果を示す.

  • 中村 健吾, 西野 正彬, 安田 宜仁, 湊 真一
    セッションID: 2I5-OS-9b-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    元のグラフに対し,特定の制約を満たす部分グラフの数を数える問題が部分グラフ数え上げ問題である.種々のグラフ制約の中でも,ある頂点と別の頂点が連結である,などのグラフの連結性に関する制約は特に重要で,その下での数え上げは,例えばある頂点を通る経路が何本存在するかなど,その頂点が通信網や配電網の中でどれほど重要かを表す指標の計算に応用できる.一方で,各頂点に対してそのような指標を計算するためには一般に同様の数え上げ問題を複数回にわたり解くことになるが,従来は各々別々にBDD/ZDD等の決定グラフを構築し計算を行う必要があった.本研究では,こうした複数の数え上げ問題を解く際に現れる似通った連結性制約に着目し,それぞれの制約下の部分グラフ数え上げを同時並行に解くアルゴリズムを提案する.実験により,いくつかの問題設定において従来の個別に決定グラフを構築する方法と比べて提案法が10〜20倍高速に全ての頂点に対する数え上げを行えることを確かめた.

  • 原田 そら, 石畠 正和
    セッションID: 2I5-OS-9b-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    災害時における地域住民への情報伝達は、避難誘導や支援物資の配布など、重要な役割を果たす。そのため通信インフラが災害により被害を受けた場合、人手での情報伝達が試みられる。例えば、2019年の台風15号では長期にわたり電力網や通信が寸断し、自治体は広報車を巡回することで情報伝達を行った。 災害時の情報伝達では、緊急性や人的コストに関わる効率性と、公共的な情報を全住民へと伝える網羅性の双方を考慮する必要がある。また、災害による道路状況の変化を考慮し、安全な巡回路を能動的に選ぶ必要がある。 本研究では、効率的かつ網羅的な巡回路を表現するZDDの構築手法を提案する。ZDDとは集合族の効率的なグラフ表現であり、様々なグラフの部分集合を効率的に扱うために利用されている。本研究では、巡回路の効率性と網羅性をグラフ制約として表現し、それらの制約を満たすグラフ集合を表現するZDDを効率的に構築する。また、提案手法を実際の地理データに適用し、得られた経路の効率性や網羅性を評価する。

  • 秦 国大, 上田 和紀
    セッションID: 2I5-OS-9b-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    ハイブリッドシステムは時間経過に伴って連続変化と離散変化を繰り返すシステムで,力学系,回路,制御系など多様な系を記述できる.ハイブリッドシステムのモデリング手法としてはハイブリッドオートマトン (HA) が多く用いられ,それに基づくモデル検査の研究も行われてきたが,不変条件や遷移条件の列挙など,HAによる系の記述は自明でない点を多く含む. ハイブリッドシステムモデリング言語HydLaは制約階層によって系を記述する言語で,系の仕様を制約式によって簡明に表現することができる.またHydLaは宣言的意味論をもち,記号実行に基づく処理系による有界モデル検査が可能である.一方で, 有限かつ非有界の回数の離散変化以降成立し続ける性質検証のためには軌道の定義を拡張する必要があった. 本論文では,HydLaをHAの検証の枠組に乗せることを目指し,表現力を制限したHydLaに対応するHA表現の定式化を行った.軌道の定義の大枠は既存の HydLaの定義に寄せつつ,無限回の離散変化を行う軌道が記述できるようにした.一般的なHAと異なり,時刻の構造に開区間を採用し,例題を用いて動作確認を行った.

  • 今井 倫太
    セッションID: 2I6-OS-4a-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    インタラクションの文脈を捉える人工知能技術が出現しつつある。本稿では、ある情報を人同士の会話に合わせた情報と変換したり、ある人の発言を、既に進行中の会話に合わせた物へと適応したりする情報文脈化技術について提案する。情報文脈か技術の実例を検討することで、人や情報をインタラクションの文脈へ載せるコンテキストラインディング支援の可能性について考察する。

  • 佐藤 夏樹, 川崎 陽祐, 高橋 正樹
    セッションID: 2I6-OS-4a-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究では,言語指示の目標状態に近しい環境を人とロボットの相互理解により実現するインタラクションを提案する.そして,インタラクションの実現のために,ロボットの行動可能性の範囲内で人の言語指示に沿った目標状態の解釈を実現するシステムを提案する.具体的なアプローチとして,言語指示とAction graph によって認識された実現可能な環境をScene graphとWord embeddingの技術を用いて評価可能にする.

  • 神原 元就, 杉浦 孔明
    セッションID: 2I6-OS-4a-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本論文では,Fetch-and-Carryタスクについての自由形式な自然言語指示文が与えられたうえで,ロボットが指示を実行する,Fetch-and-Carry with Object Grounding (FCOG)タスクを扱う.FCOGタスクにおける既存手法では,指示文が自由形式である場合多様な参照表現を適切に理解することが難しかった.また,既存フレームワークでは,固定されたタスクのみで評価を行っていた.本研究では,FCOGタスクに対して,4つのサブタスクに分割し解決するアプローチを提案すると共に,マルチモーダル言語理解モデルにおいて,言語特徴量および画像特徴量を適切にモデリングするためのMultimodal Parallel Feature Extractorを導入する.また,自由形式な自然言語指示文のクロスモーダル言語生成を含む,生成,実行,及び評価についての完全自動化のためのフレームワークを提案する.実験結果より,提案手法における言語理解モジュールは参照表現理解タスクにおいて既存手法を上回る精度であった.また,提案手法は,FCOGタスクにおけるタスク成功率で既存手法を上回った.

  • 寺地 哲平, 寺田 和憲, 原 武史, 阿見 翼, 小森 政嗣
    セッションID: 2I6-OS-4a-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    医療現場において医療従事者と画像診断システムの効果的な連携を可能にするためには、医療従事者個人の読影能力とそこで使用される診断システムの読影能力を総合的に比較することが必要である。そこで本研究では、人間と画像診断システムの双方が共通に使用できる適応的な医用画像診断能力テストの開発を試みた。このテストでは、多次元的な特徴で構成された画像を見たときに、陽性か陰性かの二値判定を行うことが求められる。その応答に基づいて、ガウス過程回帰により求められた刺激特性曲線の勾配を参考に次の試行の探索点を決定する獲得関数を設計した。本研究は、人間とAIの読解能力を比較する枠組みを提供したが、獲得関数の設定にさらなる改良が必要である。

  • 早矢仕 晃章, 小池 央晟, 真鍋 公介, 青柳 貴子, 江波 友紀, 山来 友美, 加藤 敬
    セッションID: 2I6-OS-4a-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,データを異なる企業や組織間で流通させ,連携することによる価値創出への期待が高まっている.しかし,データ流通を困難にしている要因の一つに,データの価値を判断するために提供される情報の不十分性と評価指標の不在の問題がある.そのため,どのような情報の提供が有用なのか,またどのような評価指標でデータを評価することがデータ交換を促進するのかということは十分に分かっていない.本論文では,異なる組織が提供するデータを組み合わせて新たなサービスを創造するケースを想定し,提供されるデータに関する情報(データカタログ及び実データ)の閲覧がデータの評価に与える影響について,被験者実験によって得られた結果をもとに考察する.

  • 佐藤 杏奈, 近添 淳一, 船井 正太郎, 持橋 大地, 鹿野 豊, 浅原 正幸, 磯 暁, 小林 一郎
    セッションID: 2J4-GS-1-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    近年では、磁気共鳴装置(fMRI)や脳磁図(MEG)などの非侵略的な脳機能計測技術の発展と、深層学習に代表される機械学習技術の高度化により、ヒト脳内の情報処理プロセスの解明や定量的理解を行う研究が盛んになっている。自然言語の単語の意味をベクトルとして表現するword2vecが出現して以来、ヒト脳に与えられる言語刺激の特徴量が自然言語処理技術の汎用言語モデルを用いて表現され、脳内状態の推定に利用されるようになっている。本研究では、脳内状態を表現する特徴量として性能が良いとされるGPT-2を用いて、短歌を読んだ時のヒト脳内の情報処理プロセスの解明に取り組む。とくに、深層学習もるの中間層となる各階層から脳活動状態を推定することで、ヒトが「詩的である」、「詩的でない」と感じる時の情報処理の階層的変化についての調査を行った結果を報告する。

  • 横山 健, 木村 慧, 横尾 真
    セッションID: 2J4-GS-1-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    整凸関数は,M凸関数やL凸関数などを含む離散凸解析における基本的な関数クラスである.近年,離散最適化問題に対するアルゴリズム開発のために,L拡張可能関数という概念が提案された.整数格子点上の関数hがL拡張可能とは,半整数格子点上のL凸関数gが存在して,gの定義域を整数格子点上に制限したものがhに一致するときにいう.このとき,gはhのL凸緩和という.L拡張可能性は,NP困難である様々な離散最適化問題に対して,近似アルゴリズムや高速な厳密解法などを開発する際に有用であることが知られている.本論文では,整凸関数のL拡張可能性について調べることを目的とし,その準備となる証明を行った.具体的には,まず,半整数格子点上で整凸関数と同様の性質を持つ関数,半整凸関数を新たに定義する.そして,整凸関数が半整凸関数に緩和できる条件や,半整凸関数がL凸性を満たす条件を調べる.さらに,これらを利用することで,整凸関数がL拡張可能である条件を明らかにするための方向性を示す.

  • 川瀬 英治, 玉井 秀明
    セッションID: 2J4-GS-1-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究では、大規模な車両経路問題の解を高速化するために、古典コンピュータと量子アニーリングマシンを用いた量子古典ハイブリッド計算を行う。本稿では、量子アニーリングマシンを用いて最大カット問題を解き、拠点を複数のエリアに分割し、エリアごとに最適な配送計画を古典コンピュータの数理最適化ソルバーで求解を行った。その結果、量子古典ハイブリッド計算は従来のヒューリスティック計算のみと比べ26倍高速に求解することができ、初期解の精度も63%向上した。また、古典的なk-meansを用いたエリア分割と比較実験を行った結果、量子古典ハイブリッド計算が約1.6倍高速に同等精度の初期解を得ることができた。

  • 川畑 輝一, 王 佳新, BLANC Antoine, 西本 伸志, 西田 知史
    セッションID: 2J4-GS-1-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    近年大きな発展を遂げている自然言語処理(NLP)技術だが、性能は向上する一方で、人間らしい振る舞いを獲得する点においては、いまだ改善の余地が多く残されている。本研究は、我々が開発した脳活動予測を介して人工知能に脳情報を融合する手法を、既存NLP技術であるBERTに適用することで、人間らしく振る舞う脳融合BERT(Bi-BERT)の実現を目的とする。この手法では、映像の内容説明文に対するBERTの内部情報から映像視聴時のfMRI脳活動を予測するモデルを構築する。学習済みの予測モデルは、追加の脳計測なしで任意の映像説明文から脳活動を予測できる。そして、予測脳活動を解読するモデルによって、映像に結びついた人間の認知や行動を反映するラベルを推定する。Bi-BERTの性能検証のために、ラベル推定精度の向上に加え、ラベル推定時の內部情報表現における脳への近接と個人差の反映という観点から、通常のBERTとの比較を行った。結果、全ての検証において改善が確認でき、Bi-BERTは通常のBERTよりも脳および人間に近い振る舞いを示すことが示唆された。

  • 片瀬 菜津子, 鳥居 拓馬, 日髙 昇平
    セッションID: 2J4-GS-1-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    物理法則発見の情報処理過程、特にその質的なモデルの変容過程を明らかにすることができれば、今後の科学の発展速度の向上が期待できる。先行研究として、認知科学研究として類推を構造的に捉える試みや、計算機科学研究として機械学習を用いた物理法則の発見の試みがある。しかし、前者は数値的データに基づかず、概念的な枠組みの記述に留まっており、後者は予測誤差に基づくモデリングを提案しているが、質的な仮説や理論の変容を説明していない。 古典的な天体運動の理論の成立過程では、天動説から地動説への質的な理論の変容が知られる。本研究ではこの歴史的な理論構築過程の説明を目的として、数理的モデルの構築を試みた。コペルニクスの地動説は、その当時の標準モデルであるプトレマイオスの天動説より予測誤差が大きいことが知られている。それにも関わらず地動説が提案されたという事実は、予測誤差以外に地動説の良さを評価する基準があることを示唆する。本研究では天体運動データを分析し、モデル選択の基準として、全体的な予測誤差以外に、逆行運動など顕著な例外的現象に対する予測誤差を考慮することで地動説への移行が説明できることを示す。

  • グループワークによる看護・病態関連図作成を例として
    藤井 萌惠, 飯田 都楓, 豊島 真樹, ウィリアムソン 彰子, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 2K1-GS-9-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    看護師になるものは,看護過程を展開する能力を身につける必要があり,そのためにグループで看護・病態関連図を作成するという演習を行っている.本研究では,この演習を教員が採点する際に個人を適切に評価することが困難であるという課題に対して取り組む.具体的なアプローチ方法としては,グループワークにおいてオンラインツールを用いて看護・病態関連図の作成を行うことでツールのログから個人の貢献度をはかる.研究室メンバーで作成したテストデータによる実験では,ログデータから算出された貢献度と実際のグループワークでの貢献度が合っていることが確認された.今後は実際の看護学生が作成したデータでも実験を実施し,貢献のモデルについての評価も行いたい.

  • 胃がん患者を対象とした適用事例
    飯田 都楓, 藤井 萌惠, 豊島 真樹, ウィリアムソン 彰子, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 2K1-GS-9-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究の目標は,看護・病態関連図を用いた看護技術教育をより良いものにすることであり,神戸大学医学部付属病院看護部との共同研究である.看護学生や新人看護師は,看護師に必要な能力を身に付けるため看護・病態関連図作成の演習を行う.コロナ禍の影響により,オンラインでの学習が必須となったため,この演習をオンラインで実施できるようにツールが開発された.しかし,看護・病態関連図の書き方には様々な方法が書籍等で紹介されており,特に初学者は,どこがゴールで,何が正解かがわからない状況になってしまうため,支援する仕組みが必要である.そこで本研究では,看護・病態関連図で,ある単語を記述すると,その単語に関連して次に記述すべき内容を,対話的に表示する支援機能を開発する.特に初学者を対象とすることを想定し「初学者向けアシスト機能」として仕組みを考えた.また,その仕組みを実現するうえで,支援機能とこの機能を組み込む予定である既存ツールとの相互のやり取りを明確にし,モジュールを試作する.そして,必要となるアシストデータベースの作成を行い,提案モジュールが動作することを確認した.

  • 中島 柚斗, 楊 明哲, 馬場 雪乃
    セッションID: 2K1-GS-9-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    GANの登場によって、従来の生成モデルより本物らしい画像を生成できるようになった。また、GANの潜在変数を操作することで、ユーザが好む画像(嗜好画像)を生成できる。しかし、GANの潜在空間は高次元であり探索が難しい。先行研究では、複数のスライダー調整や画像編集をユーザーに求めることで、嗜好画像を生成するが、作業負荷が高い。本研究では、スワイプ操作により、小さい負荷で嗜好画像を生成する手法を提案する。実験の結果、GAN の潜在空間を利用して、スワイプ操作のみをユーザーに求める手法で嗜好画像を生成できることを明らかにした。

  • 谷口 拓紀, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 2K1-GS-9-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    近年,入手できる情報量は増加し続けている.それに伴ってデータの利活用が盛んに行われるようになっており,データから有効な情報を抽出する環境が求められている.データ分析は複数のデータの比較が基本となっているが,有効な情報を抽出するには大量のデータに目を通す必要があり,それには多くの時間や労力が必要になる.テキストを用いたデータ分析として,特定のテキストから情報を抽出する研究や,テキストの要約を行うことで情報収集を効率化する研究はこれまで多くなされてきている.しかし,それらとは違い,分野を限定せずに,データ分析の基本となる二つのものの比較を行う環境を構築する研究はあまりなされていない.そこで本研究では,比較したい事柄に関するテキスト集合二つを入力とし,それらの共通単語,独自単語を可視化し,独自単語をもとにテキスト集合から対応するテキストを表示することで,テキスト集合間の独自情報の把握を支援し,多様なトピックに対応できる二つのテキスト集合間の比較を行うことができるシステムの構築を目的とする.評価実験により,提案するシステムがテキスト集合間の比較に有効であることを確認した.

  • 伊東 達希, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 2K1-GS-9-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    近年,インターネット技術の進化により人々は大量のデータを得られるようになった.それらのデータを分析する際に,共通点を見つける作業に時間がかかったり,思いつきやすい共通点にのみに着目してしまい,新しい知識を発見しにくくなる問題がある.本研究では,Web検索を用いて共通点になりうる単語を収集し,それらのネットワークを作成して提示することで,複数文の中から,簡単な共通点の見落とし防止と思いつきにくい共通点の発見を支援することを目的とする.また,実験により,思いつきやすい共通点と思いつきにくい共通点の両方の発見の支援を行えることがわかった.

  • 野坂 香帆, 早瀬 光浩
    セッションID: 2K4-GS-9-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,デジタルサイネージを始め,CGによるキャラクタが使われている.このようなキャラクタの制作には,専門の知識と機材,時間を要する.そのため,将来,ユーザ支援型キャラクタが普及した際,ユーザにとって好みのキャラクタを制作することは困難である.そこで,ユーザの恋愛傾向と好みのキャラクタを調査し,ユーザごとの恋愛傾向に適したキャラクタの外見を生成する手法を検討する.具体的には,Rubinの恋愛尺度・好意尺度を用いて,キャラクタに対するユーザの恋愛傾向のデータを収集する.そのデータを学習データとして,cDCGANによりキャラクタの生成モデルを学習する.恋愛傾向のベクトルは,収集した項目数をそのまま使用する場合とOne-Hotベクトル化したもので比較を行う.その結果,どちらの方法でも大差がないことがわかった.また,収集したデータの分析も行い,ユーザの恋愛傾向はあまり差がないこともわかった.

  • 中村 康嵩, 原田 誠一, 佐久間 拓人, 田中 由浩, 南角 吉彦, 加藤 昇平
    セッションID: 2K4-GS-9-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,オンライン上でテキストを介して会話するコミュニケーション手段が広く普及した.既存のテキストチャットツールは対面のコミュニケーション時に伝達されるうなずきや表情などの非言語的手がかりが欠落し,チャット相手の存在感を感じ取ることが困難となる.本研究では,ロボットを用いてチャットユーザをアバター化することでチャット相手に非言語的手がかりを伝える手法を構築し,テキストチャット時のユーザの存在感創出を目指す.そこで,テキストチャット時にユーザから生じる情報としてメッセージ作成時のタイピング操作に着目した.ユーザのタイピング操作から非言語的手がかりを抽出し,ロボットアバターのジェスチャに反映させる.本稿では,ユーザ相互のタイピング操作に基づき定義した発話・傾聴などのユーザ状態をジェスチャ表出するロボットアバター付きチャットシステムを提案する.提案システムを用いたチャット評価実験から,チャットユーザのタイピング操作をロボットアバターへ反映することでチャット相手の存在感を創出できる可能性が示唆された.

  • 小林 篤史, 窪田 智徳, 小川 浩平, 佐藤 理史
    セッションID: 2K4-GS-9-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    自律対話エージェントは、コミュニティを構成する複数人の対話者と対話する一対多対話状況における応用として、バーチャルYouTuberのようにエンターテイメントを提供したり、授業や講演を行うことが期待できる。これまで、エージェントが一対一対話において、対話者の特性に適応した対話を行う効果は示されている。しかし、コミュニティ構成員らとの一対多対話において、コミュニティの特性に適応した対話能力をもつエージェントを実現する手法は確立されていない。そこで本研究では、課題解決に向けて、コミュニティ構成員のうち複数人がエージェントを操作し、エージェントを介して他の構成員らと対話することで、構成員同士の対話事例を収集し、その事例を用いてエージェントの自律対話機能を構築する手法を提案した。本手法の妥当性を検証するために、画面上のエージェントと複数の対話者が、ブラウザ上で対話できるインタフェースを開発し、実験を行った。その結果、コミュニティの特性を反映した対話事例を収集でき、コミュニティの特性に一定程度適応した対話が可能なエージェントを実現できることを示した。

  • 中田 豊久, 三浦 元喜
    セッションID: 2K4-GS-9-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,タイピングソフトなどの決められたプログラムを打つときに,そのプログラムを理解して打っているのか理解していないのかをキーストロークの挙動から推定することである.手法としては一次元畳み込みニューラルネットワークを用い,入力には正規化された打鍵の間隔情報,出力はプログラムを理解している/していないの2値として学習させる.また比較対象として,単純にタイピングスピードのみで線形分離するモデルを作成した.実験データは,112名の大学の講義で行われたタイピングデータと理解度テストの結果を使用した.結果として,比較対象の単純な線形分離モデルでは約7割,提案する1次元畳み込みニューラルネットワークでは約8割の精度でプログラムの理解度を推定した.

  • 岡本 利彰, 山縣 俊亮, 阿部 悟
    セッションID: 2K4-GS-9-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    動画像から人の姿勢を自動抽出する技術は様々な用途に活用されており,例えば,歩行時の動画から歩き方の特徴を定量化し,転倒リスクや感情などを推定することができる.一方で,自らが被写体となる場合には,他者の撮影協力もしくは自分撮りの環境設定が必要となるため,日常動作を継続的に記録することは容易ではない.そこで本研究では,モーションセンサを内蔵したシューズ(スマートシューズ)を使用し,足元の情報から歩行時の全身の姿勢を推定する手法を開発することを目的とした.実験では,スマートシューズを着用した被験者に真っ直ぐ歩いてもらい,カメラを用いてその様子を撮影した.次に動画から抽出した空間座標上の骨格特徴点に対して,主成分分析を適用し,歩行に伴う動きの主成分として定義した.そして歩行特徴を反映した主成分得点を,スマートシューズから得られた歩容指標(着地時のつま先角度や足上げの高さ等)から推定する回帰モデルを構築した.最後に推定した主成分得点を空間座標上の骨格特徴点に再構成した.以上の技術は,動画撮影の環境を整えることなく,スマートシューズを着用することのみで,日常生活上での歩行姿勢の推定を可能とする.

  • 森本 文哉, 赤垣 敬吾, 小野 智司
    セッションID: 2K5-GS-2-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    深層ニューラルネットワーク(DNN)は,画像分類や音声認識など様々な分野で高い性能を示しており,実応用が進んでいる.一方,近年の研究により,DNNに基づく学習器は入力データに対して,人間の知覚が困難な程度に微小かつ特殊な摂動が加えられた敵対的事例(AE)を誤認識してしまう脆弱性を有することが明らかにされている.このため,AEに対する防御手法の研究も広く行われている.例えば,入力の特徴からAEを判別する検出手法が提案されているが, AEの検知に留まっており,攻撃前の事例における正しいカテゴリの認識まで考慮しない.検出されたAEを棄却可能なタスクが多い一方で,上記の点が問題となるタスクも存在する.例えば自動運転の標識認識において,一時停止の標識に攻撃が加えられた際にAEとして検出はできるものの,一時停止の標識であることを認識できず,何らかの後処理が必要となる.本研究では,検出されたAEに対するラベルの矯正手法,すなわち,攻撃前の原画像における正しいラベルを推定する手法を提案する.本手法は,AEに対して再攻撃を行うことで,誤分類されていた分類結果を原画像の分類結果に矯正することが可能である.

  • 益川 良藏, 青葉 紗矢香, 佐藤 勇元, 櫨 翔佑, 佐藤 真, 松井 太我, 石川 桂太, 高木 友博
    セッションID: 2K5-GS-2-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    未来の流行を鑑みて商品の在庫を予測することはファッション販売業界全体において必要不可欠な業務である。そして、ファッション業界ではコレクションなどで発表されたデザインからトップダウン的に一般向けの服がデザインされていく。そのため、ファッションショー等で展示される衣服のデザインは概念的であり、実生活で消費者が用いるものとは乖離している。したがって、スタイリストのような高度な知識を有する専門家は、ファッション誌等の外部情報から将来人気となるような現実的な衣服のデザインを想起している。しかし、ファッション関連の外部情報は非常に膨大であり、専門家が定常的かつ平等に全情報を集約することは現実的ではない。この問題を解決するため、我々は画像検索と生成モデルを組み合わせ、より客観的に上記のスタイリスト業務、つまり、将来的なトレンドと合致する服のイメージの生成を行うシステムを提案する。実験の結果、提案システムは概念的なファッショントレンド情報を集約して高解像度の衣服の画像を生成することができることが判明し、より定常的かつ客観的なファッショントレンド予測とイメージ生成が実現された。

  • 渕 雅音, ザナシル アマル, 南 浩人, 高木 友博
    セッションID: 2K5-GS-2-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    GANを上回る手法としてComputer Visionの分野で非常に研究が盛んに行われている拡散モデルは、その分野に留まらず、他分野にも波及している。表データ生成でも拡散モデルを用いたTabDDPMが提案されており、高精度な生成が可能と主張されている。しかしTabDDPMでは、カテゴリデータをone-hot vectorで扱っているため、そのカテゴリ数が増加すると同じようなデータが生成され、学習に失敗してしまうという傾向がある。そこで本研究では、ビット拡散の前処理の手法を取り入れることで、その問題を解決する機構であるTableBD (Table Bit Diffusion)を提案する。実験では提案手法がTabDDPMより、多くのカテゴリ数のあるデータを生成できることを示した。

  • 青葉 紗矢香, 佐藤 勇元, 益川 良藏, 佐藤 真, 櫨 翔佑, 松井 太我, 石川 桂太, 高木 友博
    セッションID: 2K5-GS-2-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究ではパーソナルスタイリングにおいて、2つのファッションアイテムをコーディネートして推薦する際の、コメントを生成するモデルを構築する。 コーディネート推薦においては、それらのアイテムの相性や、アクセサリー等との組み合わせについてもアドバイスする。具体的にはAdapterを用いることで言語モデルをマルチモーダルな入力に対応させた手法であるMAGMAを利用し、2枚の服画像を結合した画像とプロンプトを入力として、コーディネートコメント文を生成する。 人手によって作成されたコメントや、機械学習をベースとした従来手法との定量・定性比較を行ない、提案モデルが十分な能力を持つことを確認した。

  • 土橋 秀昭, 浦野 昌一
    セッションID: 2K5-GS-2-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    機械学習を用いたニューラルネットワークにおいて扱うデータ量は精度に作用する重要な要素となっている。しかし十分なデータ量が全てのモデルで揃っているわけではない。そこで私は機械学習手法の1つである転移学習に注目した。これまでの研究では自然言語処理や画像認識の分野で発展してきた転移学習を最高気温予測に用いることで、少ないデータ量から精度が良い機械学習モデルを構築することができた。また、構築したモデルが気温変動の違う地域に対して利用可能かどうか検証したところターゲット地域によって予測精度が向上する地域に大きな差が見られたことを確認した。特に地域の距離などの影響ではなく、冬の地域間の最低気温の差から気温予測に対しての誤差が大きく生まれることがわかった。本研究では、次のステップとして転移学習を用いて少量のデータで学習したモデルが、どの月において高精度な最高気温を予測するかを検証することによって、あるターゲットデータがどの期間に対して有効か検討する。

  • 中山 聖也, 浦野 昌一
    セッションID: 2K6-GS-2-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    電力供給は日々、各電力会社の需要想定に基づいて行われている。また、電力は需要と供給のバランスが崩れると供給電力の周波数が不安定になる。更に、貯めておく事が難しい特徴を合わせ持つ為、常に需要と供給のバランスを取ることが重要となる。そのため、効率的な発電を行う事はコスト面や環境面においても重要である。 電力需要は人々の行動と密接に関係しており、特に気象データに影響を受ける事が知られている。そのため、気象データを用いる従来の各電力会社の電力需要予測の研究は、予測対象の需要地点に対応した気象観測地点の情報のみを用いる場合が多く見られる。そこで、本稿では地域の電力需要予測を行うのに対して日本では天気が偏西風に流されて西から東に変化する傾向がある事を踏まえて需要地点のみならず全国の気象データを用いる事で翌日の電力需要予測の高精度化を目指す。また、その際に増えた説明変数に対し次元削減手法を適用する事で過学習や計算コストの増大のリスクを低減すること及び更なる予測精度の向上を目的とする。

  • 高久 雅史, 浦野 昌一
    セッションID: 2K6-GS-2-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年、コロナ禍による生活習慣の変化などにより、うつ病や精神的な負担を抱える方が増加傾向にある。そのような背景から、本研究では現代人の精神面の課題解決の取り組みの一つである、人工知能が音声から感情を分析し、ネガティブな感情を感知したら元気づける言葉をかけるといった、人の心を支援するシステムの要素技術を研究する。本研究では高精度な音声の感情分類モデルの構築のため、音声認識の課題であるデータの取り扱いや分析手法の選定に着目する。筆者らはこれまでに、決定木やニューラルネットワークを適用した感情分類モデルを作成し、言葉と感情との関係性に焦点を置いた研究を行ってきた。本稿では、モデル構築時のデータ特性にも着目し、IEMOCAPデータベースの英語音声データを用いる。これまで日本語の音声データを用いて構築したモデルや特徴量の傾向を基にして、英語音声での感情分類を行う。音声データの特徴量であるフォルマントについて、日本語データで分析した際に得られた傾向を英語データでも検証する。言語の違いによるモデルの精度や傾向を比較し、さらなる感情分類モデルの精度向上を目指す。

  • 藪内 一貴, 森 直樹, 岡田 真
    セッションID: 2K6-GS-2-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年, 株価や為替レートといった時系列データを対象にその変動を人工知能により予測する研究が盛んになされている. 時系列データの 1 つにトレーディングカードゲーム (Trading Card Game: TCG) に用いられるカードの価格がある. TCG とは攻撃値や能力を表す文章が記述された専用のカードを用いて対戦するゲームであり, ゲームの魅力のみならず価格の変動性も注目を集めている. こうした背景から, TCG のカードの価格変動を機械学習手法により予測する研究がいくつかなされているが, 深層学習を用いたものはほとんど存在しない. また, TCG のカードにおいて価格が上昇するものは少数であり, モデルの学習においてはデータの不均衡さが課題となる. カードの価格変動においてはカードの能力を表す数値やテキストのデータに加えて, レアリティや発売時期, 過去の価格などの多様なデータが要因となっている. そこで, 本研究ではマルチモーダルデータと深層学習を用いてカードの価格上昇の有無を予測するモデルを提案し, その有効性を示す.

  • 齋木 匠, 荒井 幸代
    セッションID: 2K6-GS-2-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    交通信号制御の効率化にあたっては,広範囲の交通流最適化を考える必要がある一方で,制御範囲の大きさに伴う計算負荷も考慮する必要がある.そこで交差点ごとに周辺交通流を最適化するエージェントを想定し協調させる自律分散制御が望ましい.深層強化学習を用いた制御は,複雑な事前設定が必要なルールベースに代わる新たな手法として近年盛んに研究されており,様々な環境下で既存手法を上回る性能を示している.強化学習では,学習時に経験した環境に対して最適な方策 (制御則) を学習するが,学習時に未経験の環境に対する性能は保証されない.なおかつ,交通信号制御問題において,交差点には直交する交通流の間にトレードオフの関係が存在するため,最適方策が一つとは限らない.これら二つの問題点を解決し,大規模交通網における交差点の連携制御の実現するため,本研究では (1) 交差点における交通流量比率ごとの網羅的な方策の獲得 (2) 周辺の交通状況を考慮した方策の選択,の二種類のエージェントからなる階層構造を持つ交通信号制御手法を提案する.計算機実験により,提案手法が交通流変化に追従して方策を切替えられる柔軟性を持つことを示す.

  • 窪澤 駿平, 大西 貴士, 鶴岡 慶雅, 奥山 大三, 杉谷 皇彰
    セッションID: 2K6-GS-2-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    航空交通管理における衝突回避指示の自動計画システムを提案する。COVID-19パンデミックにより,航空輸送需要およびそれに伴う航空交通量は急激に減少しているが,長期的には増加傾向にある。また,パンデミックに代表される社会情勢の変化に伴う航空交通量の急激な変化も増えてきている。このような社会情勢における航空管制業務を自動支援するため,様々な交通状況を再現する空域シミュレータと強化学習を組み合わせ,衝突を回避する最適コントローラを構築した。本論文では,提案システムの紹介と,シミュレータ上での性能評価について述べる。

  • 波多野 大督, 原 聡, 荒井 ひろみ
    セッションID: 2L1-GS-11-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,機械学習モデルにおける公平性が重要視されている.本研究は,センシティブ特徴と相関の高い非センシティブ特徴が結果公平性に与える影響を消すことが目標である.特徴間の独立性を集合関数における加法性に対応させ,加法性が成り立つための必要十分条件を,協力ゲームで用いられる,限界貢献で特徴づけた.必要十分条件を元に加法性を達成する集合関数へ変換するアルゴリズムを提案し,最後に実験により特徴間の相関が与える結果公平性への影響が軽減されたことを示した.

  • 廣瀬 雄大, 田島 彩音, 小野 智司
    セッションID: 2L1-GS-11-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    深層ニューラルネットワーク(DNN)は幅広い分野で活用されており,実問題への応用が進んでいる.近年では,人の意思決定にかかわる業務をDNNに代替させる取り組みが増えてきているが,このような場面では,出力結果の公平性や倫理面での妥当性,モデルの不透明性などに問題がある.これらを軽減するために,DNNの推論根拠を説明する説明可能AI(XAI)の研究が活発に行われている.一方,DNNに基づくモデルには,入力データに人間には知覚できないような特殊な摂動を加えることで誤った判断を引き起こす敵対的事例(AEs)と呼ばれる脆弱性が存在することが明らかにされている.このような脆弱性はGradCAMなどの画像解釈器においても存在することが確認されており,画像解釈器を安全に使用するために脆弱性の調査が不可欠である.本研究では,攻撃対象モデルの内部構造が未知であるブラックボックス条件下において進化計算を用いることにより誤った解釈結果を導出させるAEsを生成する敵対的攻撃手法を提案する.実験により,提案手法は画像認識モデルの予測結果を変えることなく解釈結果のみを誤誘導させるAEsを生成することに成功した.

  • 斉藤 弘樹
    セッションID: 2L1-GS-11-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    機械学習に予測のばらつきとして表現される不確かさは,予測値を安全側に補正する,不確かさが大きい場合は機械学習による予測値を使用しないなど,機械学習の保守・運用の観点で重要な指標である。しかし,不確かさの算出はガウス過程回帰や深層学習など一部の機械学習モデルに限られていることが課題の1つとして挙げられる。また,これらはデータ間の距離やモデルパラメータの分布に基づいて不確かさを算出するため,必ずしも信頼区間や予測区間などの重要な性質を正しく反映するとは限らない点も課題である。本発表は,機械学習モデルを問わず適用できる信頼性算出手法を提案し,その有効性を検証することを目的としている。提案手法は予測区間に観測値が所定の割合で含まれるように不確かさを決定するものであり,機械学習モデルを問わず適用可能である。また,得られた不確かさは信頼区間や予測区間の性質を必ず満足するため,提案手法を他の不確かさ算出手法と差別化することができる。疑似的なデータに対して提案手法を適用し,その有効性を確認した。

  • 櫻井 幸一
    セッションID: 2L1-GS-11-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    機械アンラーニング(Machine Unlearning)とは、システムに、記憶しているデータの一部を忘れさせた上で、次の学習訓練を行うことであり、その効率的処理法の研究が注文されている。背景には2016年4月に欧州が制定したGDPR(General Data Protection Regulation, 一般データ保護規則)の尊重する個人データ削除権や、情報漏洩だけではなく、人工知能の訓練データに利用されている個人情報や、芸術作品などのオプトアウトや著作権問題とも深く関係している。本講演では、この研究の現状と課題を紹介する。

  • 小林 涼太郎, 和泉 潔
    セッションID: 2L4-GS-3-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    企業の経済活動は,感染症の蔓延や原材料価格の高騰といった外部環境の変化に大きく影響を受ける.政策現場においては,支援を必要とする事業者の把握のために,変動事象の波及効果を適切に認識することが重要だ.本研究では,経済分野に関わる大量のテキストデータから原因-結果関係の記述を抽出することで,ある事象から派生する別の経済事象を因果系列として提示するシステムを構築する.それにより,企業に連鎖的に生じる波及効果の発見を可能にし,意思決定を支援する. 発見される波及効果は,類似する話題ばかりではなく幅広いものであることが望ましい.本研究では,より広範な経済波及効果を発見するための,出力の多様性を考慮した因果連鎖提示システムの構築を目的とする.我々は,Maximal Marginal Relevanceという情報検索システムなどで用いられる手法を応用することで,新しい因果連鎖提示のアルゴリズムを開発した.決算短信テキストを用いた評価実験により,提案手法では,「精度を損なわず,なおかつより多様な」出力が可能となることを確認した.また,出力の多様性の考慮による具体的な効果について,事例分析により検証した.

  • 西尾 啓, 西田 泰士
    セッションID: 2L4-GS-3-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年、経営戦略として企業の合併・買収(M&A)が増加しており、M&Aにより特許技術を効率的に獲得し事業化を進める動きが活発化してきている。 本研究では、異常検知技術を用いて特許文献情報から企業の特許戦略変化を把握することで、企業の新規事業への取組動向に関する知識獲得を行った。 ブルー・オーシャン戦略とは、新しい市場を生み出すことで新領域に事業を展開していく戦略であり、本研究では、各社の特許出願動向から市場のブルー・オーシャン度合を把握し、特許戦略変化と組合せることで企業価値判断に資する知識獲得を行った。 本研究では、特許戦略変化とブルー・オーシャン度合の把握により、M&A実行の対外発表前に特許戦略変化を発見することができる可能性を示す。

  • KOOISTRA Robin, 小池 和弘, 田中 祐史, 三井 康行
    セッションID: 2L4-GS-3-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    地震、台風、世界的なパンデミックなど、様々な災害が発生すると、EC物流における物流センターの受注処理能力や、顧客へ迅速に注文を届ける能力が低下する可能性がある。我々は、復旧に向けたシナリオを数理的に評価することを目的として、各ノードを物流センターに見立てたネットワークモデルシミュレーターを構築し、ネットワークの最大流問題として定義する。2022年3月16日に仙台で発生した地震に関するアスクル株式会社の実データを用いて最大流問題を解くことで、仙台のセンターが被災した場合の出荷能力、受注残、配送リードタイムへの影響を定量化し、想定される複数の復旧シナリオを比較する。また、物流センター内部の損傷や、確保可能な人員の減少による能力低下の影響を検討するためのサブノードモデルを提案する。

  • 佐藤 航, 山本 葵, 熊谷 小百合, 吉田 康行, 伊集院 幸輝, 押山 千秋, 藤波 努, 西村 拓一
    セッションID: 2L4-GS-3-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    高度な身体動作が求められる介護や製造業、スポーツなどの熟練者の知識は莫大であり,その効率的な伝承が求められている.そこでデータ知識構造化が行われているが,そこには問題動作に対するフィードバックの知識が追加されていない.そこでフィードバック知識を追加したデータ知識構造化により,身体動作を支援するアプリケーションを提案することを目的とする.熟練スポーツトレーナー1名が参加し,慣性センサ式モーションキャプチャシステム1台を使用した.解析対象は3種類の身体基礎動作とした.クライアントが行った動作をもとにフィードバックを行うシステムを開発した.本システムの効果の検証は今後の課題とする.

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