本研究では,NPP算出に関して重要なパラメータであるNDVIデータの雲等による欠損値を推定するために,気象条件を用いたNDVI推定モデルを開発することを目的として検討を行った。始めに,NDVIともっとも相関が高い気象条件を特定した。その結果,日本においてNDVIにもっとも影響を与えている気象条件は,平均気温の積算値であることが確認できた。
この結果から,積算平均気温を用いたNDVI推定モデルを,ロジスティック回帰モデルと二重指数回帰モデルを用いて構築したところ,二重指数回帰モデルの方が精度良くNDVIの季節変化を推定できることが確認できた。モデルの検証のため,NDVI値の観測値と推定値の年間のRMSEを算出した結果,85の観測場所の平均で,RMSEは0.0589であり,個々の観測場所ごとのNDVI推定モデルは実用上十分な精度の推定が可能であることが示された。
今後の課題としては,NDVIの推定モデルを一般化するために,本研究で得られた知見をもとに,日本全土をNDVIの変化パターンにより分類し,その類型ごとにNDVI推定モデルを構築することが考えられる。
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