最短距離法や最尤法などの分光特性に基づく土地被覆分類では,分類項目間の分光特性が類似することに起因して誤分類が生じる。一方,JERS-1の合成開口レーダー(SAR)画像からは地表面の粗密度に関する情報を把握できる。本論文ではこの粗密度情報を利用して,SPOT-HRV画像の土地被覆分類において高密度市街地と空地の項目間で生じる誤分類を修正する方法を提案している。
修正対象画素はHRV画像で高密度市街地に分類された画素とした。これらの画素の位置をUTM座標変換によりSAR画像の画素位置に対応づけた。SAR画像におけるこの画素位置の周囲±3画素の範囲をSAR周辺画素とし,HRV画像での誤分類の判定指標である市街化率を計算する領域とした。
SAR周辺画素の各CCT値を対数変換し,この値がいき値とした59以上であれば市街化していると判断し,この値未満であれば空地や森林などの自然物と判断した。ついで,この市街地と判断された画素数のSAR周辺画素に占める割合を市街化率とし,この指標に基づいてHRV画像の誤分類を判定した。すなわち,このSAR周辺画素の市街化率が0.05以下である場合,HRV画像で高密度市街地に分類された画素は誤分類が生じた可能性が高いと判定して,これを空地に修正した。
空中写真からの目視判断結果を参照データとして修正前後のHRV画像の土地被覆分類を比較した結果,空地の分類的中率は最短距離法で66.9%から92.1%に,最尤法で74.5%から946%に改善された。また,高密度市街地に誤分類された空地の約80%が修正できたことなど,提案手法の有用性を確認している。
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