地球表面上には山岳地帯,人間が生活するための人工物,あるいは樹木等その凹凸は変化に富んでいる。これらの物体が太陽によって照らされるとき,その物体の影が地球表面上に作られる。一般にLandsatデータにおいては,太陽光により直接反射された領域が解析される。地球表面上の影の部分においては,人工衛星はその影の部分からのSkylightの反射光と,それにパスラジアンスをデータとして収集する。従って影の部分からの反射光は直接反射光とは異なったいくつかの情報を持っていると考えられる。
影は太陽の天頂角及び、物体のサイズ等が関数となり,その大きさが変化することは良く知られている。そして影を生じる場所は,その場所が照明される確率として表わされる。影の領域の輝度が太陽の天頂角及び,物体とどのような関係がるかを調べることは興味のあることである。そこで実験室と屋外で,ボール紙で作成した三角柱のモデルを用いて,影の部分の輝度を測定した。実験室においては,我々の研究室で製作されたリモートセンシングシミュレータを用いて,モデルから反射された光の輝度が測定された。室外においては,スタンフォード大学の構内において実験が行なわれた。用いた光源の天頂角の変化にたいして,三角柱のモデルの影の部分の輝度は一定であり,またその天頂角を一定にしたとき,ボール紙で作成した三角柱の頂角の変化にたいして,その輝度は一定であった。この実験結果は,我々の今までに影に対する認識の事実をはっきりとさせるため,大いに興味があるものとなるであろう。この論文においては,これらの現象をShadowing効果という。またボール紙で作成した三角柱の影の部分から反射したSkylightの分光分布が測定され,位相角が一定のとき,Rayleigh散乱の分光分布に対応していることを確認した。
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