Second Language
Online ISSN : 2187-0047
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16 巻
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特別寄稿
  • ―語彙サイズと処理速度の統合―
    マイケル ハリントン
    2018 年16 巻 p. 5-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿では,語彙の即時的運用能力の概念を紹介する。この概念は,語彙サイズと語彙処理能力の2つの側面を第二言語(L2)の語彙スキルの相補的な指標とするアプローチである。2つの側面を結びつけると,語彙サイズのみの場合と比較して,L2の語彙スキルの個人差のより敏感な指標となる。本稿では,語彙スキルの概念および測定法の概念として,語彙の即時的運用能力を説明する。この提言から生じる理論的,および方法論的諸問題について論じる。

  • ―制約・知識からデータ・教育へ―
    アラン ジャフス
    2018 年16 巻 p. 19-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿では,過去10年間の生成文法理論に基づく第二言語習得(SLA)研究を概観することから始める。文処理研究(e.g., Juffs & Rodríguez, 2014)や形態素処理研究(e.g., Clahsen et al, 2010; Cunnings, 2016; Diependale et al., 2011)の主要な発見や方法論に焦点を当て,これまで問題にされてきた形式的・理論的なSLA研究における疑問(例えば, 普遍文法へのアクセス,表層的な処理や形態素を無視してしまうといった問題)の多くは,成人学習者が時間をかけてインプットに触れることにより,母語話者の言語知識に近づいていくと考えることで解決できると提案する。しかしながら,このようなアプローチが広く応用言語学との関連で捉えられるためには,言語理論に基づくSLA研究が言語の制約や知識を扱うだけでなく,教育の場面において学習者が実際に何を理解し何を産出するのか,その経年的な推移も説明しなくてはならない。そのため,ここではピッツバーグ大学の英語研究センターで収集したコーパスデータの研究を紹介する。これは,(理論)言語学の見識を踏まえたコーパスデータの研究であり,インプットにおける頻度や卓越性が言語習得の決定的な要因であると考える研究者が大多数を占める分野において必要とされるものである。集中英語プログラムに参加した学習者を対象として,語彙,音韻,形態,および統語の発達を論じ,詳細かつ注意深いコーパスデータの言語分析が,SLA研究にとって,また教育者にとっても同様に有益であることを示す。

  • ―明示的指導の効果―
    平川 眞規子
    2018 年16 巻 p. 39-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    第二言語習得における指導の役割について, これまでに多くの研究が行われてきた (Norris & Ortega, 2000; Spada & Tomita, 2010)。しかしながら, 生成文法を枠組みとする第二言語習得研究の成果を教室場面へ応用するということに関心が向けられるようになったのは, 最近のことである(Whong, Gil, & Marsden, 2013; Whong, Marsden, & Gil, 2013)。本稿では, 学習者の文法知識の変化に焦点をあて, 英語の自動詞における非対格と非能格の区別, および名詞修飾における形容詞の語順に関する小規模な先行研究の結果を概観する。そして, 非対格自動詞に特徴的な過剰受身形(e.g., the airplane was arrived at the airport) を排除すること, また形容詞の正しい語順の習得には, 明示的な指導が有効であることを主張する。

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