Second Language
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10 巻
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特別寄稿
研究論文
  • ベッキー テイラー
    2011 年10 巻 p. 15-31
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    英語を母語とする学習者による日本語の語レベルアクセントの習得を調査している先行研究では,標準語の直接的な影響と,学習者の中間言語と標準語の偶然の一致という二点を区別しているものは少ない.本研究では,イギリス英語を母語とする日本語学習者を対象に,経験の少ない学習者13名,経験の多い学習者8名が生成する2~3拍の独立名詞のアクセント型を音声学の専門知識のある日本語母語話者に判定させ,標準語のアクセント型との比較を行った.経験の少ない学習者と経験の多い学習者は,日本語の学習時間及び日本滞在期間の点で異なっていたが,資料語は学習者にとって馴染みがあると予測されるものを選定した.分析の結果,2拍名詞が有核で生成されるのか無核で生成されるのかは,どちらの学習者群においても,標準語のアクセント型とは無関係であるという結果となった.3拍名詞に関しては,標準語のアクセント型の影響はどちらの学習者群においても統計的に有意ではあるものの,標準語との一致は日本語の経験に関わらず高くなかった.この結果から,標準語の一致の大部分―2拍名詞の場合はその全て―は学習者の中間言語との偶然の一致の結果であるということが示唆され,また,英語を母語とする日本語学習者にとっては,ピッチを語の特徴として解釈することが困難であるという可能性が示唆される.

  • セス ゴス, 中山 峰治
    2011 年10 巻 p. 33-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    外国語(第二言語)学習者の音読には、しばしば自然な「リズム」が欠けている。このようなリズム、またはプロソディーの誤りは文構造の誤解に起因する可能性が高い。第二言語におけるプロソディーの先行研究は少なく、本稿では、第二言語としての日本語のプロソディーと文理解の関係を、音読を通して究明したい。特に、アメリカ人(英語母語話者)の日本語学習者による枝分かれ修飾構造のプロソディー産出と文理解の関係を考察する。日本語能力の異なった学習者に、構造的にあいまいな文とあいまいでない文を与え、その音読と文理解度を日本語母語話者のものと比較した。実験の結果、学習者は、文理解はできるものの日本語母語話者のようなプロソディー産出ができないことが分かった。つまり、日本語学習者の場合、プロソディーと文理解が必ずしも一致するとは限らない。

  • ―韻律構造移転の検証―
    梅田 真理, 一瀬 陽子
    2011 年10 巻 p. 51-77
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究では過去を表す形態素の習得について調査した。英語の習得において過去形「-ed」の脱落が多く報告されている(Lardiere, 1998a; 1998b; Hawkins & Liszka, 2003、他)。本研究はその研究結果に基づいて提唱された二つの仮説、Representational Deficit Hypothesis (RDH) (Hawkins, 2001; Hawkins & Liszka, 2003)とProsodic Transfer Hypothesis (PTH) (Goad, Steel & White, 2003; Goad & White, 2004; 2006)の信憑性について調査する。RDHによると、学習者の母語に含まれない素性は習得不可能であるとされる。従って、英語の「-ed」の脱落は[+past]の素性の習得が不可能であるため起こる、と主張されている。例えば、中国語はこの[+past]の素性が存在しない言語であるため、英語の過去形の習得が困難であるとされる(Hawkins & Liszka, 2003)。一方、PTHによると、英語の「-ed」の脱落は[+past]の素性の習得が不可能なためではなく、学習者の母語と第二言語の韻律構造(prosodic structure)の違いによるものだと主張されている。英語と中国語の例をとると、二つの言語は音律構造が異なっており、その結果過去形の「-ed」の脱落が起こる、とされている。この二つの仮説の信憑性を見極めるため、本研究では中国語話者における日本語の過去形の習得を調査した。日本語は英語と同様に[+past]の素性を持つため英語と類似しているが、日本語の韻律構造は中国語と同じである。従って、日本語は[+past]の素性を持つため、RDHによると、日本語の過去形「た」は英語の「-ed」と同様に困難であると予想される。一方、PTHによると、中国語と日本語の韻律構造は同一のため、中国語話者にとって日本語の過去形は英語と違い問題を引き起こさないと予想される。本研究では12人の中国語話者に対して実験を行った。実験結果によると、筆記テストと発話テストにおいて正確に過去形を産出することができる中国語話者がおり、結果はPTHを支持するものとなった。

  • ―英語を母語とする学習者の日本語イントネーションに見られる母語干渉―
    鶴谷 千春
    2011 年10 巻 p. 79-102
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究はオーストラリア英語話者による日本語文のイントネーションに見られる母語の韻律の干渉を調査するものである。第二言語話者のイントネーションは単語レベルとフレーズレベルのそれぞれのレベルでの母語干渉の複雑に混ざり合ったものだと考えられる。初級後半レベルの学習者が日本語の文を読み上げた録音を元に、韻律のレベル別の考察を行った。第一部ではそれぞれのレベルにおいて典型的な誤りのパターンを挙げ、第二言語習得の観点から記述した。第二部では学習者のイントネーション曲線を音響的に測定し、母語話者のものと比較した。その結果、母語話者と同一のイントネーション曲線を保つことは必ずしも発音の評価基準に必要ではないが、日本語では単語レベルでの正しいピッチパターンが文レベルのピッチパターンを型作ってゆくため、学習者にその点を注意深く指導する必要があることがわかった。

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