Synthesiology
Online ISSN : 1882-7365
Print ISSN : 1882-6229
ISSN-L : 1882-6229
13 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文のポイント
研究論文
  • —人と相互理解できる人工知能技術によるSociety5.0実現へのシナリオ—
    本村 陽一
    2021 年 13 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー
    Society5.0の実現のために、人工知能技術(AI技術)の社会実装を進める上での課題がある。計算モデルが現象を十分に近似するためには、適用する利用方法(ユースケース)にAI技術を埋め込んだ上でデータ収集と計算モデル化、価値創出と向上を同時、持続的に行う必要がある。そこでステークホルダーの評価を計算モデルに反映するために人と相互理解できるAI技術を用いて、ステークホルダー間の相互理解に基づく共創的ユースケース開発、トランスディシプリナリー型のオープンイノベーションを実行することでデータ知識循環型サービス・システムを構築し、価値創出と向上を実現する。このシナリオを実現するため産総研人工知能技術コンソーシアム(AITeC)の仮説、実装、検証について述べる。
  • 丸井 敦尚, 町田 功, 井川 怜欧
    2021 年 13 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー
    これまで、産総研では社会的な要請にこたえる形で、地下水研究を進めてきた。かつては、地下水資源の開発(工業用水の確保等)や環境保護のためであったが、現在では、エネルギー利用(地中熱利用等)や地下空間の活用(二酸化炭素の地中貯留や放射性廃棄物の地層処分等)にも地下水研究が貢献している。この論文では、地質調査所以来これまでに行ってきた地下水研究を紹介するとともに、現在解決すべき課題とその取り組みについて報告する。
  • —信頼性向上と国際標準化への取り組み—
    宮崎 広行, 安田 公一, 吉澤 友一
    2021 年 13 巻 1 号 p. 29-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー
    圧子圧入法(IF法)は試験片寸法・形状の制約が少なく、試験手法が簡便なことからセラミックスの破壊じん性試験法として、産業界で欠かせない存在である。しかし、従来手法では測定精度に劣ることや、算出式が多数存在し、どの式を使うべきかの統一的な見解がなく、国際的な取引に支障をきたしていた。そこで我々は顕微鏡の測定倍率を高くしてき裂長さの読み取り誤差を低減し、測定値の信頼性を改善する手法を開発した。また、この手法を使って最適な算出式を選定した。さらに国内外18試験機関の協力を得てラウンドロビン試験を行い、開発した手法の再現性を確認した。これらのバックデータに支えられて国際規格を発行することができた。
論説
  • —旧工業技術院の研究(無線通信とアンモニア合成)を例として—
    小林 直人, 亀山 哲也
    2021 年 13 巻 1 号 p. 45-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/14
    ジャーナル フリー
    この論説では、我が国の明治・大正時代の産業勃興期における旧通商産業省工業技術院研究所の前身の研究所群の役割を概観し、組織的な技術導入と実証、独創技術の研究開発、産業育成・振興の面から、その成果を紹介する。その例として、(1)電気試験所における無線電信、および(2)東京工業試験所におけるアンモニア合成、の研究開発を取り上げた。 イギリスで18世紀末に起きた産業革命は紡績機、硫酸等の製造技術の革新にあった。19世紀中頃から20世紀初めにはドイツ、アメリカを中心に電信電話機、アンモニア合成等で技術革新が達成された。それに対して我が国の産業革命は19世紀末(明治中期)から20世紀初頭(大正初期)にかけて起こったとされるが、その間の技術導入に加えて電気試験所におけるTYK型無線電話の発明や、東京工業試験所における「東工試法」というアンモニア合成法における新触媒開発等の独創的技術が創出されている。 一方、産業振興の面では、初期無線研究において技術が海軍に移されて研究開発が行われ、その後それらの技術が企業に引き継がれ我が国初の無線通信機製造会社が成立したこと、「東工試法」によるアンモニア合成技術が企業における国産初の硫安製造の成功に大きく貢献したことは大きな特徴である。 このように我が国においては極めて早い時期に、技術導入に加えて独自技術開発やその産業応用が行われていたことは注目に値する。またこの論説では、これらの例をベースに、それ以降引続く我が国の国立試験研究所の産業上の役割についても言及する。
編集委員会
編集後記
feedback
Top