近年, 自動車分野において形状記憶合金の実用化が進んでいる. この合金を自動車の部品として使う場合ある程度の温度にさらされた際のばね特性の変化, すなわち温間へたりの把握が重要となる.
今回筆者らはTi-Ni合金をばね素子に成形し, 組成, 時効温度が温間へたりに及ぼす影響を調査した.
実験の結果は以下の通りである. (1) Ti-Ni合金ばねの温間へたり試験により形状回復時の発生力は低下し, 低下の度合は試験温度が高くなるほど, また材料のNi温度が低くなるほど著しい. (2) 温間へたり試験により作動温度は変化するが, Ni濃度によって異なった挙動を示す. (3) 上記の現象はこの合金の過剰Ni分が析出することによって生じる現象であると思われる.
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