本論文は匂いと消費者行動について、心理学、マーケティング論の分野に加えて、既存のレビューでとりあげられなかった食品科学、感覚科学の分野を含めた123編の論文のシステマティック・レビュー(1995‒2022)である。本レビューは論文数でも過去のレビューの倍以上を含む包括的なレビューとして、消費者行動に関わる匂い研究の全体像を示すと共に、得られた知見(可能な限りその効果量を提示)を整理し 、残された問題点の明確化を行った。今後の研究方向についても、既存レビューの論点と同じく、感情アプローチと認知アプローチの統合、気づかれない匂いの効果をとりあげるが、付随する理論的問題点の整理を行い、その展望を試みている。含まれるテーマとしては、匂いと消費者の記憶、匂いの類型、嗅覚の文化差・個人差、匂いのマイナス効果、匂いの適合性、感情アプローチと認知アプローチ、気づかれない匂いの効果などを含む。
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