本研究はブランド・リレーションシップの形成と持続について検討したものである。概念的および経験的研究の結果、ブランド・リレーションシップの形成要因が識別されるとともに、ブランド・リレーションシップが可塑性を示すことが明らかになった。すなわち(1)ブランド・リレーションシップは「自己と当該ブランドの類似性」「当該ブランドと他ブランドの相違性」「好ましい思い出との結合」「ブランドの顕現性」によって形成が促進されることと、(2)いったん形成されると、これら諸要因が取り去られても一定の強度を保ち続けることが確認された。
本研究はブランド・リレーションシップを形成し、維持するための戦略的課題について検討したものである。2つの調査分析を組み合わせることで、ブランド・リレーションシップを形成し維持するためには「並ぶ関係」「共有と交流」「魅力の理解」「アイデンティティの一貫性」といった課題を達成することが重要であることが明らかになった。またこれらを踏まえたうえで、ブランド・リレーションシップの構築に向けて議論が行われた。
既存研究では、ブランドコミットメントを説明する構成概念として、ブランドと自己との結び付き、ノスタルジックな結び付き、ブランドラブが提案されてきた。本研究では、これらの代替的な説明概念を含む包括的なモデルを構成し、各構成概念のブランドコミットメントに対する固有の効果を経験的にテストした。実証分析の結果、(1)ブランドと自己との結び付きはブランドコミットメントに対してプラスの直接効果を持つこと、(2)ノスタルジックな結び付きはブランドコミットメントに対して直接効果を持たないが、ブランドと自己との結び付きを媒介として間接的にブランドコミットメントに影響を及ぼすこと、(3)ブランドラブの直接効果はブランドと自己との結び付きの直接効果よりも小さく、2つのうち1つのデータでは非有意であることが示された。
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