アルロースやアロース等の希少糖には,現代社会において問題視されるメタボリックシンドロームを予防する効果があることが報告されている。また,過去にはフルクトースのアルカリ異性化によりこれら希少糖を生産できる可能性が示唆されている。本研究では,ブドウ糖果糖液糖のアルカリ異性化によるこれら希少糖を含むシロップの効率的製造法を検討し,また実際に製造したシロップの希少糖含量の測定,これら希少糖のα-グルコシダーゼに対する阻害作用を解析した。アルカリ異性化の方法は,3種のアルカリ触媒と,基質を変えた際の希少糖生成量を調べた。希少糖含量はHPLCを用いて定量し,α-グルコシダーゼ阻害作用は,スクラーゼ活性に対する阻害作用を調べた。その結果,ブドウ糖果糖液糖を水酸化ナトリウムと強塩基性イオン交換樹脂で異性化する生産方法を確立した。この希少糖を含むシロップ中には,アルロース5.4g/100g,ソルボース5.3g/100g,タガトース2.0g/100g,アロース1.4g/100g,マンノース4.3g/100gが含まれていた。これら機能性単糖のスクラーゼ活性に対する阻害様式は不拮抗型であった。
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