酸性糖質のうち,分子内にカルボキシル基を有する「糖カルボン酸」に着目し,そのうち非還元末端に存在するヒドロキシメチル基がカルボキシル基に酸化されたウロン酸関連化合物について,その生産方法および機能性を紹介した.D-グルクロン酸はD-グルコースのウロン酸で,生体内ではUDP-グルクロニドの形態でグルクロン酸抱合による水溶性向上と体外排出に関わり,肝機能改善効果を示すため医薬品や栄養飲料の原料に用いられている.ウロン酸は,還元性末端にアルデヒド基(アルドース) あるいはカルボニル基(ケトース) が,非還元末端にカルボキシル基が存在するため,対応する単糖から直接化学酸化により生産することが難しく,保護基の導入や脱保護が必要である.工業的には,触媒存在下,澱粉を硝酸酸化した後,硫酸で加水分解して製造されており,強酸性に耐える製造設備が必要で,窒素酸化物が副生成するなど問題点は多い.本稿では温和な条件下選択的に反応が進む酵素法,微生物変換法について紹介する.
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