道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
5 巻, 1 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 中川 裕一朗, 佐藤 攻, 冨山 陽平, 水島 衣美, 押切 勉, 奴賀 賢, 小堺 豊, 北村 公一, 山下 敏彦
    2022 年 5 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大腿骨転子部骨折術後の偽関節率は0.8-2%程度と報告されている。今回我々は大腿骨転子部骨折術後偽関節で再手術が必要な症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 【症例】64歳男性。腎機能低下、糖尿病の既往あり。自動車運転中に中央分離帯に衝突し受傷した。当院に救急搬送され右大腿骨転子部骨折、右膝蓋骨骨折の診断となった。第4病日に意識障害を認め糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全の診断となり集中治療室管理となった。血糖が安定し第17病日に髄内釘による骨接合術を施行された。術後2週免荷ののち荷重歩行訓練を開始し、独歩可能になるまで回復し術後4ヶ月で自宅退院となった。術後7ヶ月より誘因なく右股部痛が出現し徐々に歩行困難となったため当院再診。右大腿骨転子部骨折偽関節の診断となり、術後9ヶ月で髄内釘入れ替え、腸骨移植を施行した。術翌日より部分荷重訓練を開始した。術後6週の時点で独歩可能となっている。 【考察】大腿骨転子部骨折の骨癒合阻害因子として諸家の報告では整復位不良、不安定骨折、内固定材料の設置不良が挙げられた。本症例では安定型骨折であり整復位や髄内釘の設置が良好であった。64歳と比較的若年であり活動性が高いこと、糖尿病、腎機能低下、手術待機時間が影響したことが骨癒合遷延に影響したと考えられる。 【結語】大腿骨転子部骨折の治療に際し骨折型や整復位のみならず合併症などの患者背景にも十分に注意すべきである。
  • 冨山 陽平, 佐藤 攻, 中川 裕一朗, 水島 衣美, 押切 勉, 小堺 豊
    2022 年 5 巻 1 号 p. 68-69
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【目的】右脛腓骨骨幹部遠位開放骨折に対して観血的整復固定術を行ったが偽関節となり、複数回の手術が必要となった症例を経験したため、初回手術方法を再検討する。 【症例】74歳男性。自転車走行中に転倒受傷、当院救急搬送となった。内側に第3骨片を伴った右脛腓骨骨幹部遠位開放骨折、腓骨遠位端骨折で同日緊急手術となった。開放創を洗浄、脛腓骨を髄内釘固定した。術後4週より部分荷重を開始し術後8週で全荷重としたが、骨折部の内反転位が進行し、術後6ヶ月で遠位screw の折損を認めた。骨折部は偽関節となっており、髄内釘を抜去、自家骨移植、plate 固定による再手術をおこなった。術後に創部感染や創部離開があり、洗浄ドレナージ、局所皮弁を行った。再手術後11週より全荷重を許可し、現在経過観察中である。 【考察】脛骨開放骨折は軟部組織の損傷が強く感染のリスクもあり、偽関節となりやすい。本症例における偽関節の原因として、骨折部の不安定性や骨欠損という力学的要因、開放骨折や慢性喫煙という生物学的要因が挙げられる。骨幹部遠位に対する髄内釘固定は不安定性が強く、内側に第3骨片があり骨欠損を生じたため、力学的に不安定であった。力学的安定性を得るためには、第3骨片をできる限りよせ、骨折部内側にaugmentation plate を設置するべきであったと考える。偽関節リスクが高い症例ではリスクを具体的に分析し、より強固な力学的安定性を目指した手術方法を入念に検討する必要がある。
  • 久保 公利, 渡辺 亮介, 東野 真幸, 津田 桃子, 加藤 元嗣, 木村 伯子
    2022 年 5 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】自己免疫性胃炎は胃カルチノイド腫瘍や胃癌のリスク因子であるが、内視鏡治療を施行した早期胃癌の報告例は少ない。 【症例1】76歳、女性【主訴】なし【現病歴】スクリーニングのEGD で胃角部大弯に0-Ⅱa 病変を認め、精査加療目的に当科を紹介受診した。【経過】早期胃癌の術前診断でESD を施行した。病理組織学的に早期胃癌(adenocarcinoma,tub1)で治癒切除であった。粘膜生検と血液検査(ガストリン 3400pg/ml、抗壁細胞抗体40倍、抗内因子抗体陽性、抗H.pylori 抗体 <3 U/mL)から、背景胃粘膜は自己免疫性胃炎と診断した。 【症例2】73歳、女性【主訴】なし【現病歴】スクリーニングのEGD で体下部小弯に0-Ⅰ病変を認め、早期胃癌の診断で当科を紹介受診した。また受診前にH.pylori 現感染の診断で除菌治療が行われた。【経過】ESD を施行し、病理組織学的に早期胃癌(adenocarcinoma,tub1>tub2)で治癒切除であった。粘膜生検と血液検査(ガストリン 1340pg/ml、抗壁細胞抗体>160倍、抗内因子抗体陽性、抗H.pylori 抗体 33U/mL)から、背景胃粘膜はH.pylori 感染と自己免疫性胃炎の合併例と診断した。 【症例3】68歳、女性【主訴】なし【現病歴】経過観察していた胃腺腫に増大傾向が見られたため、精査加療目的に当科を紹介受診した。【経過】胃角部小弯の0-Ⅱa 病変にESD を施行し、病理組織学的に早期胃癌(adenocarcinoma,tub1)で治癒切除であった。粘膜生検と血液検査(ガストリン 121pg/ml、抗壁細胞抗体 10倍、抗内因子抗体陰性、抗H.pylori 抗体 4 U/mL)から、背景胃粘膜は自己免疫性胃炎と診断した。 【結語】自己免疫性胃炎合併早期胃癌の3例を経験したので報告する。
  • -内視鏡技師の視点から-
    後藤 絵理, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2022 年 5 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】2次救急輪番日に消化器系疾患で緊急検査が必要な場合、待機の消化器科医師と内視鏡技師の2人により検査や処置が行われている。2次救急輪番日の待機が可能になるのは、通常内視鏡検査が一通り習得してからである。安全にかつ適切な介助を行うためには、その内訳や処置内容を理解し、頻度の多いものについては日常から意識して習熟しておくことが必要である。 【目的】2次救急輪番日における緊急内視鏡検査の現状について検証し、早期から習熟できると良い検査や処置を明らかにする。 【対象と方法】2016年4月から2021年6月までに報告された検査レポート206件206例を対象として、1)緊急検査の内訳、2)上部消化管内視鏡検査の内訳と処置内容、3)下部消化管内視鏡検査の内訳と処置内容、4)内視鏡的逆行性胆管膵管造影(以下ERCP)の内訳と処置内容、5)経皮的胆道ドレナージの内訳と処置内容について検証した。 【結果】206例のうち、男性は116例、女性は90例で、平均年齢は72.9歳であった。1)上部消化管内視鏡検査133例、ERCP43例、下部消化管内視鏡検査22例、経皮的胆道ドレナージ8例であった。2)上部消化管出血疑い84例(止血処置43例)、イレウス管26例、アニサキス症疑い12例(虫体摘出5例)、食道異物疑い7例(異物除去6例)、その他4例であった。3)下部消化管出血疑い14例(止血処置6例)、S状結腸捻転症5例(内視鏡的捻転解除成功4例)、イレウス管3例であった。4)胆管挿管成功42例で胆管ステント留置40例(EBS34例、ENBD4例、SEMS2例)、内視鏡的胆管結石除去術2例であった。5)PTGBD5例、PTCD3例であった。 【結語】内視鏡室へ異動してきた際、2次救急輪番日の待機を見据えて通常内視鏡検査の他に、早期から緊急検査に多い消化管出血(特に上部消化管出血)と胆道ドレナージ術の学習と習熟に努める必要がある。
  • 佐藤 千代子, 福原 直美, 阿部 千里, 後藤 絵理, 松本 健太郎, 成田 友子, 渡辺 亮介, 東野 真幸, 津田 桃子, 久保 公利 ...
    2022 年 5 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】当院では経鼻内視鏡前処置の挿入鼻腔の選択を患者の自覚による通気性の確認で行っていた。しかし時々麻酔用スティックや内視鏡の入れ替え、自覚のはっきりしない患者や疾患により自覚を伝えられない患者もいた。 【目的】経鼻内視鏡の際に、他覚的に挿入鼻腔を選択する方法として鼻息鏡を使用して挿入鼻腔を選択する方法(鼻息鏡法)と従来法を比較してスティックや内視鏡の挿入鼻腔の入れ替えを減らすことができるかを検討する。 【方法】鼻息鏡法として2020年7月~12月に経鼻内視鏡を行った440名に対し調査票に鼻息鏡の結果、本人の自覚、スティックや内視鏡の挿入鼻腔、入れ替えやスティック挿入時の抵抗の有無を記入した。従来法として2019年11月~2020年4月の498名の記録用紙から同じ項目を後ろ向きに調査した。鼻息鏡法は鼻息鏡で両鼻同時に息を吐き出し曇りの多い鼻腔に麻酔を行った。 【結果】自覚と鼻息鏡の一致率は66.1%であった。自覚では左が45.5%と多く、自覚が右の場合の一致率が84.4%と高かった。鼻息鏡では左右差なしが40.2%と多く、その場合自覚では左が63.2%と多く、一致率が悪かった。鼻息鏡法ではスティック挿入の抵抗あり9.7%、スティック入れ替え5.9%、内視鏡入れ替え1.8%、経口への変更が0.7%であった。さらにスティック挿入の抵抗があった場合にスティックを入れ替えると内視鏡の入れ替えが8%であったが、スティックの入れ替えを行わないと内視鏡の入れ替えは33%と高くなり有意差を認めた。 【考察】鼻息鏡法は従来法と比べスティック挿入の抵抗感を減らすことができた。自覚と鼻息鏡の一致率は高くないため鼻息鏡は自覚より鼻腔の広い方を選択できると思われる。また鼻息鏡法でスティック挿入に抵抗感がある場合には、挿入鼻腔を変更すると内視鏡の入れ替え率を減らすことができることも判明した。 【結論】経鼻麻酔における挿入鼻腔の選択に鼻息鏡の使用は有用である。
  • 廣瀬 奨真, 三浦 巧, 阿部島 滋樹, 阿部 悟
    2022 年 5 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    はじめに:近年高齢化に伴い90歳以上の超高齢者に対する手術が増加している。一方で超高齢者は各種主要臓器の生理的機能や予備能の低下、各種併存疾患を有しており周術期合併症のリスクや術後ADL の低下が懸念される。目的:当科での超高齢者に対する手術治療成績および合併症等について検討し臨床的特徴や問題点について検証する。方法:2016年1月から2020年8月までの当科で超高齢者に対して全身麻酔下に外科手術治療を行った41例(男性/女性:12例/29例)について、患者背景(疾患、術式など)および周術期合併症や転帰等についてretrospective に検討した。結果:年齢中央値92歳(90-102歳)、疾患は悪性腫瘍:10例(胃癌:2例、大腸癌:7例、乳癌:1例)、急性腹症の緊急手術:17例(穿孔性腹膜炎:4例、絞扼性腸閉塞:5例、鼠径ヘルニア嵌頓:3例、結腸軸捻転症:2例、大腸壊死:1例、腹膜炎:1例、直腸潰瘍:1例)、良性疾患:14例(鼠径ヘルニア:9例、胆石:4例、直腸脱:1例)であった。術後30日以内の手術関連死:2例(4.9%)、Clavien-Dindo 分類Ⅲ以上の術後合併症:6例(14.6%)、術後DIC:手術関連死の2例、肝不全:1例、sepsis:1例、abcess:1例、SSI:1例)、うち緊急手術は5例。術後在院期間の中央値:17日(0-57日)、術後30日以上の在院死亡:2例(いずれも緊急手術症例)、良性疾患はすべて自宅退院しており、悪性疾患も自宅退院もしくは入所していた施設へ戻ることが可能であった。考察:当院の特徴として、緊急手術を要する急性腹症が多く、手術関連死や術後合併症も緊急手術症例で多かった。これは重篤な急性腹症に対する救命目的での緊急手術が多いため自ずと死亡率や合併症率が高い結果になったと考える。一方で、悪性腫瘍や良性疾患は、待機的かつ計画的に手術遂行が可能で当院では術前栄養療法や運動療法など包括的なプレリハビリテーションを積極的に導入しており、これが良好な経過に寄与した可能性が高いと考えた。結語:超高齢者に対する外科手術治療の適応は未だ議論を有するが、年齢だけが必ずしも手術適応外とする指標にはならないことが示唆された。
  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2022 年 5 巻 1 号 p. 90-95
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は32歳、0妊0産(未婚)、子宮がん検診の希望にて受診したところ、長径20cmを超える卵巣嚢胞性腫瘍を認めた。画像診断、腫瘍マーカー等の所見では悪性も否定できなかったが、希望にて小切開手術を行う方針とした。腫瘍内容液の漏出防止法としてソフトカップアスピレーターを使用し、4cm小切開手術にて片側付属器摘出術を施行した。摘出物重量は3,110gで、病理組織検査では右卵巣漿液性嚢胞腺腫であった。
  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2022 年 5 巻 1 号 p. 96-100
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は81歳で、下腹痛、下痢、食欲不振、全身倦怠感の主訴で内科を受診したところ、長径10cmに及ぶ大型の卵管卵巣膿瘍を認め産婦人科を紹介された。メロペネムを投与したところ著効し、画像上で膿瘍病巣が消失した。カルバパネム系薬剤は国内外のガイドラインで推奨されておらず、薬剤耐性の問題もあるが、感染症に対して脆弱と考えられ、合併症等で周術期リスクも高いと考えられる高齢者等では、カルバパネム系抗生剤の使用による強力な抗菌治療も選択肢の一つとして考慮してよいのではないかと考える。
  • 池田 健
    2022 年 5 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】アミノ酸置換を伴うミスセンス変異の有害性は、ClinVar 等の公開データベースが提供する臨床的エビデンスをもとに確定される。臨床的エビデンスの十分ではない変異や意見の分かれる変異は、ClinVarでは各々VUS(Variants of Unknown Significance)、CIP(Conflicting interpretations of pathogenicity)とラベリングされる。VUS あるいはCIP に相当するミスセンス変異の有害性を予測するためのコンピュータ・ツールが多数公開されている。それらは大きく3つに分類できる。アミノ酸置換障害度をもとにタンパク質機能への影響から予測する方法、進化系統樹の配列保存性によって予測する方法および他のツールのスコア等を統合して予測する方法(アンサンブル法)である。各ツールには、構築に用いたデータや予測モデルの違いによって特徴があり、予測精度にも差がある。本報告では、がんゲノムプロファイリングでの使用を想定し、 dbNSFP(database for nonsynonymous SNP’s functional predictions)によって得られるスコアをもとに、ミスセンス変異有害性ツールの予測精度について検討した。 【方法】FoundationOne Dx がカバーする309遺伝子について、ClinVar に登録されているミスセンス変異をダウンロードした(78,090変異、2021年3月25日~27日)。ClinVar における臨床上の意義が明確であることなどを条件に、5,858変異に絞った。各ミスセンス変異について、35のツールが評価するスコアを、Rパッケージmyvariant を用いてdbNSFP(database for nonsynonymous SNP’s functional predictions、v4.0)より一括取得した。予測精度の検出には、各ツールの構築に用いられたデータとの重複を避けるために、登録年が2019年、2020年あるいは2021年の比較的新しいデータのみを使用した。予測精度は、ROC 曲線(Receiver Operatorating Characteristic curve、受信者動作特性曲線)およびROC 曲線下面積(AUC:area under the curve)によって評価した。全ての統計学的手法はRによった。 【結果】最もAUC の高いコンピュータ・ツールはclinpred であった。他の手法に比べ、アンサンブル法のAUC が高い傾向にあった。
  • 武田 和也, 角 俊行, 長久 裕太, 松浦 啓吾, 関川 元基, 渡辺 裕樹, 山田 裕一, 中田 尚志
    2022 年 5 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】気管支喘息通院患者の重症度は約半数が重症持続型である。中には、高用量のICS/LABA、LAMA、経口ステロイドや生物学的製剤を用いてもコントロール不良な患者も存在する。また重症気管支喘息には、EGPA やABPM など治療困難な喘息も含まれる。今回我々は、ニューモシスチス肺炎によりコントロール不良になったと考えられた症例を経験したため報告する。 【症例】87歳、女性。既往に緑内障があった。2007年より気管支喘息で通院していた。発作により頻回に緊急受診や入院、ステロイドburst 投与が行われていた。2020年5月よりフルチカゾンフランカルボン酸/ビランテロール吸入、モンテルカスト、レボセチリジン、プレドニゾロン5mg に加え、メポリズマブを開始したところ、コントロールは良好になった。しかし、2021年4月より、咳嗽を中心とした気管支喘息の増悪、微熱の持続のため入院した。CT で気管支肺炎像を認めたため、一般細菌感染による増悪と診断し、抗菌薬、メチルプレドニゾロンで治療を開始した。しかし微熱が軽快せず、CT を再検したところ、すりガラス陰影を認め、喀痰のニューモシスチスDNAPCR が陽性だったため、ニューモシスチス肺炎を診断した。スルファメトキサゾール・トリメトプリムによる治療を開始したところ、微熱は消失し、喘息コントロールも改善した。 【考察】ニューモシスチス肺炎の発症要因にプレドニゾロンの長期投与が考えられた。また、ニューモシスチス感染抑制には好酸球の関与が示唆されており、生物学的製剤使用による好酸球の抑制がニューモシスチス肺炎発症に関わった可能性があった。 【結語】生物学的製剤、ステロイドを用いても改善に乏しい重症気管支喘息の増悪の原因として、ニューモシスチス肺炎を鑑別に挙げる必要がある。
  • 松本 健太郎, 成田 友子, 後藤 絵理, 佐藤 千代子, 阿部 千里, 福原 直美, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2022 年 5 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】内視鏡的逆行性胆管膵管造影(以下ERCP)および関連手技において、選択的胆管挿管は基本的手技の1つである。術者と助手の協調作業が必要であり、当院では2017年度から内視鏡技師が助手を務めている。安定した成績を得るためには、胆管挿管におけるストラテジーを術者と共有する必要がある。 【目的】当院における選択的胆管挿管法の現状について検証すること。【対象と方法】2017年4月から2020年3月までに報告された検査レポート649件を対象として、1)ERCP 件数の年度別推移、2)初回乳頭の割合、3)初回乳頭における胆管挿管率・挿管法、4)初回乳頭における胆管挿管不成功例への対応について検証した。 【結果】1)2017年度144件、2018年度166件、2019年度155件、2020年度183件であり、年平均162.2件であった。2)初回乳頭の割合は40.8%(265/649)であった。3)挿管率は95.1%(252/265)、挿管法はWire-guided cannulation(WGC)54.0%(136/252)、Precut(Freehand)28.6%(72/252)、膵管ガイドワイヤー法(PGW)13.9%(35/252)、Precut(膵管括約筋切開術:PSP)2.8 %(7/252)、2 nd try 0.8 %(2/252)であった。4)術中ランデブー法4例、外科手術3例、経皮的胆道ドレナージ3例、BSC 2例、その他1例であった。【結語】内視鏡技師が助手であっても、胆管挿管率は95.1%と良好な成績であった。また挿管法についてはWGC を基本とし、困難例にはearly Precut やPGW を併用する当院のストラテジーを反映した結果となった。内視鏡技師は選択的胆管挿管においてWGC、Precut、PGW の習熟に努める必要がある。
  • 久保 公利, 渡辺 亮介, 東野 真幸, 津田 桃子, 加藤 元嗣
    2022 年 5 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】近年、術後膵液瘻に対する超音波内視鏡下経消化管ドレナージ術(EUS-TD)の有用性が報告されている。 【症例1】60歳、女性【主訴】発熱【現病歴】膵神経内分泌腫瘍の診断で膵尾部切除術を施行した。術後第13病日に退院したが発熱のため第18病日に再入院した。【経過】血液検査で炎症反応の上昇(WBC 12.5×10^9/L、CRP 22.4mg/dL)を認め、CT で膵剥離面と胃の間に71×42mm の液体貯留を認めた。術後膵液瘻と診断し、EUS ガイド下に胃から穿刺し外瘻チューブ(ENBD 6Fr Pig tail)を留置した。液体貯留の改善を認め、1週間後に内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)に交換した。3ヶ月後に内瘻チューブを抜去し、以降再燃なく経過観察中である。 【症例2】77歳、男性【主訴】腹部膨満感【現病歴】大学病院にて腎癌膵転移の診断で膵尾部切除術を施行された。退院後は当科に通院し術後膵液瘻の経過観察を行っていた。術後5ヶ月目に腹部膨満感を主訴に外来を受診し、CT で膵液瘻の増大を認めたために入院した。【経過】血液検査で炎症反応の上昇(WBC 6.5×10^9/L、CRP 7.8mg/dL)を認め、CT で膵剥離面と胃の間に79×68mm の液体貯留を認めた。EUS ガイド下に胃から穿刺し外瘻チューブ(ENBD 6Fr Pig tail)を留置した。液体貯留の改善を認め、10日後に内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)に交換したが、翌日に瘻孔周囲炎を発症しチューブを抜去した。液体貯留の再増悪を認め、22日後に再穿刺し内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)を留置した。以降再燃なく経過観察中である。 【結語】術後膵液瘻に対してEUS-TDを施行した2例を経験したので報告する。
  • 藤井 正和, 黒川 貴則, 細井 勇人, 金子 行宏, 本原 敏司
    2022 年 5 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    甲状腺良性疾患に対する低侵襲手術として、2016年に内視鏡補助下甲状腺手術(Video-assisted neck surgery:以下VANS 法)が保険収載された。VANS法は前胸部外側小切開による甲状腺手術であり整容性に優れた術式である。当院でも2019年より吊り上げ法によるVANS法を導入した。反回神経は神経刺激装置で確認しながら行っている。これまで5例の手術を行った。最終診断からみた対象疾患の内訳は腺腫様甲状腺腫5例、乳頭癌1例(1例で両者並存)であった。手術患者は全員女性であり、平均年齢は54歳、平均出血量は9ml、腫瘍の最大径は39mm であった。反回神経麻痺を含めた合併症は特になく、外切開への移行を認めなかった。今回われわれはこれまでに当院で経験したVANS 法症例について報告する。
  • 野渡 裕之, 池田 健, 新谷 尚美, 石岡 ゆかり, 福田 みどり
    2022 年 5 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】近年、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、遺伝子変異を調べる検査の種類が増加している。遺伝子検査の依頼は外注検査で実施している病院がほとんどであり、依頼方法は検査依頼書用紙を用いていることが多く、各部門において煩雑な作業が発生していた。このような背景から当院では各部門の業務を軽減させるために遺伝子検査の依頼方法を電子化に変更したので報告する。 【内容】検査依頼書用紙での依頼は複数の依頼書の中から、医師が対象項目の依頼書に患者情報を手書きして病理検査室に提出を行っていた。会計用紙は別途医事課に流れ、医事担当が各検査項目について目的や癌種別などを確認して手入力で会計処理を行っていた。一方、病理検査室では病理スライドを入れるスライドケースに患者情報を記載する作業が発生していた。又、結果についても検査室にて結果報告書をスキャンする作業が発生していた。検査依頼方法を通常の血液検査同様に電子化したことにより、医師は対象項目を癌種別、目的別に画面誘導され選択クリックするだけで依頼は完了、医事連携では余計な確認作業を不要とし、診療報酬に応じた点数算定とコメント附記まで可能となった。病理検査室においても検査依頼時に出力されたバーコードラベルが届くため、スライドケースに貼付するだけで作業が完了するようになった。検査結果においても結果参照画面に表示されるようになり、スキャンの必要が無くなった(一部対象外項目あり)。 【結語】当院での遺伝子検査の依頼方法変更について報告した。電子化したことにより各部門にて業務軽減や誤算定などのリスクが軽減された。検査室は検査を実施するだけが業務では無く、検査を依頼するにあたり関連部署で発生している問題点にも着目して、他部署と協力して問題解決に向けて活動をしなくてはならないと考える。
  • 竹内 理絵, 中釜 郁, 浅地 菜々子, 表 俊輔, 汐谷 あずさ, 上原 浩文, 多田 周, 大湯 岳
    2022 年 5 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    〈はじめに〉肺がん患者では、呼吸筋のエネルギー代謝亢進の影響で呼吸筋が減少することにより呼吸状態の悪化・免疫力の低下などが引き起こされ、感染症発症のリスクが高まりやすい。この際、呼吸筋で優先的に代謝されるものが分岐鎖アミノ酸(BCAA)である。BCAA には筋たんぱく質の異化を抑制し呼吸筋を維持する働きがあると言われており、さらにリハビリテーションとの併用による術後合併症予防効果が期待されている。〈目的・対象〉2021年8月より、呼吸器外科に入院の呼吸器外科術前リハビリパス適応患者を対象に、術後合併症予防を目的とした分岐鎖アミノ酸強化食品の使用を開始した。当パスは、肺気腫を有する患者など低肺機能の肺切除予定患者を対象としており、2019年末から開設されている肺がん・呼吸器病センターにて治療方針決定の段階から多職種が介入し症例検討・評価が行われ対象者が抽出されている。〈運用方法〉入院当日に病棟担当管理栄養士が対象患者に対し分岐鎖アミノ酸強化食品の使用の目的・摂取方法・摂取のタイミング(リハビリ後)等を説明、パンフレット・摂取チェック表を配布し、翌日から使用する流れとした。分岐鎖アミノ酸強化食品を摂取困難である患者や中断した患者については、他の栄養補助食品を検討する対応としている。また、病棟やリハビリテーション科の協力を得て、リハビリ後の分岐鎖アミノ酸強化食品の摂取状況の把握等も連携して行っている。今回、この取り組みの概要や経過について報告する。
  • ‐新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を想定した検討‐
    小林 聖子, 大須田 恒一, 竹内 岳, 一戸 康行, 秋葉 理沙, 谷藤 貴行, 七尾 結輝, 石川 弘人, 石戸 忠雄, 角 俊行, 村 ...
    2022 年 5 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    [背景]CT 検査はCOVID-19ウイルス性肺炎のスクリーニングだけでなく、重症度判定や合併症の評価にも重要な役割を果たしている。一方、長期経過観察や若年者の撮影においては放射線被ばくの影響が懸念される。画像再構成技術の進歩により被ばく線量低減と画質向上の両立が進められてきたが、特に近年は人工知能による深層学習を用いた画像再構成法(Deep Learning Reconstruction:DLR)の有用性が注目を集めている。低線量胸部CT 検査にてCOVID-19ウイルス性肺炎の画像所見を検出することができれば、早期の治療開始に貢献できると考える。 [目的]DLR 法(低線量撮影・DLR)と従来法(通常線量撮影・逐次近似応用再構成)を比較し、画質と被ばく線量の観点から有用性と課題を検討する。 [方法]DLR 法と従来法について①解像特性②ノイズ特性③信号ノイズ比を比較した。 [結果]DLR 法は低線量領域においても解像特性を損なうことなくノイズ低減を達成していた。撮影線量を60%低減した際のDLR 法の信号ノイズ比は従来法と同等の値を示した。 [考察]撮影線量と画像ノイズ量はトレードオフであり、低線量撮影時は逐次近似応用再構成法等の画像ノイズ低減処理を要する。逐次近似応用再構成法は処理強度に依存して画質変化を生じる傾向にあるが、DLR 法ではその傾向は認めない。視覚評価と相関の強い信号ノイズ比の解析結果からも診療医に与える違和感は小さいと想定する。以上より、DLR 法は物理評価・視覚評価ともに従来法に対して優れていると考える。ただし、本検討は肺野条件に限定しており、縦隔条件は別途検証が必要である。また、被験者の体格を考慮した線量設定(AEC)も必要だと考えられた。[結語]DLR を併用した低線量胸部CT 検査は被ばく線量低減と診断能を両立し、COVID-19ウイルス感染症の診療に有用であると考える。
  • 秋山 香織, 藤井 收
    2022 年 5 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】外部照射は必ず放射線が皮膚を透過するため、放射線皮膚炎(以下皮膚炎)が発生する。皮膚炎の発生機序、観察視点、評価方法、ケア方法などは院内研修会を開催して病棟看護師・外来看護師へ伝達してきた。しかし照射部位の観察、評価が出来ていない、ケア方法が統一されていなかった。2020年8月に放射線皮膚炎ケアマップ(以下ケアマップ)を作成した。 【目的】ケアマップを作成、活用した病棟看護師・外来看護師間での取り組みについて報告する。 【方法】ケアマップは観察・評価、皮膚ケア方法、セルフケア支援の3項目に分けて表にした。観察項目は照射回数・照射線量別に表示、評価方法は、有害事象共通用語規準v5.0日本語訳JCOG 版を一部改変、Grade 別に写真を掲載して評価し易くした。皮膚ケア方法の項目では洗浄・保湿・保護・軟膏処置内容を耳鼻咽喉科医師、皮膚排泄ケア認定看護師と相談の上、Grade 別に軟膏の種類やケア方法を決定した。病棟看護師・外来看護師は、皮膚炎の観察や評価時にケアマップを用いてケア方法の選択を行い実践した。 【結果】病棟看護師、外来看護師はケアマップを用いる事で、対象患者の照射回数、照射線量から、起こりうる症状を予測してケアを提供することができた。また皮膚炎を意識的に観察して正しく評価、適切なケアを病棟看護師・外来看護師間で統一して提供できた。 【結語】ケアマップは病棟看護師・外来看護師間での情報共有のツールとして有用であると考える。
  • 中納 丈夫, 佐藤 千草, 佐藤 とし子, 加藤 元嗣, 大原 正範, 米澤 一也, 柴田 真夕
    2022 年 5 巻 1 号 p. 40-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】重症心身障がい者は、長期臥床による廃用や嚥下障害による栄養不足、日光浴の不足や抗てんかん薬によるビタミンD吸収阻害等により骨密度の低下があり、骨折事故が生じやすい。当院入院中の患者52名に骨密度測定を行ったところ、87%に骨粗鬆症がみられた。また、患者9名に骨折の既往があり、一人で複数の骨折既往のある患者や、日常生活援助の中で軽微な力で骨折するような、リスクの高い患者もいる。ひとたび骨折すると、OPの適応とならず保存的治療を余儀なくされることも多い。骨の生成にはビタミンDが不可欠で、食事からの摂取の他に、日光浴による紫外線照射が有用であると言われている。今年度、当病棟で骨折予防の取り組みとして、内服薬投与と併せて日光浴に取り組んだので報告する。 【対象】重症心身障がい者病棟入院患者50名【方法】晴れた日の10時~11時半にベッドまたは車椅子・座位にて1回10分~30分程度の日光浴を行う。適宜午後からの日光浴を行う。肌の露出は両手・両足とし、できるだけ露出を多くすることとした。日光浴前後に水分補給を行い熱中症に注意した。 【まとめ】前病院では、日照時間が函館より短く、日光浴は年に5~6回程度にとどまっていたが、函館に来てからは、初夏の時期に10日前後の日光浴ができた。しかし、北海道は1年の中で太陽光を浴びることのできる期間や時間が、他の地域に比べて短いと言われているため、今後も計画的に日光浴を行い骨折予防に努めたい。
  • 村上 幸一, 佐々木 麗衣, 寺本 彩乃, 松田 毅, 佐藤 とし子, 大原 正範
    2022 年 5 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】重症心身障がい者に対する日常の治療・介護において骨の気弱性による骨折が危惧されている。当院では今年3月にⅩ線テレビ装置の更新に伴い、その搭載ソフトSmartBMD により骨密度測定が可能となった。4月から骨密度測定の検査を開始し、昨年8月から運用を開始した重症心身障がい者病棟に入院する患者の骨密度測定を行い、若干の知見を得たので報告する。 【対象】重症心身障がい者病棟の患者52名について測定・解析を行った。 【検討項目】①SmartBMD について② QA ファントムを用いたQA解析時の測定値の精度③実際の重症心身障がい者の骨密度測定④重症心身障がい者の骨密度測定における課題 【結果】①骨密度専用装置と比較して測定時間が約10秒と短く、また拡大率も低いため空間分解能が高く測定精度が期待できた② QA ファントムを用いたQA解析時の測定値は変動係数も小さく平均値もファントムの骨密度値とほぼ同じ値であった。③測定の際に患者の体動が問題となったが測定時間が約10秒と短いため、測定時の息止めはできなかったが53名中52名測定を行うことができた。④健常者と比して、骨の湾曲、変形などが多くみられ、解析時の測定領域の設定に苦慮した。 【考察】健常者と同じ体位をとることが難しく解析も骨変形で正規の位置に測定領域を設定できない患者もいたが、参考値としてデータは提供できたと考える。今後は骨の湾曲、変形にも対応したソフトの改良が望まれる。
  • 佐藤 嶺, 村上 正和, 三浦 一志
    2022 年 5 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】高齢化社会に対応すべく理学療法士(以下:PT)分野においても予防PT という領域が設立された。予防事業の活動実績報告は散見されるが介入効果や有用な評価項目に関する報告は少ない。今回、予防事業で活用する評価指標として最大一歩幅(Maximal Step Length:以下MSL)が有用であるかを検証していくための第1段階としてMSL の信頼性を検証したため報告する。 【対象】除外基準を満たした当院に在籍する男性25名(年齢:26±6、身長:170.2±14.8、股下長:78.0cm ±7.7、棘果長:84.9cm ±9.4) とした。 【方法】検査者は経験を有するPT 3名とした。股下長は恥骨結合から床面に下した垂線の距離とした。棘果長は上前腸骨棘から内果の直線距離とした。MSL は身体教育学研究所で開発した方法に準じた。被験者は1回/日の測定とし、2名以上の検査者の同一日の測定を避けた。測定条件は床素材と靴の有無を変えた4条件にて各2回測定した平均値を算出した。統計解析は同一条件における検者内・検者間信頼性、異なる条件における信頼性は級内相関係数ICC(1,1)及び(2,3)を使用しMSL と身長・股下長・棘果長の関係性に関してはPearson の積率相関係数を使用し危険率5%未満を有意とした。 【結果】同一条件による検者内信頼性は高い再現性を認めた。ICC(1,1):0.98(P<0.01)。検者間信頼性も4条件にて高い再現性を認めた。ICC(2,3):0.98~0.99(P<0.01)。異なる条件下における信頼性は床面素材の違いによる再現性への影響は少なく、靴の有無が再現性に大きく影響しているという結果となった。ICC(1,1):0.84~0.85(P<0.01)。MSL と身体的特徴では身長(r=.581)、股下長(r=.406)、棘果長(r=.660)であり、全ての項目に相関が認められたが棘果長でより強い相関が認められた。 【考察】本研究結果から、MSL は検査者による再現性を認め、靴の有無の条件を統一することで身体機能の経時的変化を追求することが可能となることが示唆された。
  • 古館 裕大, 成田 大一, 千葉 馨, 浜 克己, 三上 貞芳, 石田 裕二, 本間 哲
    2022 年 5 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】リハビリテーションロボットや遠隔リハを支える、治療者や患者が情報をやり取りするための技術(医療ICT)は、超少子高齢化社会において重要な役割を果たす。医療ICT の導入がリハの領域で進んでいる一方、在学時に情報処理を基盤とした技術に触れるリハの養成校は存在していない。この事から、本学院では、医療ICT の基礎を成す技術の習得を目的とした教育を、1、2年次に渡って行っている。その1つに、身体の動きを測定するセンサの使い方を学び、小学生向けのマイコンを用いて治療や評価の役に立つシステムを提案する科目(2年前期:リハビリテーション工学演習)を設けている。本報告では、学生がこの科目によって、医療ICT に関わる知識と技術をどの程度習得できたかについて述べる。 【対象と方法】リハビリテーション工学演習を履修した学生80名を対象とした。医療ICT の理解度については、①技術の選定、②技術の評価の2つに分類し、横断的なアンケート調査を行った。①技術の選定では、「対象疾患を考慮したセンサの選定(質問1-1)」「患者の回復度とセンサデータとの対応関係(質問1-2)」の2つを調査し、②技術の評価では、「技術の利点と欠点(質問2-1)」「技術の限界(質問2-2)」の2つを調査した。解答は0から10の中から、理解度の大きさに合った数字を選ぶものとし、中央値と四分位範囲で要約した。加えて、各分類内の項目間で対応関係を検討するため、spearman の順位相関係数を求めた。 【結果】アンケートの有効回答数は60であった。質問1-1は7(5.8-8.3)、質問1-2は7(6-8)となり、順位相関係数は0.85であった。また、質問2-1は8(6-9)、質問2-2は7(6-8.3)となり、順位相関係数は0.76であった。 【結論】疾患を十分に理解した上で、適切な技術を提案できている可能性が示唆された。この事から、医療ICT に関わる知識と技術の習得を促進できたことが考えられる。
  • 佐藤 攻, 小堺 豊, 水島 衣美, 押切 勉, 中川 裕一朗, 冨山 陽平
    2022 年 5 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
    手指PIP 関節内骨折の治療は脱臼、関節内骨片の整復位保持と早期の可動域訓練が 重要で ある。PIP 関節内骨折の治療法として経皮的鋼線固定、観血的手術など が 行われてきたが 、整復位保持と早期可動域訓練の両立は難しい。創外固定は骨片整復位と関節求心位の保持と早期可動域訓練が可能であり先行研究では比較的良好な治療成績が報告されている。当院で創外固定治療を行ったPIP 関節内骨折について治療成績を報告する。対象 平均年齢33歳(16-64)、男性5例。中指2例、小指3例を対象とした。手術方法は局所麻酔、イメージコントロール下に関節面を整復、創外固定装着して手術翌日より可動域訓練を開始した。受傷から手術までの平均日数は5日(3-13日)、創外固定の平均装着期間は27日(21-42日)であった。結果 全例で骨癒合が得られた。合併症は感染が一例であった。PIP 関節可動域は伸展制限平均7度(0-18)、屈曲平均91度(74-108)であった。TPD(指尖-手掌間距離は全例0cm であった。結語 PIP 関節周囲骨折は関節拘縮が発生しやすい。PIP 関節内骨折に対する創外固定術は軟部組織に対する障害が少ないため拘縮予防に有利と思われる。
  • 2022 年 5 巻 1 号 p. 0-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
  • 2022 年 5 巻 1 号 p. 5101-5103
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
  • 2022 年 5 巻 1 号 p. 5104-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
  • 加藤 元嗣, 中田 智明, 森下 清文, 恩村 宏樹, 平山 繁樹, 大原 正範, 渋谷 好孝, 山城 雅明, 棟方 哲, 上原 浩文, 久 ...
    2022 年 5 巻 1 号 p. 5105-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー
feedback
Top