海洋深層水研究
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18 巻, 1 号
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  • 山田 勝久, 柴田 雄次, 野村 道康, 今田 千秋
    2017 年 18 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    我々は正常ヒト由来培養線維芽細胞(以後,NB1細胞)を用いてCa/Mg比の増加および細胞の老化がNB1細胞の石灰化を促進することを既に報告した.本研究では,培地中のCa/Mg比が2という生理的条件でも,長波長紫外線(UVA)の照射によりNB1細胞は石灰化することを確認した.さらに海洋深層水(以後,DSW)は,UVA照射により誘導されるNB1細胞の石灰化に対する抑制効果を示し,この効果は表面海水(以後,SSW)よりも高いことがわかった.これらの結果から,DSWが有する顕著な細胞石灰化抑制効果は,DSWに含まれる成分が示す特異的な作用である可能性が示唆された.
  • 有馬 博史, 稲富 諒, 松田 昇一
    2017 年 18 巻 1 号 p. 8-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    フラッシュ蒸発法による海水淡水化装置のプレート式凝縮器の新たな材料として特殊コーティングされたアルミニウム合金板を提案し,その伝熱性能と海水に対する耐腐食性の評価に関する研究を沖縄県久米島の海洋深層水および表層水を用いて行った.実験では,25 μm厚PEEK, 100 μm厚PEEK, WIN KOTE®膜で特殊コーティングされた3種類のアルミ合金板をプレート式熱交換器にそれぞれ組み込み,表層水および深層水を同時に流すことで熱交換を行い,その時の熱通過率を導出した.また,この熱交換器に5カ月連続で通水を行い,伝熱性能および腐食に関する評価を行った.その結果,熱通過率は25 μm厚PEEKが最も良い値を示した.また,連続実験の前後では,いずれのコーティングについても伝熱性能に変化は見られなかった.腐食については,WINKOTE®のみエロージョンによる剥離で海水による腐食が発生した.
  • 多部田 茂, 井関 和夫, 加藤 孝義, 有井 祐人, 高橋 祐人, 大内 一之
    2017 年 18 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    栄養塩を豊富に含む海洋深層水を閉鎖海域に放流し,藻場造成や海藻養殖を行うことを目的とした実海域実験を,沖縄県久米島の真謝漁港にて実施した.効率的に藻場造成を行うためには深層水を滞留させる必要があると考えられるため,漁港内の海底にコンテナ(以下,実験区)を設置しその内部に深層水を連続的に放流した.実験区とその周辺環境のデータを継続的に得るために,実験区およびその周辺に水温計や流速計等を設置するとともに,年間を通して海水のサンプリングを行い栄養塩濃度の変動を把握した.また,実験区に導入する深層水の流量を変化させ,実験区内での深層水の滞留状況への影響を調べた.港の底に設置された箱形のコンテナは深層水を滞留させるのに有効であり,容積5.5 m3のコンテナに2.4 m3/hの深層水を放流することでコンテナ中層より下部は低温•高栄養塩の環境が保たれた.一方,コンテナ中層より上部では周辺海域の水平流速が大きくなると,外部海水と混合しやすくなる.また,実験区から流出した深層水は速やかに周辺海水と混合し,実験区のごく周辺においても海底付近の水温や栄養塩濃度に深層水の影響はほとんど見られなかった.
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