海洋深層水研究

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海洋深層水（DSW）を連続的に通水して，自然光のもとで増殖してくる天然の付着性微細藻類群集のみで，エゾアワビ（Haliotis discus hannai）種苗がどれくらいの殻長まで成長するかを調べた．透明のアクリルの筒に切断した透明なビニールチューブを微細藻類の増殖付着基板として多数収容した容器に，室戸DSWを毎時40回転で連続的に通水し，平均殻長2.2 cmのエゾアワビ当歳稚貝を260日間飼育した．その結果，アワビは3.5‒4.3 cmまで成長し，日間成長速度も60‒80 μm d－1，時には100 μm d－1を超えることもあった．以上の結果から，エゾアワビはDSW由来の付着性微細藻類を唯一の餌料として，少なくとも約4 cmまで成長することが明らかとなった．このことは，無機栄養塩を豊富に含むDSWを自然光条件下で連続的に通水することで，従来のように給餌にかかるコストをかけないアワビの種苗生産が可能であることを示唆するものである．

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