海洋深層水研究
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23 巻, 2 号
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  • 岩﨑 誠二, 久保 将太, 柳田 幸嗣
    2022 年 23 巻 2 号 p. 56-64
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    海洋深層水(以下,深層水)の淡水化技術の水道事業適用に関する妥当性を検証した.深層水は表層の海水(以下,表層水)と比較して浮遊懸濁物質が少ない,塩素消費量が小さい等,淡水化処理が有利である.また,現状の大多数の水道事業で使用されている陸水(河川水,湖沼水等)由来の原水と比較して水量が豊富であり,水温,水質が安定,水質は良好極めて清浄である上,水利権等取水にかかる制限も少ない.一方,深層水の取水可能な場所は大規模消費地である都市部からは一般に遠く,また海水淡水化にかかるコストが河川水等の浄化方法と比較して割高である.しかしながら技術の進展に伴いコストの差は縮まっており,海洋温度差発電の副産物としての淡水製造であればコストはさらに低減することが推察される.以上から,深層水淡水化技術は現在の水道事業が抱える水処理の諸問題解決への寄与が期待できる.
  • 山田 勝久, 山本 樹, 柴田 雄次, 野村 道康, 今田 千秋
    2022 年 23 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    Sustainable development goals(SDGs) の概念に合致した持続可能なエネルギー資源の一つである海洋深層水(DSW)の特徴は,太陽,波,風,地熱等とは異なり,それ自身に人類に役立つ様々な物質を含んでいることである.本研究では,DSW中に存在するが未だ十分に利活用されていない微生物に着目した.その中でも特に健康産業分野に利用されてきた乳酸菌を選択した.これまでに伊豆赤沢海洋深層水から分離されている19株の乳酸菌候補株から無作為に4株を選出して同定した.その結果,4株はいずれもLactiplantibacillus plantarumであり,分離株は基準株との比較において,生理・生化学的諸性状に若干の違いがあることが示唆された.さらに,分離株が生産する酵素にも相違がみられた.DSWからの分離株であるBF1‒13株の培養上清が,正常イヌ腎臓尿細管上皮由来細胞(MDCK細胞)を用いた研究でタイト結合関連タンパク質(TJs)およびアクアポリン3(AQP3)の遺伝子発現を亢進することを示した.一方,基準株の培養上清には効果はなかった.
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