海洋深層水研究
Online ISSN : 1884-958X
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ISSN-L : 1345-8477
17 巻, 1 号
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原著論文
  • 山田 勝久, 鈴木 正宏, 野村 道康, 柴田 雄次, 今田 千秋
    2016 年 17 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    我々は正常ヒト由来培養線維芽細胞(以後,NB1細胞)を用いてCa/Mg比に関する研究を行い,その増加が特に老化した細胞の活性を低下させることをすでに本誌で報告した.また本論文ではCa/Mg比の増加がNB1細胞の石灰化を促進し,さらにこの現象は細胞の老化に伴って顕著となることが示唆された.しかしながらこのような場合においても,伊豆赤沢海洋深層水の添加により,NB1細胞の石灰化が抑制されることがわかった.本研究の結果から,食の欧米化に伴いCa/Mg比が増加する傾向にある現代の日本の食餌において,海洋深層水の利用は細胞の石灰化を抑制する点で健康維持上,一つの有用なアプローチになると期待される.
  • 柴田 雄次, 齋藤 美恵, 山田 勝久, 寺原 猛, 小林 武志, 今田 千秋
    2016 年 17 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では伊豆赤沢海洋深層水取水設備の深層水の懸濁物の除去に用いるバッグ状フィルター から正常ヒト皮膚由来線維芽細胞を用いて細胞賦活物質を生産する微生物の分離を試みた.分離された614株のうち3株に細胞賦活効果が確認された.これら3株の分離株の中で最も高い細胞賦活効果を示した株(No. 265株と命名)について,16S rRNA遺伝子の塩基配列解析により種の同定を行ったところ,Vibrio gallaecicus CECT7244Tと98.74%の相同性が得られた.しかしNo. 265株はこの標準菌株と生理・生化学的性状にいくつかの点で相違がみられた.No. 265株の生産する細胞賦活物質を培養上清から,硫酸アンモニウムによる塩析と限外濾過処理で分画した.その結果,3 kDa以上の画分に活性が見られた.そこで,3 kDa以上の画分と主要な細胞増殖因子であるヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(以後,human bFGF)とのタンパク質レベルの相同性を酵素結合免疫吸着検定法(ELISA法)で調べたところ,human bFGFと抗原抗体反応を示さないことがわかった.以上の結果から,No. 265株はhuman bFGFとは異なる細胞賦活物質を生産していることが示唆された.
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