動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
57 巻, 2 号
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短報
  • 南 正人
    2021 年 57 巻 2 号 p. 31-38
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    奈良県奈良市の奈良公園と宮城県石巻市の金華山で、ニホンジカ(Cervus nippon)のオスの最も声量の大きい発情声であるHowlの頻度とその日周変化を調べた。奈良公園では1年間の調査が行われ、9月から3月までHowlの発声があり、11月に最も多かった。11月には日の出と日の入頃に頻度のピークがみられ、夜間にも小さなピークがあった。金華山では8月下旬から11月上旬まで調査が行われ、10月上旬と中旬にHowlが有意に多く、日の入り頃に頻度のピークがみられた。個体群密度は、奈良公園で440頭/km2程度、金華山で140頭/km2程度で、Howlの最も高い頻度は奈良公園で26回/時間、金華山で12回/時間であった。最高頻度を個体群密度で割ると、奈良公園;0.06回/時/頭/km2、金華山;0.09回/時/頭/km2となり、個体群密度の低い金華山が奈良公園の1.5倍となった。

  • 川瀬 啓祐, 平山 久留実, 河野 成史, 八代田 真人, 伊藤 秀一, 椎原 春一
    2021 年 57 巻 2 号 p. 39-45
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/07/10
    ジャーナル フリー

    飼育下キリンの死因の一つとして甚急性死亡症候群が知られている。この疾病は低栄養の状態が比較的長期間続いたことに起因すると考えられている。そこで本研究ではハズバンダリートレーニングを用いてキリンの定期的な血液検査および体重測定を実施し、さらにボディコンディションスコア(BCS)と摂餌量を調べることで栄養状態の長期モニタリングを行った。血液検査では異常は認められず、平均体重は906 kgで1日当たりの平均摂餌量は原物量で16.7 kgであった。体重およびBCSは、季節に伴う摂餌量の変動により変化した。摂餌量が増加し、体重およびBCSが増加していた時期では総コレステロール、中性脂肪および尿素窒素濃度の増加が認められため、これらの血液成分はキリンにおいても栄養状態の指標となることが示唆された。一方、血中遊離脂肪酸濃度は、体重やBCSとの明らかな関連性は認められなかった。

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