キリンはアフリカ原産の樹葉採食者である。先行研究では樹葉だけでなく、樹皮も採食するとされるが、日本在来樹種の樹皮への選好性の有無は明らかではない。そこで本研究では飼育下キリンを対象に行動観察を行い、選好性を調査した。調査期間を景観樹の状態からLT期(5-8月)とEE期(10-2月)に分け、観察を行った。与えた樹種は、シラカシ、サクラ、ニセアカシア、アキニレ、トウネズミモチ、ヤマモモ、エノキ(京都府内山林より伐採)であった。調査の結果、ニセアカシア、アキニレは他の樹種に比べ樹皮採食比が高かった(P < 0.05および0.01)。一方、エノキ、シラカシは他の樹種に比べ有意に樹皮採食比が低かった(P < 0.05および0.01)。つまり、選好性があると考えられた。樹皮採食比と採食行動発現スコア数には正の相関があり(rs = 0.56および0.75, P < 0.01)、キリンの採食エンリッチメントにおいて、樹皮を利用する樹種の給餌は、種本来の行動の促進につながると考えられた。
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