イルカふれあい施設でふれあい活動に参加するイルカ類17頭を対象に、ふれあい活動に参加する飼育下イルカ類の行動特性とストレス評価を行った。スキャンサンプリング法を用いて営業日の各個体の行動データを収集し、主成分分析により各個体の主成分得点を算出したところ、各個体の行動特性は施設ごとに異なることが示唆された。観察個体のうち、無保定採血が可能な個体は営業開始前と終了後に採血を行い、血漿中コルチゾル濃度の測定を行った。血漿中コルチゾル濃度は、営業開始前と終了後の間に有意差を認めなかった(z = 0.918, P = 0.359)、血漿中コルチゾル濃度の営業終了後/開始前比は、トレーニング頻度と負の相関を示したが(r = −0.495, P = 0.012)、来館者数との相関は認められなかった(r = −0.226, P = 0.301)。以上の結果から、イルカのストレス状態や行動特性には、仕事量よりもトレーナーとの関わり方が影響している可能性が示唆された。
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