動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
58 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • 今野 晃嗣, 大森 奈保子
    2022 年 58 巻 3 号 p. 93-108
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/13
    ジャーナル フリー

    両義的であいまいな刺激を肯定的(楽観的)または否定的(悲観的)に判断する認知傾向のことを判断バイアスと呼ぶ。判断バイアスは個人の感情や福祉の状態を反映していると考えられており,近年ではヒト以外の動物を対象にした研究も増えてきた。中でも伴侶動物のイヌの研究から,非実験動物の感情世界を理解するための知見が得られつつある。本稿では,イヌCanis familiarisの判断バイアスの研究動向を以下の論点からまとめた。まず,嚆矢となったMendl et al.(2010)の研究概要を紹介し,イヌの標準的な判断バイアス課題を解説した。次に,後続の研究成果をまとめ,イヌの判断バイアスに影響を及ぼす要因について,居住環境,行動発現,個体属性に分けて論じた。最後に,当該分野の成果および課題を指摘した。今後,判断バイアス研究を契機として,イヌの感情と福祉の理解が深まることを期待したい。

Original article
  • 森田 茂, 岡崎 駿平, 加藤 寛之, 上田 宏一郎
    2022 年 58 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/13
    ジャーナル フリー

    無線式加速度計が、子牛の動作を記録する機器の開発に利用されている。本研究では、無線式加速度計を用いて子牛の吸乳行動記録に利用し、子牛の吸乳行動の特徴を検討した。4頭のホルスタイン種子牛を単飼した。子牛の吸乳時間と吸乳回数は、ビデオ記録から求めた。加速度計を首輪に装着し、得られたデータから、最大エントロピー法を用いて吸乳頻度を推定した。推定平均吸乳時間は219秒であり、平均回数は473回であった。観察された吸乳頻度は2.2Hz(回/秒)であった。主に上下の動作を含む方向での加速度変化から、吸乳頻度が推定でき、推定された吸乳頻度は2.4Hzであった。用いたデータ期間は、平均80秒で、これは全吸乳時間の38.9%であった。全体の70%で、実測値と推定値の差が10%以内であり、加速度計で吸乳頻度が推定できることが示された。吸乳時間や吸乳回数は日齢とともに大きく変化するが、吸乳頻度の増加はわずかであった。

動物の行動と管理学会 2022年度研究発表会
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