プログラム学習は,目標到達値までの学習内容が系統的かつ細かいステップに配列された,シートもしくはティーチングマシーンを使って学習する学習方式である。教材作成においては,当然のことながら学習目標,内容が固定されていることが前提となる。本研究では,プログラム学習を,学習目標,内容,方法(教材)が刻々と変化する看護学実習においても適用できるよう改良を試み,教授活動を行った。その有効性の確認のために,教師と看護学生の会話をプロトコル分析し,動的なプログラム学習の提案を目的としている。その結果,教材によって変化する学習者の着目点,会話中の応答から推測される学習者の知識構造の変化に応じて,その都度かつ瞬時に,学習目標・内容を組み立て直すことにより,流動的な状況下においてもプログラム学習は可能となることが明らかになった。一方,推測される学習者の知識構造は,教授者の知識構造が反映されたものである。そのため,教授者の知識構造の範囲を超えた場合の対応について,今後検討すべき課題として残された。
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