日本風工学会年次研究発表会・梗概集
平成25年度日本風工学会年次研究発表会
選択された号の論文の63件中1~50を表示しています
風の性質
  • 小林 康宏
    p. 105-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本研究は日本に来襲する台風気圧場パラメータの統計的性質について調べる。  耐風設計の設計風速を決定するために台風モデルを用いたモンテカルロ・シミュレーションが行われることがある。この時に重要なことは、台風気圧場の再現性と、風速場モデルの精度であると言われている。台風気圧場の再現性を向上させるために、過去の台風の気圧場の性質を調べることは重要である。このような研究は、日本の台風に対して、藤井、光田らの一連の研究1)3)があるが、その研究以降20年以上経過しており本研究では最新のデータもふまえ1951年~2010年のベストトラックおよび1961年~2010年の日本全国の気象台における大気圧の地上観測記録を用いて気圧場を表すパラメータを求め北西太平洋全域にわたる分布について調べた。
  • 松井 正宏
    p. 107-108
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    耐風設計で用いられる基本風速は地上10mの高さにおける再現期間50年~100年程度の10分間平均風速であり,この風速マップは,日本各地の気象官署での風速の地上観測記録に基づいている。風速マップを策定する際には気象台位置での統計値を空間的に平滑化するなどの操作がなされる。この際の平滑化には日本全体に渡って一括に施されることが多く,場所によっては等値線が大きく変化することもある。本来ならば,気候区分を考慮し,風の性質が急変する場合には同様の性質を有する地域に分けて等値線を引くなど工夫出来れば,より適切な等値線が引けるであろう。本研究では,日最大風速,年最大風速など耐風設計で対象とする強風に対象をしぼり,統計処理により日本全国の観測記録を対象に地域区分を検討した。
  • 友清 衣利子, 前田 潤滋
    p. 109-110
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    風速の平均化時間が最大瞬間風速記録に影響を及ぼすことはこれまでにも指摘されているが,実際にはさまざまな平均化時間の風速記録が用いられており,その影響を検討した例は多くはない。本報告では送電鉄塔頂部で観測された強風記録をもとに,風速変動に及ぼす平均化時間の影響を検討した。平均化時間が大きくなっても平均風速値はほとんど変化しないが,最大瞬間風速値と突風率は平均化時間の増大に伴って小さくなった。乱れの強さは平均化手法によって特性が異なり,相加平均では,平均化時間の増大にともなってデータ数が減少するため,乱れの強さが大きくなるが,移動平均では,平均化時間の増大にともなって乱れの強さは減少することを確認した。
  • 山口 敦, 石原 孟
    p. 111-112
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本研究では、従来の風速に加え,風向の予報手法を提案するとともに,平均風速、変動風速について風速別の予報誤差を考慮することにより強風時の平均風速、変動風速の過小評価を改善すると共に、ピークファクタを動的に同定することにより強風時の瞬間風速の予報精度を向上させた。
  • 池谷 直樹, 萩島 理, 谷本 潤
    p. 113-114
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    都市境界層の対数則には,床面抗力の大きさの指標である粗度長と床面の鉛直方向移動を意味するゼロ面変位の空気力学パラメータが含まれるが,それらの同定方法は十分確立されていない.そこで,本稿では過去に測定した床面摩擦抗力,粗度抗力に加え,粗度上空風速プロファイルを計測することにより,都市境界層における空気力学パラメータの同定方法につて考察した.境界層高さに対し粗度高さが大きくなる都市境界層においても対数則領域が形成され,その空気力学パラメータである粗度長は,対数領域内で同定することが出きれば,その方法にほとんど影響されないことがわかった.その一方で,ゼロ面変位は同定領域や同定方法に敏感に影響される.
  • その1 ワイブル分布の適用
    高橋 徹, 徳山 榮基, 神田 亮, 平柳 光次朗, 古梶 崇之
    p. 115-116
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    その1では、一般的に20m以下に布設される架涉線支持機材の疲労設計に資する高風速領域(5m/s以上)での風速頻度分布を推定する手法の提案を行った。当該手法は、既存の気象観測所データをもとにワイブル係数を求め、観測所間で線形補間することでワイブル係数の広域コンター図を作成し、任意の地点の風況を推定するものである。その1では、当該手法により、栃木県全域でコンター図を作成し、実測値と予測値の評価を行っている。
  • その2 y=βe^(-αx)の適用
    平柳 光次朗, 神田 亮, 高橋 徹, 徳山 榮基, 古梶 崇之
    p. 117-118
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    その2では,その1と同様,架渉線機材の疲労損傷を評価するために,高風速領域における風速分布を各地に点在する観測所の記録より推定した。高風速領域における風速分布は,風速の増加と共にX軸に漸近するため という関数を適用し,パラメータ と を求めた。さらに,広域に渡る 及び のコンター図を作成し,観測地点の と を推定した。推定の精度に若干問題はあるが,この方法により観測地点の風速分布を推定できる可能性を示した。今後の検討としては, 及び を推定する箇所を増やすことや,地域的な影響を考慮する等が挙げられる。
  • 坂井 勇斗, 佐々 浩司
    p. 119-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    マイクロバーストにおける局所的な被害の原因となる局所的強風の発生要因を明らかにするため、水槽を用いたマイクロバーストの再現実験を行い、PIV解析によって速度場を調べた。その結果、局所的強風はマイクロバーストの外出流における乱流に起因するものではなく、下降流が渦により乱されないことと、その中に特に下降流の強い領域が形成されることが重要であることがわかった。実験結果を実スケールに換算すると、平均13m/sの外出流の中に30m/sほどの局所的強風が発生し、その領域は全体が3000mであるのに対し300mほどであることがわかった。
風環境
  • 木梨 智子, 片岡 浩人, 大塚 清敏
    p. 121-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    防風植栽は、その目的から厳しい風環境に設置されている。植栽によっては厳しい環境条件の為に枯れたものもある。そこで、東京都内の防風植栽45箇所の樹木535本を対象に風や天空率等の環境要素を測定し、植栽の衰退度合いとの関連を調べた。
  • 田中 英之, 大竹 和夫, 土屋 直也
    p. 123-124
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    高層建物周辺の風環境が,建物形状により大きく影響を受けることはよく知られており,隅切りなどによって剥離流を抑制してビル風対策とすることもある。このことから,建物隅角部からの剥離流が大きく抑制される建物形状においてはビル風の抑制にも効果が期待できると考えられる。そこで,既往の研究において剥離流を大きく抑制できる螺旋形状建物に着目し,本報では,その螺旋形状建物の強風と弱風領域を含めた歩行者レベルの風環境についてLESを実施して検証している。
  • 田辺 剛志, 義江 龍一郎, 野村 佳祐
    p. 125-126
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本研究は都市域内の汚染物質濃度に対する大気安定度の影響を一般化し、中立大気状態のみの風洞実験やCFD解析から、非中立大気状態での汚染物質濃度の予測を可能にすることを目的とした。そこで異なる大気安定度に変化させた風洞実験とCFD解析により大気安定度が都市域内の大気汚染物質濃度に及ぼす影響を調査した。風洞実験とCFD解析では同様の傾向が見られた。中立時と非中立時の無次元濃度の比はバルクリチャードソン数に比例し、測定点に依存せず)、ほぼ一定であることが明らかとなった。したがって、この比をバルクリチャードソン数のみの関数として表すことができるという見込みを得た。
  • (その1 )物理モデルが計算結果に与える影響
    宮里 龍太郎, 三浦 翔, 義江 龍一郎
    p. 127-128
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    筆者らは、ビル風の確率的評価のための標準上空風データの整備に領域気象モデルWRFを用いる事を検討している。また、大気汚染のCFD解析に必要な夏季弱風時の典型的な風速や温度の鉛直プロファイルをWRFの計算結果から抽出しようとしている。WRFでは数多くの物理モデルが用意されているがモデルの違いによる結果の感度は十分に明らかになっていない。そこで、各物理モデルがWRFの計算結果に与える影響を調べるとともに観測結果との比較を行った。高度70mでは、大気境界層過程のみを変更した計算値と他のCASEに若干の差が見られるが、高度が上がるにつれCASE間ではほとんど差は見られなかった。なお、各物理モデルがWRFの計算結果に与える影響はほとんど見られなかった。
  • (その2)都市キャノピーモデルの組み込みが計算結果に与える影響
    三浦 翔, 義江 龍一郎
    p. 129-130
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本報では、新しいGISデータおよび、建物群による風速や天空率の減少効果が考慮される都市キャノピーモデルを用いて、計算結果がどのように変化するか調査した。風速の超過確率は、WRFの計算にUCMを用いたことで低い高度(70m)で観測値とよく対応した。しかし、285mでは差がいまだ見られた。これは、UCMには平均建物高さとして、比較的低い一様な建物高さを与えているが、実際の都市では高層建物、超高層建物が混在しており、それによる抗力が大きいのではないかと考えられる。温度の超過確率はWRFにUCMを入れたものの大きな影響は見られなかった。これは、都市形態を分類する際に密度を考慮していないため、天空率が実際より低く評価され、夜間放射の阻害を十分に再現できていない可能性が考えられる。
風力エネルギー, その他風工学
風災害
  • 宮城 弘守, 鈴木 修, 佐々 浩司
    p. 141-142
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    竜巻は漏斗状の雲を伴うが、渦が強まるにつれて雲底から下に長く垂れ下がってくるように見える漏斗雲の表面は、定性的には雲底と気圧が等しい等圧面と考えられる。そこで、ランキン複合渦モデルを上空に拡張し、竜巻漏斗雲の外観から最大接線風速とその半径を推定する方法を提案した。つくば市竜巻の画像解析によると最大接線風速はほぼ妥当な値が推定できると考えられるが、最大接線風速半径の推定値と土埃等の半径の関係については議論の余地が残された。
  • 野田 稔, 政井 一仁, 二宮 めぐみ, 長尾 文明
    p. 143-144
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    LES解析で求めた竜巻状流れ場の平均流速分布と平板状飛散物の六自由度運動解析を組み合わせ、竜巻状流れ場の中で飛行する平板状飛散物の平均飛行軌道を求めた。また、飛散物に作用する力の釣り合い状態から、竜巻状流れ場における飛散物の挙動について検討した。その結果、竜巻状流れ場における飛行性状に対しては最大接線風速で定義された立川数の影響が強く、飛散開始位置の移動に対してはあまり大きな変化は見られなかった。一方で、力の釣り合い状態を検討した結果、水平方向の空気力と遠心力の関係から、飛散物は基本的にある半径に集まる性質を持っていることが明らかとなった。
  • 立花 嵩, 稲毛 健至, 白土 博通, 八木 知己
    p. 145-146
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    角状コンテナ型の大型車が横風に煽られることによる横転事故が時折見られる.移動中の車両に作用する風は,横風に加え自身の移動速度によって生じる風を考慮する必要がある.そのため,固定点で計測した横風により決定する規制風速では十分に安全を確保できていない可能性が考えられる.本研究では風洞実験において熱線流速計プローブを移動させることにより移動中の物体が受ける風速変動特性及び閾値超過確率を求め,仮定された大型車の横力係数をもとに車両の横転限界風速を算出した.これらの値を用いて車両の横転限界風速と橋梁固定点で計測した平均風速の関連性を示すことで,橋梁の通行規制風速設定法について考察した.
  • 喜々津 仁密, 田村 哲郎, 冨安 美穂, 野澤 剛二郎
    p. 147-148
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    木造住家の建具と屋根は台風等による強風の作用に対して最もぜい弱な部位であり,被害事例も極めて多い.そこで本研究では,建築物の地震リスク評価に活用されているリスク関数の構築の考え方を援用し,木造住家の強風リスク関数の構築を試みた.対象地として東京と銚子,耐風性の程度を考慮した各部の仕様を仮定して強風リスク関数を算定した結果,地域特性や仕様の違いを反映した評価の可能性を示した.今後は経年変化を考慮したフラジリティの検討,実被害事例との比較による検証等を行う予定である.
  • 野田  博, 作田  美知子, 佐々木  亮治, 山岸  邦彰
    p. 149-150
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本論文では,部材耐力に基づいた強風災害リスク評価の概要と物流倉庫のリスク評価事例について述べる。強風による被害は主に屋根や外壁面などの外装材であるため,建物の外装材を対象とした強風災害リスク評価を構築した。強風(災害)の発生確率,部材耐力の確率分布,建物コストに基づいてリスクを算出する。すなわち,リスクを修復(建設)コスト×損失確率で表す。強風災害リスク評価の評価尺度として,50年間に10%の確率で生じる強風の荷重レベルによる損傷期待値を外装材の建設コストで除した値と定義する。外力レベルは地震リスク評価を参考とし,分母はリスク評価の対象である外装材のみとした
基本断面の空力特性
  • その1 応答曲線および変動揚力係数
    神田 亮, 加藤 優輝, 小島 千里, 久保田 理人, 扇谷 匠己
    p. 151-152
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    本論文は,空力振動する二次元正方形角柱の付加質量効果を評価するとともに,発振流速の推定を行ったものである。その1では,改良型ハイブリット空力振動法を用いてスクルートン数,構造物と流体の密度比,減衰定数を実験パラメータとして二次元正方形角柱の空力振動現象のシミュレーションを行った。その結果を用いて応答曲線,空力振動時の変動揚力係数を算定し,検討を行った。応答曲線では密度比が大きいほど発振する無次元流速は低くなることが分かった。また,空力振動時の変動揚力係数では,渦励振中の応答の増加と共に著しい減少を示し,応答が最大値となる無次元流速において最小値となることを確認した。
  • その2 付加質量係数 と各空力振動パラメータ
    小島 千里, 加藤 優輝, 久保田 理人, 扇谷 匠己, 神田 亮
    p. 153-154
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    その2では,定常時に外力項を加速度同相成分と速度同相成分に分解すると加速度同相成分には振動系に対して質量を付加したような効果(付加質量効果)があり,その現象を複素平面上の動的力の釣り合いから図示し説明した。付加質量効果の考えに基づいて,付加質量係数を導き,無次元流速やスクルートン数などの空力振動パラメータを付加質量係数を用いて表した。導いたパラメータの中で例えば固有円振動数は付加質量効果が生じると,見かけ上小さくなる。減衰定数も同様に小さくなる。無次元流速やスクルートン数は見かけ上大きくなることがわかった。
  • その3 振動数比および外力-応答加速度の位相角
    扇谷 匠己, 加藤 優輝, 小島 千里, 久保田 理人, 神田 亮
    p. 155-156
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    その3は,固有振動数に対する応答や外力の卓越振動数の比および外力と応答加速度の位相角について検討を行ったものである。振動数は、本来無次元流速に対して比例的に変化するが,渦励振領域において一定値をとり,ロックイン現象が発生していると推察される。位相角は,渦励振領域では無次元流速が増加するとともに増加し,それより高流速のギャロッピング振動が発生している領域では収束する。なお,これらの分析結果の傾向から本論文で仮定した付加質量効果の理論は準定常領域でも有効であることがわかった。
  • その4 発振流速の推定
    加藤 優輝, 小島 千里, 久保田 理人, 扇谷 匠己, 神田 亮
    p. 157-158
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    その4では,付加質量係数を用いて導いた無次元流速に対する応答曲線は構造物の密度によらず同一直線上に来るという考え方に基づいて,渦励振が発現する無次元流速の推定を行った。付加密度比は応答変位が同値であれば同値を示し,スクルートン数や構造物の密度比など,他の空力振動パラメータに依存しない。また,前述の直線において応答値が0近傍では,無次元流速はストローハル数の逆数にほぼ等しくなる。これらの事実より発振無次元流速が定量的に推定できる。この推定法に基づけば,空力振動実験を実施しなくても構造物の渦励振が発現する流速を推定できる可能性を示した。
  • 伊藤 靖晃, 白土 博通, 野澤 剛二郎
    p. 159-160
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    一様流および等方性乱流場における正方形角柱を対象にLESにより変動空気力の空間相関を算出しVickeryの実験結果との比較を行った.等方性乱流は波数空間の3次元エネルギースペクトルに基づく手法により作成した.気流の作成領域が小さい場合には長周期成分が適切に生成されないため,相関が0以下となることが確認され,気流の横相関を正しく再現するためには少なくとも乱れのスケールの20倍程度の領域で気流を作成する必要があることが明らかとなった.正方形角柱に作用する変動空気力の空間相関はVickeryの実験値と概ね一致し,一様流中および等方性乱流中において変動空気力の空間相関がLESにより適切に再現されることが確認された.
  • 長谷部 寛, 伊東 司, 杉山 健次, 野村 卓史
    p. 161-162
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    屋外において低周波音を測定する際に,風の影響を軽減させるためにマイクロフォンに球形の防風スクリーンを装着する.しかしこれまでの研究で,風速が急変する際に生じる球のまわりの流れの瞬間的な変化が測定結果に影響を及ぼす可能性が示唆された.本研究では防風スクリーンを模擬した球形模型を作成し,一定風時と風速急変時の圧力測定を行った.一定風時では60°付近で流れが剥離し,90°以降は一定の負圧となることが分かった.風速急変時には,背圧が急に低下する瞬間が確認され,この時渦が形成されたものと思われる.剥離点付近の圧力の変化が,風速の変化よりもピークが若干遅れる結果となった.
  • 大坪 和広, 友清 衣利子, 鶴 則生, 前田 潤滋
    p. 163-164
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    風速が急激に変化する立ち上がる時間が短い突風が作用すると,定常的な風と比較して非常に大きな風力が構造物に作用する「風力のオーバーシュート現象」が発生する。本報では,風洞実験により二つの異なる勾配の切妻屋根模型にステップ関数的突風を作用させ,切妻屋根の勾配が風力のオーバーシュート現象に及ぼす影響を検証した。その結果,風力のピーク値と定常値の比であるオーバーシュート係数は無次元立ち上がり時間が大きくなると減少するが,その減少の仕方は屋根勾配により異なり,揚力では1/4勾配の切妻屋根模型のものは1/2勾配より大きな無次元立ち上がり時間でオーバーシュート現象が発生すること分かった。
  • 太古 一貴, 白土 博通, 三次 涼太, 木原 大樹
    p. 165-166
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    乱流中の自励空気力は3つの空気力により構成されると考えられ,従来のフラッター解析ではこれらの空気力成分の総和が自励空気力と呼ばれることが多い.だが,実際に自励振動に寄与するのはこのうちの構造物自身の振動に起因する空気力のみであると考えられ,その空気力成分のみに着目し同様の解析を行うことは有益なことと考えられる.そこで,本研究では構造物自身の振動に起因する空気力成分の抽出法について実験的に検討を加えることを目的とした.結果として,実際にそれを抽出することは可能であり,両者による評価は概ね一致するものと思われるが,今後より深い検討を要するテーマであると言える.
  • 小杉 翼, 八木 知己, 新庄 皓平, 太古 一貴, 白土 博通
    p. 167-168
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    2次元矩形断面において特定の断面辺長比でギャロッピングが発生することが知られているが,角柱に水平偏角をつけた場合のギャロッピングに関しては検討事例が少ない.本研究では,傾斜矩形断面模型を用いて,空気力測定実験および流れの可視化実験を行い,角柱が斜風を受ける場合のギャロッピング特性の考察を試みた.結論として,角柱に水平偏角をつけることによりギャロッピングに対して安定化・不安定化するケースが確認された.その理由としては,角柱を傾斜させることによって見かけの断面辺長比が大きくなること,さらに,軸方向流れをはじめとする物体背後の3次元的な流れによってその効果が助長されることが考えられる.
  • 中藤 誠二
    p. 169-170
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
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    パンチングメタルを対象に,風洞実験において風速を変化させて発生する空力音を測定し,音圧レベルや周波数特性を調べた.まず,対象とする空力音を発生させるために,模型支持装置の工夫を行ったのち,迎角80度の場合について,風速12.5m/sまでの範囲で空力音の測定を行った.対象とした3ケースでは,孔配列によるピークの基本周波数の違いは小さく,風速に比例した1kHz前後の比較的高い周波数のピークが見られ,発生周波数は孔径に依存しているものと考えられる.
構造物の応答・制御
構造物の風圧力
耐風設計,計測方法・風洞実験法
feedback
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