社会的シグナルがヒトの衝動性制御機能に及ぼす影響をGo/Stop課題を用いて検討した.
健常成人12名を対象に,①矢印画像と,②ヒトの注視画像(社会的シグナル)をGo刺激画像として,Stop刺激とともに疑似ランダム提示した.Go/Stop課題遂行時の脳波を記録し事象関連電位を抽出した.NEO-FFIを用いて性格特性を調査した.
矢印試行に比べて注視試行では,エラー率の分散が小さかった.矢印試行に比べた注視試行時の反応時間が遅くなるほどエラー率が低下した.その延長は,NEO-FFIの外向性得点が高いほど長かった.さらに,延長の程度は事象関連電位の早期成分(80-115ms),および認知関連成分(205-280ms)と関連した.
以上より,矢印試行と注視試行遂行時の脳波に認めた特徴の違いが,外向性得点と関連してエラーの出現に関与することが示唆され,社会的シグナルが衝動性制御機能に影響を与えることが明らかになった.さらに社会的シグナルは,注意機能に影響を与える可能性が考えられた.
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