心身健康科学
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18 巻, 2 号
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原著論文
  • 山野内 靖子, 庄子 和夫, 中山 和久, 丸井 英二
    2022 年18 巻2 号 p. 43-58
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/22
    ジャーナル フリー

    小児慢性疾患を抱える若年者の小児期体験が心身に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,小児慢性疾患を抱える若年者24名と健常大学生260名を対象に,小児期体験の自由記述と体験年齢,S-H式レジリエンス検査,13項目5件法版SOCスケール,健康関連QOL SF-8を調査した.小児期体験は活動体験と心身の痛み体験に分類され,体験年齢は11歳前後であり診断年齢と有意に相関した.レジリエンスは健常大学生より小児慢性疾患を抱える若年者が有意に低く,SOCに有意な差は認めなかった.

    重回帰分析では,小児期の活動体験と慢性疾患は体の痛みを弱め,体の痛みの弱さは精神的健康に正の影響を与え,小児期の心身の痛み体験と慢性疾患はレジリエンスを低めたが,レジリエンスは精神的健康に対する正の影響が示された.小児慢性疾患を抱える若年者の体の痛みには,小児期の活動体験が関連し,人に頼らず何とかやっていけると思える心の健康が影響を与えていた.

  • 戸塚 智美, 庄子 和夫
    2022 年18 巻2 号 p. 59-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/22
    ジャーナル フリー

    本研究では,家族介護における介護者の心身の健康状態を明らかにすることを目的とした.対象は,65歳以上の夫婦二人暮らしで,夫を介護する配偶者(介護者群)7名と介護をしていない配偶者(コントロール群)15名とした.調査内容は,属性,介護時間,心理指標はMOS 8-Item Short-Form Health Survey(SF-8),the short version of the Japanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview(J-ZBI_8),生理指標は唾液cortisol,唾液DHEA-S,尿中biopyrrinを使用した.2群の比較では,SF-8_MCSは介護者群がコントロール群より有意に低く,biopyrrin値は介護時間高群が低群より有意に高い結果となった.また,介護者群の心理指標と生理指標との関連において,有意な相関があった項目は全て介護に関することであった.「ほとんど終日」介護をしている介護者はbiopyrrin値が高いことより,ストレスフルな状況であることが示唆された.

  • 美濃 陽介, 吉田 浩子, 庄子 和夫
    2022 年18 巻2 号 p. 73-86
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/22
    ジャーナル フリー

    学校教員の職業性ストレス低減に資する新たな知見を得ることを目的に,学校教員1,000人を対象にインターネット調査を実施した.健康上の問題を自覚していた640人を,ストレス反応合計得点(職業性ストレス簡易調査票)と労働障害指数(日本語版SPS)の組み合わせで分類した.分類されたストレス状況の異なる各群によって関連する諸要因が異なるという仮説を検証した.多母集団同時分析の結果,就労状況,教職に対する価値観,ワークモチベーション,労働障害指数,職業性ストレス要因・反応の下位項目を変数とする適合度の良いモデルが得られ,各群に共通のパスと固有のパスが抽出された.過重労働に伴う負荷に加え,教職に対する価値観やワークモチベーションがストレス要因からストレス反応に至る過程に干渉要因として作用していた.学校教員の職業性ストレス低減のために過重労働といった就労状況の改善に加え,職務に対する価値観や適切なワークモチベーションの維持に配慮した支援が必要と考えられる.

研究報告
  • 阿部 由紀子
    2022 年18 巻2 号 p. 87-91
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/22
    ジャーナル フリー

    マウスに飼料CE-2を時間制限摂食させた場合に,抑うつ様行動量の変動が認められるか否かについて検討を行った.本研究では,C57BL/6J雄性マウスを用いた.被験群のマウスについては飼料の摂取が可能な状態を1日16時間に制限し,対照群のマウスについては常時摂取可能な状態とした.実験開始から4週間後,強制水泳試験を行うとともに,体重および空腹時血糖値の測定を行った.強制水泳試験における無動時間,体重,空腹時血糖値について,それぞれ被験群と対照群との間で比較を行った結果,2群間で有意な差は認められなかった.このことから,C57BL/6Jマウスに対して,4週間,飼料CE-2の摂取が可能な状態を1日16時間に制限することは,抑うつ様行動と関連がない可能性が示唆された.

第34回 日本心身健康科学会学術集会 メインテーマ「変化する心身健康科学時代を超え,領域を超えて」
教育講演
第34回 日本心身健康科学会学術集会 人間総合科学大学大学院 研究発表会 合同大会 抄録
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