心身健康科学
Online ISSN : 1882-689X
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8 巻, 1 号
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特別講演
第13回日本心身健康科学会学術集会 シンポジウム
原著論文
  • 吉田 渡, 藤城 有美子
    2012 年8 巻1 号 p. 27-34
    発行日: 2012/02/10
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ポリオ体験者の装具受容れ意識と現在のQOLに対する装具の貢献度を,装具の導入状況別に明らかにすることを目的として,507人を対象に質問紙調査を実施した (回収率58.8%).対象者を装具の検討なし群,未使用群,継続群,再開群,中断群に分類し,受容れ意識については継続・再開・中断群で,装具貢献度については継続・再開群で比較した.受容れ意識では,「装具導入の阻害要因」は全群で同程度に強く意識されていたが,「装具導入の促進要因」,「装具使用のメリット」は継続群で高く,特に心理的側面での差が見られた.主観的な装具貢献度は,継続群で高かった.使用継続には,生活の中で装具の利用価値を実感する必要があること,再開群ではそのメリットを感じないまま必要に迫られて装具使用を再開し,適切な受容れがなされていない可能性があることが示唆された.ポリオ体験者のwell-beingのためには,心理社会的側面にも配慮した装具の提供を行うことが望まれる.
  • 土屋 江子, 近藤 昊
    2012 年8 巻1 号 p. 35-40
    発行日: 2012/02/10
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,栄養ケアマネジメントが介護度の高い特別養護老人ホームで実施される機会に,栄養ケアマネジメントの効果を心身の状態の変化から調査することである.対象は,群馬県のある特別養護老人ホーム1施設で,体重測定が毎月実施できた入居者であった.調査期間は,栄養ケア未実施群では平成17年4月から9月までの期間,栄養ケア実施群では平成17年10月から平成18年9月とした.栄養ケアマネジメント開始月は,各入居者により違うため,其々の開始月から6ヶ月で評価をした.体重,介護度,栄養リスク等を調査した.結果は,栄養ケアマネジメント実施後に体重維持もしくは体重減少の改善がみられた.介護度は栄養ケアマネジメント実施をしても悪化しやすいことが分かった.栄養リスクは,改善者が6名,悪化者が14名で悪化しやすいことが分かった.これらの結果は栄養ケアマネジメントにより特別養護老人ホームの入居者の栄養状態の悪化を予防することは非常に難しいが,体重維持や体重減少の改善がみられ,QOLの改善につながる可能性があることが明らかになった.
  • 米田 浩久, 中野 博子, 久住 武
    2012 年8 巻1 号 p. 41-51
    発行日: 2012/02/10
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,課題実施時に抱く感情が描画運動にどのような影響を与えるのかを,手掌の精神性発汗と描画課題の結果を基に検討した.対象は健常大学生27名とした.描画課題は非利き手による渦巻き描画として,可能な限り早く正確に実施させた.感情は,快映像,中性的映像,不快映像の静止画像を個別に2分間提示して誘発した.感情の誘発を識別するために交感神経皮膚反応 (SSR) を計測した.実験手順は次のとおりであった.まず,安静時のSSRを計測した.その後,感情誘発を行わずに描画課題を実施し,直後にSSRを計測した.その後,ある感情誘発を行った直後に描画課題を実施し,さらにその直後にSSRを計測し,口頭にて誘発された感情を答えさせる一連の計測を行った.この一連の計測を各感情で実施した.各感情の誘発順序は,被検者ごとにランダムとした.SSRと描画課題の結果をもとに,感情が描画機能と交感神経系に与える影響を検討した.統計学的手法は,Kruskal-Wallis検定とScheffeの方法を用い,有意水準は5%未満とした.その結果,描画時間では快映像で最も短縮し,基線からのズレについては快映像で最も減少し,筆圧は快映像で他の条件に比べて最も増大した.いずれの結果も,快映像では運動のみと中性的映像に対して有意差を示し (p < 0.05),不快映像に対しては有意差を認めた (p < 0.01).また,SSRのP-P振幅は不快映像が最も大きく,次いで快映像の順であった.快映像のSSRは,安静時,運動のみ,中性的映像,不快映像の何れに対しても有意差を示した (p < 0.05).不快映像のSSRでは,安静時,運動のみ,中性的映像に対して有意差を認めた (p < 0.01).
    今回の結果から感情の違いが運動の実行に大きな変化を与えることが認められ,なかでも快感情の誘発は,運動の質の向上に有用であることが示唆された.
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