心身健康科学
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原著論文
  • ─発話音響パラメータと発話者の感情との関連─
    田中 弘子, 藤原 宏子, 渡辺 愛子, 小岩 信義
    2024 年 20 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/11
    ジャーナル フリー

    母親などが乳児に対して話すとき,「対乳児発話」と呼ばれる独特の音響的特徴をもった話し方をする.日本人中高年女性15名が非血縁乳児もしくは成人の写真提示下で絵本を読む実験を行い,発話の音響的特徴を比較した.3つの音響パラメータ(基本周波数,基本周波数のレンジ,連続する単位音間の時間間隔)を計測し,これら3パラメータを総合する2つのパラメータを主成分分析により算出した.5つのパラメータ全てにおいて,成人条件よりも乳児条件の方が有意に大きかった.読み聞かせの前と後に女性の感情を測定し,読み前後の感情の変化と音響パラメータとの関連を検討した.有意な相関は乳児条件のみで認められ,成人条件では認められなかった.以上より,日本人中高年女性は非血縁乳児写真提示下の発話において,「対乳児発話」の音響的特徴を示すことが明らかになった.また,音響パラメータが発話者の感情と関連することが示唆された.

  • 鵜沢 淳子, 小岩 信義, 藤原 宏子
    2024 年 20 巻 1 号 p. 14-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/11
    ジャーナル フリー

    冷痛発現中の追加された冷痛増強刺激によって惹起する脳ネットワークの変化と感情反応の関連性を明らかにすることを目的に,健常者15名を対象に冷痛刺激(6-7℃)を加え,11項目で構成した感情尺度と頭皮上の脳波の変化から検討した.感情尺度の結果で因子分析を行い,「覚醒度」と「感情価」の2因子を抽出した.この2因子は,覚醒度が高い群と低い群,不快度が高い群と低い群に区分された.パワー値の変化が認められたθおよびLow β帯域の脳内信号源をsLORETA法で推定後,制約付き主成分分析にて機能的脳ネットワークの構成とその活動度を算出した.追加的な冷痛増強刺激時の主要となる脳ネットワークは,注意機能等の認知的処理に関連する前頭部内側面の活動が,覚醒度と不快度の増大に関与する一方,痛覚の認知処理に対する調整機能を反映した刺激対側の島皮質の活動の減少は,疼痛刺激による不快度の抑制に影響することが明らかとなった.

第37回 日本心身健康科学会 学術集会・総会 メインテーマ「地域共生と心身健康科学」
特別講演
第37回 日本心身健康科学会学術集会 抄録
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