日本線虫研究会誌
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14 巻
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 本間 善久, 気賀澤 和男
    1984 年 14 巻 p. 1-7
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌から分離した数種のパンピレラ科アメーバが, 植物寄生性線虫の幼虫を捕食する過程を観察した。Arachnula impatiensと同定した分離株No.1の栄養体は, 細い糸状の仮足でMeloidogyne incognitaの2期幼虫を捕え, その体壁に直径2.5-5.5μmの丸い穴を多数あけて内容物を摂取し, 2~3時間で完全に空にした。これに対しVampyrella vorax と同定した分離株No.3は栄養体の細い仮足で幼虫を捕えて後, 全体を包囲してシスト化し, 12~24時間で捕食し終えた。このような捕食習性の違いは, Aphelenchoides besseyi およびHelicotylenchus dihystera の幼虫または成虫に対しても同様であった。
  • 近藤 栄造, 石橋 信義
    1984 年 14 巻 p. 8-14
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    サツマイモネコブセンチュウMeloidogme incognita第2期幼虫に及ぼすaldoxycarbの影響を調べた。10,100, 1,000ppmの薬剤に25℃ で24時間浸漬すると, ネコブ幼虫はいずれも不規則な波状を呈し, 体は短縮したが, 短縮の程度は100ppmで最大であった。100ppmで5日間処理したのち水洗すると幼虫は運動性を回復したが, 1,000ppmでは回復しなかった。排水孔をつけたプラスチックカップ (容量180ml) の中央に立てた塩化ビニールパイプ中にバーミキュライトを用いて植えたトマト苗に対する寄生性を, ゴール数ならびにゴール形成部位に基づいて、温室条件下で調査した。水で飽和したこの容器内に, 無処理線虫を接種すると, 約半数がゴールを形成し, ゴール形成部位は, 地表下7.2cmに達した。また, 薬剤処理後に水洗した線虫を接種すると, ゴール数は, 10ppm処理虫では対照とほぼ等しく, 1,000ppm処理虫では約1/4であった。そのゴール形成部位は, 処理濃度が高くなるにつれて浅くなった。10,100および1,000ppmの薬液で飽和した容器内に, 各濃度の薬液中に懸濁した線虫を接種すると, 10ppmではトマト1株当たり0.8個のゴールが地表1.4cm以内に形成され、100ppm以上ではゴールは形成されなかった。
  • 皆川 望
    1984 年 14 巻 p. 15-19
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    群馬・長野県境の志賀高原渋峠のモミ類の根辺から検出したHoplotylus属線虫をH. montanus (新種) と命名し, 記載した。本種は本属の模式種H. fenzinaに近似するが、雌成虫では体長が長く, 口針長も長い, 受精嚢が発達しており内部に精子が見られる, また, 雄成虫では尾部が棍棒状である等の違いにより区別される。栃木県那須郡塩原町のコクサギ根辺から検出したPratylenchoides属線虫は, 食道腺の形態はP. magnicaudaに似るが, 雌成虫の口針長・尾端部の形態等に違いが見られるため, P. magnicaudoides (新種) と命名し記載した。
  • 樋田 幸夫
    1984 年 14 巻 p. 20-27
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本邦桑園における植物寄生線虫の種類とその地理的分布を明らかにする目的で, 全国200か所以上の桑園から採集された土壌とクワの細根から線虫を分離し, 採集地別に種類とその検出頻度を調べたほか, クワへの寄生性を観察した。
    1. 植物寄生線虫20属32種以上が検出され, そのうち11属20種のクワ、への寄生性が認められた。検出頻度が高かった線虫はOgma coffeae, Paratylenchus elachistus, Xiphinema bakeri, Helicotylenchus erythrinae, Meloidogyne mali, Gracilacus yokooi, M. javanica, M. arenaria, H. dihystera, Cryphodera sp. などであった。
    2. 本邦桑園線虫相の特徴として, ネコブセンチュウをはじめ種類が豊富である反面, ネグサレセンチュウがほとんどみられないこと, ネコブセソチュウの中でM. haplaM. incognitaの検出頻度がきわめて低かったことなどが明らかになった。
    3. 桑園における植物寄生線虫の地理的分布は, クワ苗による人為的拡散の影響を受けていると考えられたが, 検出された線虫はP. elachistus, O. coffeae, X. bakeriのようにほぼ全国に生息するもの, M. hapla, M. maliのように主として寒冷地から高頻度に見い出されるもの, Hoplolaimus sp. M. incognita, M. javanica, H. dihystemのように主として暖地から検出されるものおよびM. mmaria, Cryphodera sp. のように寒冷地と暖地の中間地域に生息が認められるものの, 4つのグループに大別された。ほかに, Meloidogyne sp., Nothocriconemella mutabilis, Nothocriconema yakushimenseのようにごく限られた地域からしか検出されない種類もみられた。
  • 水久保 隆之, 皆川 望
    1984 年 14 巻 p. 28-39
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    邦産のC. costatusC. japonious (新種) を記載し図示した。国内4産地 (熊本県西合志町, 阿蘇山, 香川県善通寺市, 及び千葉県四街道市) から得られたC. costatusには, いずれもANDRÁSSYによる本種の記載範囲から形質状態が多少逸脱する傾向があった。しかし, それらはこれら個体群をC. costatusから独立種として扱うに足る差異ではないと判断された。C. japonious (新種) は, 頭部の体環数が少なく, 頭部と体部が連続的で, 後部子宮嚢の退化が著しい等の諸点から, C. franklinaeに近縁と認められるが, 後者とは体表に18~21本の縦走隆起を装い, 体環数が少なく, 背部食道腺開口部が口針節球からやや離れており, 幻器が概して陰門より前方に位置することにより区別できる。
  • 近藤 栄造, 石橋 信義
    1984 年 14 巻 p. 40-48
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    素寒天培地, 肉エキス培地および7種類のドッグフードを用いた培地上での昆虫寄生性線虫Steinernemafeltiae (=Neoaplectana cmpocapsae, DD-136) の発育と増殖を25℃ の条件下で30日にわたって調査した。ソフト型ドッグフードを用いた培地と素寒天培地上では, 感染態幼虫 (JIII) は脱皮せず, 貯蔵脂質を消耗して, しだいに死亡した。肉エキス培地上では, JIIIは脱皮し成虫へ発育したが, 生殖腺の発育が悪く, 産卵は非常に少なかった。また, ふ化幼虫は共生菌で被われ, 成虫化前に死亡した。ドライ型ドッグフードを用いた培地上では, ほとんどのJIIIは接種後2日ないし3日に脱皮した。第1および第2世代成虫の出現ピークは, 接種後4日および10日にみられた。線虫数は, 接種後5日から15日にかけて急速に増加し, 以後しだいに減少した。JIIIの割合は, 線虫密度の低下とともに増加し, 接種後30日では, 平均81%であった。試験管1本当たりのドッグフードの量を減少すると, 増殖線虫数は減少した。ソフト型とドライ型のドッグフードを混合した培地上での増殖は, ソフト型の割合が高くなるにつれて減少し, その原因は, 共生菌の増殖を阻害する物質の存在によった。
  • 樋田 幸夫, 八重樫 隆志
    1984 年 14 巻 p. 49-57
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    東京都杉並区の旧蚕糸試験場跡地のクワから検出されたネコブセンチュウを未記載種と認め, Meloidogyne suginamiensis n. sp.と命名した。本種は雌の会陰紋の条溝がきわめて繊細で, 浅いことや2期幼虫の尾長がわが国で知られている本属の中ではきわだって短いなどの特徴から, これまでM. maliとみなされてきた。しかし, 本種の雌の会陰紋はやや角張り, 背部条溝に起伏が認められる, 雄の半月体は排泄口の後方に位置する, 2期幼虫の尾はより短かく, 深いくびれが認められ, 先端は丸く, 太いなどの特徴からM. maliと区別される。また, M. suginamiensis n. sp. はイノコズチ・トマトなどかなり多種の草木に寄生することから, シロツメクサ以外の草本には寄生しないとされるM. maliとは異なる。さらに, 本新種は雄成虫が菱形状の, また2期幼虫が長円形のそれぞれlabialdiscをもつことによって, M. maliと区別される。本種の2期幼虫の尾の形状はM. artiellia, M. coffeicola. M. inornata, M. kikuyensis, M. natalieiなどと類似するが, c値およびd値に差異が認められるほか, 雌の会陰紋の形状によってこれらの種とは明らかに区別される。本新種はこれまで上記の旧蚕糸試験場跡地以外の地域からは検出されていない。本種の和名をスギナミネコブセンチュウとすることを提案する。
  • 庄司 次男
    1984 年 14 巻 p. 58-60
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 小芦 健良
    1984 年 14 巻 p. 61-62
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 皆川 望
    1984 年 14 巻 p. 63-67
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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