日本線虫研究会誌
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6 巻
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  • 清水 啓
    1976 年 6 巻 p. 1-6
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)イネシストセンチュウによる畑水稲の被害をポットおよび圃場で検討した.
    2)幼虫接種による精玄米重の減収率は1株当たり400頭接種区が7.2%, 4,000頭接種区が18.7%であった.
    3)幼虫50, 000頭による生育時期別接種の精玄米重の減収率は発芽期接種区が24.5%, 分げつ期接種区が23.1%, 出穂期接種区が12.2%であり, 発芽期と分げつ期の両接種区は同程度の減収率を示した.
    4)1畝当たりの収量(精玄米重)をy, 乾土100g当たりのシスト数をxとすると, 回帰直線式および相関係数はi)4月26日播種区:y-1149-339 logx(r=-0.534), ii)5月17日播種区;y=732-147 logx(r=-0.579), iii)6月6日播種区:y=515-70.6 logx(r=-0.210)となり, 播種時期の早いほど線虫の影響が大きい傾向を示した.
    5)土壌中の幼・成虫密度が8月以降急激に高まることおよび収量要因のうち, 特に生育後半に影響を受けると考えられる要因の影響が大きいところから推して, 本試験では主として水稲の生育後半に本線虫が影響を与えて減収をもたらしたと判断された.
    6)畑水稲連作障害の要因として本線虫が大きく関与していることを圃場試験の結果から考察した.
  • 稲垣 春郎, 気賀沢 和男
    1976 年 6 巻 p. 7-9
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ニワトリに摂食されたジャガイモシストセンチュウのシスト内卵・幼虫は死滅したものと考えられた. 一方, ブタに摂食され, 摂食後48時間以内に排泄された糞中のシスト内卵・幼虫は, 接種試験によりジャガイモに寄生して成熟し, 生存していることが確認された. このちがいの一因は, ニワトリの体温 (41.9℃) とブタの体温 (38.8℃~39.0℃) のちがいによることが, これらの温度近辺における温度処理試験の結果, 明らかにされた.
  • 堤 正明
    1976 年 6 巻 p. 10-13
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ(品種「紅丸」)の芽出し苗(草丈約5cm)移植後66日までに採取した液で処理した場合ジャガイモシストセンチュウの卵は60%以上の孵化率を示し,とくに移植後20~40日では90%以上の高い孵化率が認められ,この時期が浸出液の採取適期と考えられた.
    水道水灌注直後から48時間後まで時間別に採取した場合,いずれの浸出液でも孵化率に大差は認められなかった.
    土壌中の根部拡散物質の残存期間を知るために寄主作物根除去後の土壌から液を採取したところ,1か月を経た後でも60%以上の孵化率を示す効果が見られ,100日経過後でも若干の艀化促進効果が認められた.
    熟期の異なる5品種(男爵,紅丸,農林1号,ビホロ,ホッカイアカ)から浸出液を採って孵化促進効果を比較したところ,各品種とも苗移植後49日ころまでに採取した液で効果が高く,品種間に差は認められなかった.
  • 百田 洋二, 大島 康臣
    1976 年 6 巻 p. 14-23
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)走査電顕によるシストセンチュウ同定の試みとして, H.elachista, H.avenae, H.glycines, およびG.rostochimsis(第2期幼虫)の形態を観察し, 種間の識別の可能性を検討した.
    2)第2期幼虫の口盤は, H.elachistaでは唖鈴形, H.avenaeでは長楕円形, H.glycinesでは唖鈴形の一変形, G.rostochiensisでは周りに亜中唇をもつ楕円形であることを認め, 第2期幼虫正面像で4種は容易に区別できた.
    3)雄成虫では, H.elachistaは唖鈴形, H.avmaeは長楕円形, H.glycinesは周りに口唇をもつ楕円形の口盤をそれぞれ認め, 雄成虫正面像でも3種は容易に区別できた.
    4)交接刺では, 先端が二叉で, 先端部外側に2個の小穴をもつH.elachista, H.glycinesと, 三又で内側に小穴をもつH.avenaeとに区別できた.
    5)雌成虫では3種とも四角形の合盤をもち, 形状に種特異性が存在するかに認められたが, これにより3種を明確に区別するには至らなかった.
    6)陰門錐表面構造では, 高い陰門錐頂部に弓形の大きな陰門をもつH.elachista, H.glycimsと, 低い頂部に小さな陰門をもつH.avenuとに区別でき, さらに前二種は会陰隆起脈数により容易に区別できた.
    7)また, シストセンチュウの同定上重要と考えられる新しい形質として, 雄成虫の合盤の形態と合唇の存否, inner labial papillary openingの存否, および交接刺先端部に開合する2個の小穴の位置を挙げた.
    8)これらの観察結果から, 走査電顕技術の導入により, シストセンチュウの同定は迅速かつ正確に行い得ると認められた.
  • 佐野 善一
    1976 年 6 巻 p. 24-26
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    エンドウを寄主として同一条件で増殖したネコブセンチュウ3種の第2期幼虫のEDB感受性を薬液浸漬法で比較した.Meloidogyne incognita, M. hapla, M. javanicaのLC-50は53~60ppmで種間の差は認められなかった.
  • 近藤 栄造, 石橋 信義
    1976 年 6 巻 p. 27-34
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    H.glycinesの孵化幼虫を,-20%で1時間凍結, あるいは40, 45, 50, 55, 60℃で5分間温湯処理し, 表皮・脂肪顆粒・筋肉の微細構造の変化を観察した. 4層構造からなる表皮の厚さは, 無処理個体では0.64μmであり, いずれの温度処理によっても著しい構造変化は認められなかった. 凍結後融解した個体では, 体幅に対する表皮の厚さの比が有意に低下した. 筋肉繊維は温湯処理により破壊され, とくに60℃で顕著であった.通常は円形の脂肪顆粒は, 60℃で不正形に変化した.真皮組織は全ての温度処理により著しく影響され, 正常なミトコンドリア・グリコーゲン顆粒は認められなかった.
  • 石橋 信義, 近藤 栄造
    1976 年 6 巻 p. 35-38
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ネコブセンチュウ雄成虫の繁殖上の役割を明らかにするため, 単幼虫接種継代飼育で得られたMdoidogyne incognitaM.haplaの2期幼虫1, 10, 20, 40, 60, 80,100,160頭をガラス管 (径7mm, 長さ10cm) 内のトマト幼苗に接種し, 施肥 (Hyponex 1,000倍液) または無施肥にして35日後に褐色卵嚢と雄成虫の出現率, 接種頭数あたり繁殖率等を調査した.
    褐色卵嚢と雄成虫は接種頭数の増加とともに増加した. 単幼虫接種区においても無施肥では.褐色卵嚢がごく低率ではあるが出現した.従って, 環境耐性が白色卵嚢よりも大であるとみられている褐色卵嚢の生成に, 雄成虫の関与は考えられない. 両線虫とも卵嚢着生率は10~20頭接種区が最も高かった.卵嚢内卵数は単幼虫接種区でやや少なく, 従って繁殖率 (卵嚢着生率×卵嚢内卵数) も10~20頭接種区で最大となった.M.incognitaは13世代まで, M.haplaは7世代まで単幼虫接種継代飼育を続けてきたが, 繁殖力が低下する傾向は認めていない.
    本実験では,雄成虫の役割について積極的に肯定すべきデータは何ら得られなかったが,完全に否定すべきものもまだ得ていないと思われる.
  • 平野 和弥
    1976 年 6 巻 p. 39-46
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    キュウリ苗立枯病における複合作因とネコブセンチュウとの関連性およびその発病機構を究明するために行った.
    キュウリ栽培圃場の汚染土壌を用い, 素焼鉢内で殺線虫剤, 殺菌剤など9種類の化学薬剤により処理し, キュウリ苗立枯病の発病を調べた. その結果, クロルピクリン, NCS, D-D, DBCP, メソミル (ランネート水和剤), ヒメキサゾール (タチガレン液剤) の各処理区では, いずれもすぐれた発病抑制効果をあげ, PCNB (PCNB水和剤), ベノミル (ベンレート水和剤) 処理区では逆に対照区より発病が激増した.
    発病個体からは, Pymum spp.の分離頻度が高く, それらはP.aphanidermatum (分離株AおよびB), P.debaryanum, P. spinosum, P.sp.の4菌種5株に整理された. そのほかにはRhizoctonia solani, Fusarium mys Pormが低頻度で分離された.
    Pythium 5菌株と線虫との各接種区では, いずれも線虫によって明らかに苗立枯病の発病が助長され, 病徴の発現が早まった. Rhzoctonia接種区でも線虫により発病が助長されたがPythium接種区ほどではなかつた. Fusarium 2菌株の接種区では線虫による影響はほとんど認められなかった.
    P.aphanidermatumと線虫との複合接種による苗立枯病の発病は, 菌の接種濃度に比例して激増した.苗立枯病の発病におよぼす線虫の影響はキュウリの生育ステージによって変化し, 菌に感受性の高い播種時では菌と線虫との同時接種区で発病が急速に進展したが, 播種後7日もしくは14日経過した時期では線虫を菌より先に接種した区で同時接種の場合より発病が激しかった.
    寒天平板上におけるキュウリの根に対するP.aphanidermatum遊走子の感染は, 線虫の加害した根でより早く進展し, 感染根率も高かった.
  • 三井 康, 吉田 猛, 岡本 好一, 石井 良助
    1976 年 6 巻 p. 47-55
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)千葉県八街町の落花生連作圃場において各種添加物(落花堆肥, 稲わら堆肥, 生わらおが屑堆肥, 製鉄鉱さい, 消石灰)を施用し, キタネコブセンチュウおよび線虫捕捉菌の密度の変化を3か所の圃場で調査したが, 3か年間施用した笹引圃場を含む3圃場で添加物の影響は認められなかった.
    2)各種添加物を施用した圃場内での線虫捕捉菌とキタネコブセンチュウ密度との関係は, 添加物に関係なく線虫密度の差が大きいときに両者の間に正の相関が認められた.
    3)一般農家連作圃場で, 深耕, 低地, 酸性土壌などを除外した14圃場間では6月には, 線虫密度と捕捉菌の間に正の相関, 10月には両者間に負の相関がみられた.
    4)線虫捕捉菌検出率と前調査期の根こぶ指数に対する後期の根こぶ指数の比との間には, 6月の捕捉菌検出率と負の相関がみられたのは大関での根こぶ指数比8月/6月, 10月/6月および, 一般農家圃場23か所での10月/6月であり, 3調査時の捕捉菌平均検出率と負の相関のあったものは, 大関の10月/6月, 笹引の8月/6月, 農家12圃場間の10月/6月であった.
    5)土壌pH, 固相, 液相率などと根こぶ指数, 根こぶ指数比あるいは線虫捕捉菌などとの間には相関が認められなかったが, 土壌pHが低い場合線虫捕捉菌検出率が高まる傾向が認められた.
    6)以上の結果から線虫捕捉菌は落花生圃場によって, あるいは同一圃場内の場所によリキタネコブセンチュウ密度の抑制に関与していることが推察された.
  • 清原 友也
    1976 年 6 巻 p. 56-59
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) Botrytis cinerea菌そう上で継代培養を続けているマツノザイセンチュウ1個体群のクロマツおよびアカマツに対する病原性の変化を6年間にわたる接種実験の結果から明らかにした.
    2) この個体群は培養開始1年後には強い病原性を示し, 接種木のすべてを枯死させた.
    3) 培養を開始して5~6年を経過した個体群の病原性は著しく低下した.
    4) 6年間を経過した継代培養個体群と新たな培養個体群の間にはB.cinerea菌そう上での増殖力に顕著な差が認められた.
  • 田村 弘忠
    1976 年 6 巻 p. 60-66
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) 本調査はアカマツの枯死木におけるマツノザイセンチュウの分布を調べ, ボーリング法による個体数調査の精度を検討する基礎資料を得るために行った.
    2) 19~20年の枯死木から当年の10月に地上から1m間隔に切りとった円板における線虫の分布型をIδ指数で求めた. 厚さ2cmの各円板を2×2cmの方形区に分け, 各方形区の絶乾重9当たりの線虫数からIδを計算した結果, 1.32-3.24になり, 集中分布であることが示された.
    3) 線虫数密度の高い供試木の円板では分離された全線虫数に占める分散型第3期幼虫の割合の分布は集中性を示し, 線虫数密度の低い供試木の円板では周辺部に高い集中性がみられた.
    4) 枯死した翌5月に伐倒した供試木の地上高4mから切りとった円板では線虫数密度は周辺部の方が中心部より高かった. また枯死した年の10月に伐倒して翌5月まで横積みにした供試木の地上高4m部位の円板では周辺部より中心部で線虫数密度が高かった.
    5) 83年生の大径枯死木から枯死した年の10月に切りとった円板では, 二, 三例を除いて心材部に比べて辺材部の方で線虫数密度がかなり高かった.
  • V. 発生機構
    上林 譲, 天野 隆, 中西 勇
    1976 年 6 巻 p. 67-72
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    黒点米の発生機構に関して次のことを考察した.
    1) 縦型の黒点米は玄米の長さが発達する開花後5~6日以内にイネシンガレセンチュウによって付けられた饒から発生し, 横型はその後玄米の幅と厚さの決定される20日頃までに付けられた傷から発生するものと考えられ.この時期は穂における線虫の増殖期と一致する.
    2) 黒点米の症状は縦型, 横型ともに玄米の腹面に発達する場合が多い.登熟初期の籾殻内の腹面には空隙があるので, 線虫がここに生息して加害し, 開花後, 残存する柱頭や鶏に寄生した菌類の影響により黒点症状が進むものと推測される。なお糊粉層数の少ない腹面は背面より傷の発達が助長されるものと考えられる.
    3) 黒点米は線虫による加害が直接の発生誘因となり, これに菌類が侵入して発達するものと考えられる.
    それは黒点米分離菌の単独接種では同一症状が再現できず, 登熟初期に針で玄米に傷を付けると類似症状が現われることから明らかで, このことからまた線虫以外の付傷によっても同一症状の発生することが推測される.関連菌類として特定の菌類を見出すことはできなかったが, 糸状菌よりも細菌にやや関連性があるように思われた.
  • 西沢 務
    1976 年 6 巻 p. 73-79
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1. 1973年に, イネシンガレセンチュウが多発した一般農家圃場 (埼玉県加須市) において, 記録上稀な “黒籾病” に該当する症状を認めることができた.そしてその黒点米含有率は6.6%に及んだ.また.1975年に, 同様な線虫多発圃場 (同県吉見町) 産籾を調べた結果, 黒点米の含有率が高く, かつ黒点粒において非黒点粒よりも本線虫の保虫粒率や検出虫数が大であった.
    2. 埴土または火山灰土の試験水田において, イネシンガレセンチェウ接種苗と無接種苗とを用いて標準栽培を行い, 収穫物の黒点米含有率を比較したところ, 両土壌区とも線虫接種区で対照区より明らかに高く, その発症要因としての本線虫の重要性が示唆された.
    3. 黒点米症状の発症機作を明らかにするいとぐちとして, イネシンガレセンチュウと黒点米から分離された腐生性黄色細菌 (Enterobacter agglomerans) との接種試験を行った結果, 両老の重複接種区で判然と黒点米含有率が高まり, 黒蝕米の場合と同様な発症機作の存在が推定された.
  • 小林 義明
    1976 年 6 巻 p. 80-83
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1975年12月に, 静岡県志太郡大井川町のビニルハウス栽培のイチゴ (宝交早生) でイネシンガレセンチュウの発生が認められた.
    本線虫の寄生によりイチゴセンチュウと類似した葉の萎縮, 奇形の症状がみられた.
    症状は秋期には著しいようであるが冬期~春期は著しくなかった.
    12月と5月の線虫密度から, 本線虫のハウス内での越冬は十分可能と考えられた.
    イネシンガレセンチュウは米国南部でイチゴの病原として知られており, イネ寄生のイネシンガレセンチュウとも関連して今後の発生拡大も考えられる.
  • 中園 和年, 桂 直樹
    1976 年 6 巻 p. 84-88
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ニセフクロセンチュウの第2期幼虫の脱皮・発育に及ぼす可視光の影響を試験したところ, 青色蛍光ランプによる8,000erg cm-2sec-1以上の照射が強い阻害効果を示した. 干渉フィルターによって得た単色光照射実験から, 波長の短い青色光ほど阻害作用が大きく, その有効波長の上限は433と463nmの間にあった.
  • II. 卵の発育と桑園における生活環
    八木田 秀幸
    1976 年 6 巻 p. 89-95
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) 卵は, 両端が半円形のソーセージ状で, 長径=180.4±9.2μ, 短径翻43.4±2.2μ, 長径/短=4.2で, クワの根辺土壌から同様に分離されるXiphinema spp.の卵とは容易に区別できた.
    2) 20~25℃での胚発生の経過を観察した結果, 桑実期は卵割後1~3日目, 嚢胚期は3~8日目, ぜん虫態期は7~10日目に認められ, 幼虫態期を経て艀化幼虫は産卵後16~23日目に現れた.なお, 卵内での幼虫の脱皮は観察されなかった.
    3) 冬期の雌成虫のうち卵巣未成熟線虫をクワに接種すると, 20~24℃の温度条件では2~3週間目に卵巣が成熟するものが多く, 3~4週間目に抱卵および産卵する個体が多かった.
    4) 寄主植物として本試験の結果, イチジク, ナス, トマトが新たに加えられたが, 桑園雑草では寄二生増殖がみられなかった.
    5) 桑園においては, 本線虫は初夏に集中して産卵が行われ, つぎに秋霧の頃にも産卵した. 艀化幼虫は産卵期につづいて検出割合が高くなり, 初夏の産卵3か月経過後に第3期幼虫と成虫の検出割合が高くなる傾向がみられた.
    6) 本線虫の桑園における生活環はつぎのように推定された.6月に産卵されたものは7月に第1期幼虫となり, 年内に第3期幼虫か成虫となり, 早いものでは10月に産卵し越冬する.翌年5月頃に第3期幼虫は成虫化して6月に産卵するが, 成虫で越冬した線虫も5~6月に産卵する.
    7) 成虫の産卵時期における産卵数は少なく, 最大の抱卵線虫検出時期でも, 雌成虫あたり0.7個に過ぎなかった.しかし成虫の生存期間は長期にわたるとみられ, 艀化幼虫よりも齢期構成比が高かった.
    8) 無寄主状態土壌中でも室温下 (0~28℃) で14~17か月間生存し, 0~9℃では30か月以上の耐久生存が可能であった.
  • Haruo INAGAKI, Maria M. De SCURRAH
    1976 年 6 巻 p. 96-97
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 岡本 好一, 一戸 稔
    1976 年 6 巻 p. 98
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 三枝 敏郎
    1976 年 6 巻 p. 99
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 高島 敬一, 中園 和年, 萩谷 俊一
    1976 年 6 巻 p. 99a
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1976 年 6 巻 p. 100-103
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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