1) 1979年9月, 神奈川県相模原市で, ツバキ
Camellia japomcaおよびサザンカ
Camellia sasanquaの園芸品種から, 本邦未確認のネコブセンチュウ
Meloidogyne camellne Golden, 1979を発見し, その後, サカキ
Cleym japonicaからも検出した。それらについて, 1980年2月に, 寄生状況の調査を行った。
2) 新寄主のサザンカおよびサカキは, ツバキ同様, 本種の好寄主植物と考えられた。
3) 本種と他種ネコブセンチュウとの識別は特徴的な会陰紋により可能であるが, 第2期幼虫の計測値の内, 体長 (455~504μm), 尾長 (40.8~44.9μm), c値 (11.0~11.8) および排泄口の位置 (18.6~19.4%) により, 本邦既知の5種
M.arenaria, M.hopla, M.incognita, M.javanicaおよび
M.maliとの識別が可能と考えられた。
4) 樹令を重ね, 本線虫の寄生を著しく受けた寄主の細根にはこぶ状の肥大が認められ, その組織中に数頭の雌虫が殆ど埋没していた。
5) ツバキおよびサザンカから検出した雌虫の中には, 或る種の菌類の寄生により, 暗紅色 (ぶどう酒色) を呈したシスト様のものが認められた。
6) 調査植物個体の導入先から考えて, 本種は, 少くとも, 神奈川県および埼玉県を中心とした関東地方に分布していると推察された。
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