日本線虫研究会誌
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10 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 両性生殖系統と単為生殖系統間の比較
    中園 和年
    1981 年 10 巻 p. 1-7
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ニセフクロセンチュウ (Rotylenohulus reniformis) の各種条件下における発育反応の種内変異を明らかにする目的で, 生殖型を異にする2系統6集団 (北米産2, 本邦産4) について保護液 (蒸溜水) 中における幼虫の「発育過程」と時間との関係を明確にし, pHと温度の影響を調べた。
    (1) 27~28℃ 恒温条件下における長崎産1集団 (両性生殖系統) および鹿児島産1集団 (単為生殖系統) の「発育過程」はともに時間に対しS字型曲線を描いて進んだ。この「発育過程」の最終過程に対する到達率 (%) をプロビット変換することにより, 時間 (対数) との間に直線関係が成立した。直線の傾斜は両系統の問で有意に異なった。
    (2) 幼虫の発育に及ぼす保護液のpHの影響は, 強酸性 (pH2.9, 4.3) 区で致死ないし発育抑制効果として現われ, pH5.3~8.2の区では, 蒸溜水 (pH6.7) 区との間に差がなく, 発育の至適pHは特に存在しないことが示された。
    (3) 温度は幼虫の発育に対し強く影響し, 34℃恒温区で単性系統3集団は強い抑制を受けたが, 両性系統3集団に対する抑制は弱かった。20℃恒温区では単性系統各集団の発育が両性系統に比べてはやかった。これら6集団の温度-発育反応特性と各集団の産地の地理的分布との関連性が暗示された。
  • 相原 孝雄, 湯原 巌, 山崎 和雄
    1981 年 10 巻 p. 8-15
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) 1979年9月, 神奈川県相模原市で, ツバキCamellia japomcaおよびサザンカCamellia sasanquaの園芸品種から, 本邦未確認のネコブセンチュウMeloidogyne camellne Golden, 1979を発見し, その後, サカキCleym japonicaからも検出した。それらについて, 1980年2月に, 寄生状況の調査を行った。
    2) 新寄主のサザンカおよびサカキは, ツバキ同様, 本種の好寄主植物と考えられた。
    3) 本種と他種ネコブセンチュウとの識別は特徴的な会陰紋により可能であるが, 第2期幼虫の計測値の内, 体長 (455~504μm), 尾長 (40.8~44.9μm), c値 (11.0~11.8) および排泄口の位置 (18.6~19.4%) により, 本邦既知の5種M.arenaria, M.hopla, M.incognita, M.javanicaおよびM.maliとの識別が可能と考えられた。
    4) 樹令を重ね, 本線虫の寄生を著しく受けた寄主の細根にはこぶ状の肥大が認められ, その組織中に数頭の雌虫が殆ど埋没していた。
    5) ツバキおよびサザンカから検出した雌虫の中には, 或る種の菌類の寄生により, 暗紅色 (ぶどう酒色) を呈したシスト様のものが認められた。
    6) 調査植物個体の導入先から考えて, 本種は, 少くとも, 神奈川県および埼玉県を中心とした関東地方に分布していると推察された。
  • 皆川 望
    1981 年 10 巻 p. 16-26
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    阿蘇山の主に外輪山上の牧野およびその周辺から採取されたNothocriconema属線虫4種について分類学的検討を行った。それらのうちの2種はN.longlnm (Gunhold, 1953), N.jaejuense Choi & Geraert, 1975と同定した。他の2種は未記載の種と認め, N.palliatun n.sp.およびN. bellatulum n.sp.と命名した。N. palliatumn.sp.はハナイカダ, リョウブ, ミズキ等の木本の根辺から分離された。本種は尾端部が薄いクチクラ様の膜に被われている事からN.loofiに近似の種と考えられるが, 体長・口針長ともに短かく, 体環数も少ない事からそれと区別される。N.bellatulum n.sp.はツクシヤブウツギの根辺から検出され, N.longulum, N.demani等にやや似るが, 体長, 口針長ともにそれらの種より短かい。上記2新種を含め, 4種線虫について雌雄成虫, 各令期の幼虫を記載・図示した。
  • 樋田 幸夫, 百田 洋二
    1981 年 10 巻 p. 27-34
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    桑園のクワ根辺土壌からMacroposthonia sphaerocephala, M. xenoplax, Neolobocriconema serratum, Nothocriconema mutabile, Crossonema multisquamatum, Variasguamata gracileおよびV. guerciを検出した。これらのうち, M.xenoplaxおよびN.mutabileはこれまでにわが国では検出されていない。
    クワへの寄生性をみると, V.gracileは比較的多くの桑園から検出されたことと, 鉢植えのクワの根辺で長期間生息することが確認されたことから, また, V.guerciはクワ根辺から成虫とともに多数の幼虫が見い出されたことにより, N.mutabileはクワ根辺で長期間生息することにより, いずれもクワ寄生種であるとみられた。他の種のクワへの寄生性は明らかではなかった。
  • 1. 第2期幼虫の正面像
    岡本 好一, 八重樫 隆志
    1981 年 10 巻 p. 35-42
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) 本邦産の主なMeloidogyne 6種について, 第2期幼虫の正面像をSEMで比較検討した。
    2) labial discととmedial lipは各種とも融合し, その形状はM.Javanica以外の5種はいずれも唖鈴型 (dumbbell-shaped) で, M.incognita, M.arenaria, M.maliおよびM.camelliaeで大きく, M.haplaで小さい。lateral lipとmedial lipの接合は, labial discの側端に垂直である。M.javanicaでは蝶ネクタイ型 (bowtie-shaped) で, lateral lipとmedial lipの接合はlabial discの側端に鈍角である。
    3) cephalic sensillumはM. haplaM. camelliaeで不明瞭であったが, 他種では認められた。
    4) lateral lipの形状は, M. incognitaM. arenariaが丸く, 長く, M.haplaは丸く, 短い。M.javanicaM.maliは大きく, medial lipの側端よりもつき出し, その形状はM.jamnicaでは三角形, M.maliでは丸味を帯びる。
    5) head regionの体環の有無については, M.incognitaの供試populationでは不規則かつ不完全ながら体環が認められたが, 他の種類では認め得なかった。
    6) 以上の結果から, 供試した本邦産6種のMeloidogyneの第2期幼虫の正面像は, 種によってそれぞれ異なり, そのうち4種の特徴はEisenback and Hirschmann3) の記述とほぼ一致し, SEMによる正面像の観察で種の識別が可能と認められた。
  • 2. 雄成虫の正面像
    八重樫 隆志, 岡本 好一
    1981 年 10 巻 p. 43-51
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) ネコブセンチュウの雄成虫による種の同定のための有効な形質を探索するために, 本邦産の6種について, 走査電顕により主に正面像を比較した。
    2) 雄成虫はlabial discとmedial lipの形状, lateral lipの有無, 頭部体環の有無およびamphidial apertureの大小などで明瞭に区別されることを明らかにした。
    3) 供試線虫のいずれもlabial discとmedial lipは同一輪郭内で融合しているが, その形状はM. incognitaでは概して長楕円形, M. javanicaではやや角張ったmedial lipをもつ唖鈴形。M. maliでは長楕円形のlabial discをもち, 背腹側でくびれたmedial lipをもつことでM. javanicaの唖鈴形と区別される。M. haplaではほぼ長方形で頭部直径の2/3以下である。M. arenariaではlabial discとmedial lipの融合部が深くくびれ, 頭部の背腹側に不完全な体環をもっている。M. camelliaeはやや長方形で, labial discの両側に三日月状にamphidial apertureがむき出ていることでM.haplaと区別される。
    4) 以上の結果から, ネコブセンチュウの雄成虫正面像は種同定のための有効な形質であると考えられる
  • 大島 康臣, 百田 洋二, 清水 啓
    1981 年 10 巻 p. 52-53
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 大島 康臣, 百田 洋二
    1981 年 10 巻 p. 54-61
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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