我が国の森林土壌から検出されたネグサレセンチュウ属の2新種を記載した。
Pratylenchus yamagutii n. sp. は、北海道恵庭岳のミヤマハンノキ及びウコンウツギから検出され、2個の頭部体環、丸い受精嚢、雄が存在する等の特徴を有する。本種は、ミナミネグサレセンチュウ (
P.coffeae),
P. alleni及びムギネグサレセンチュウ (
P.neglectus) に似るが、最初の種とは体長が短く、b値が小さい、また、頭部正面像が亜鈴型である等の違いが認められる。2番目の種とは、口針が長く、受精嚢が丸ないし卵型、尾部が細い等の違いがある。3番目の種とは、雄成虫が存在し、受精嚢に球形の精子が見られること、尾部体環の数が多いこと、幻器が尾部の前半部に位置することから区別される。
P. okinawaensis n. sp. は、沖縄県国頭村の琉球大学演習林のリュウキュウハリギリ、ウラジロカンコノキ、オオバギ、ヒメユズリハ、トベラ、バリバリノキ、ボソバタブ、スギ及びリュウキュウマツから検出され、2個の頭部体環、長円形の受精嚢、尾部先端に切れ込みを有する等の特徴を持つ。本種は、
P.flakkensisに最も似るが、受精嚢がより長いこと、V値が大きいことから区別可能である。
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