千葉県下3地域の異なる作物より分離したサツマイモネコブセンチュウ各個体群の一卵塊をとって, トマトの感受性品種で3~4世代増殖させ, トマト, サツマイモ, タバコのネコブセンチュウ抵抗性, および感受性品種にご対して各温度条件下での寄生性を調べた.また抵抗性品種にご寄生し得る個体群の出現についても調査した.
1) 三つの供試個体群は, いずれも供試作物の感受性品種に, 各温度区とも高い寄生性を示した.
2) 供試した個体群の抵抗性品種に対する寄生は, 高温区で高まり, 個体群によってその傾向は多少異なった.
(イ) G-Pop.: トマトの抵抗性品種に対しては, 高温区でサツマイモ, タバコのそれよりも根こぶ指数が高かった.
(ロ) K-POP.: サツマイモの抵抗性品種に対しては, 高温区でトマト, タバコよりも根こぶ指数が高かった.
(ハ) O-Pop.: トマトの抵抗性品種に対して, いずれの温度区でも感受性品種と同程度の高い根こぶ指数を示し, この個体群は, トマトの抵抗性を破る系統であった.
3) 抵抗性品種における25~30℃の変温区は, 25℃, 28℃の恒温区より根こぶ指数が高まり, 30℃とは明らかな差が認められなかった.28~33℃の変温区は, 28℃, 30℃の恒温区よりも根こぶ指数が高かった.
4) 抵抗性品種に寄生したGおよびKの個体群は, タバコの25℃区を除くと, いずれの抵抗性品種でも再び寄生することが認められ, トマトとサツマイモで各温度区 (25℃, 30℃) とも, 世代を重ねるごとに根こぶ指数が高まる傾向が認められた.とくにG-Pop.では, トマトで, K-POP.ではサツマイモで顕著に認められ, 30℃区においては.3世代目で根こぶ指数は感受性品種のそれと同程度になった.
5) 以上の結果から, トマト, サツマイモ, タバコの抵抗性品種に寄生するサツマイモネコブセンチュウでは, 高温条件によって寄生性が高まり, 特にトマト, サツマイモなどの抵抗性品種で世代を重ねることにより, 感受性品種での寄生と同程度に寄生し得る個体群の出現が促進される可能性が示唆された.
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