日本線虫研究会誌
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9 巻
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  • 稲垣 春郎
    1979 年 9 巻 p. 1-4
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ダイズ5品種を用いたGoldenら(1970)の判別式に従って接種試験を実施したところ,秋田1(刈和野)と長野1(桔梗ケ原)両ポピュレーションはレース3,北海道1(新生)と同2(清川)はース1であることが判明した.北海道3(高岩)ポピュレーションはGoldenらの4レースには入らない新レースであることがわかり,これをレース5とした。また,秋田1と長野1はこの判別式では共にレース3となるが,“PI 88788”に対する反応において,両者間に若干の差異が認められた.日本のダイズ品種の中で“東山93号”はレース5を判別するための品種として供試できる.
  • 庄司 次男
    1979 年 9 巻 p. 5-8
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マッノザイセンチュウの低温耐性について検討した.
    1)増殖期幼虫,成虫,分散型第3期幼虫および耐久型幼虫は,-20℃で1~5日間の凍結処理でほとんど死亡した.分散型第3期幼虫の低温耐性は,他のステージより高く-10℃,5日間処理で約50%が生存した.
    2)丸太材内に生息する分散型第3期幼虫は,-20℃,10日間処理でも高い生存率を示した.また,材片の場合も水中での凍結処理に比べ生存率は高かった.
    3)分散型第3期幼虫と成虫は,-20℃,1日の凍結処理では増殖力を失わなかった.
  • 二井 一禎
    1979 年 9 巻 p. 9-15
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    線虫の寄主探索は,寄主体から発せられる刺激の有効範囲内での定位的行動と,それ以外の場でのランダム運動により達成されていると考えられる.このような考え方を前提とし,「任意の時点に寄主体上に集合している線虫数は,その寄主体から遠ざかる線虫数と,そこへ近づく線虫数の動的なバランスの結果である」というわBlakeの説を採用することにより,寄主体への線虫の集合の過程を表現する次のような数理モデルを提示した.
    ある寄主に関与する総線虫数をN,そのうち,任意の時点に,寄主体上に集合している線虫数をX,それ以外の場でランダム運動している線虫数をyとする.また寄主への定着を促す因子の係数をP,それを忌避する因子の係数をqとすると,
    X=_??_
    (N=x+y) とあらわせる.
    さらにこの数理モデルは,複数の寄主間で行われる線虫の選択的集合行動の説明に応用され,ある程度の成功を収めた.これらの理論的な試みは,いずれもin vitroに設定された簡単な実験系を用いることにより,その適合性が確かめられた.
  • 岡本 好一
    1979 年 9 巻 p. 16-19
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    サツマイモネコブセンチュウのトマト,タバコ,サツマイモに対する抵抗性打破系統(R系統)と,非打破系統(S系統)の寄生性と2期幼虫の形態について調べた.
    1)S系統はいずれも抵抗性植物では殆んど増殖せず,R系統も,それぞれの淘汰に関与してきた寄主以外の抵抗性植物では殆んど増殖しなかった.
    2)2段階の温度条件下で,感受性寄主を用いて増殖させて得た2期幼虫の形態は,体長ではSとRの両系統間で両温度区とも有意差が認められなかったが,c値とc'値では,トマト(G-POP.)とサツマイモ(K-POP.)のSとRの間で両温度区ともわずかに有意差が認められた.
  • 樋田 幸夫
    1979 年 9 巻 p. 20-24
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)クワに寄生するMeloidogyne maliの寄主植物および2期幼虫の形態を調べ,本種が多くの草本類にも寄生することと,幼虫の尾長や排泄口の位置によって日本のクワに寄生するネコブセンチュウの他種と区別されることを明らかにした.
    2)M. maliはイノコズチ,ヤブガラシ,コアカザなどの桑園雑草のほか,トマト,キュウリ,ハクサイ,ゴボウ,ニンジン,ダイズなど17種の草本類に寄生が認められた.
    3)M. maliはハルニレ,イチジク,ハリグワ,コウゾ,モミジイチゴ,リンゴ,サクラなどの木本類に寄生が認められた.
    4)M. mali幼虫の尾長はM. arenariaおよびM. haplaのそれよりも約20μm以上,M. incognita (acrita)およびM. jauanicaよりも約10μm以上それぞれ短く,c値はこれら4種のいずれよりも大きかった.
    5).M. mali幼虫の排泄口は頭部先端より体長の17-18%のところに位置し,他の4種のネコブセンチュウのそれ(20-21%)よりも前方にみられた.
  • 皆川 望
    1979 年 9 巻 p. 25-27
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    熊本県菊池郡西合志町の九州農業試験場構内のクヌギ根辺土壌から採取したCrossonema属のトゲワセンチュウを新種として記載した.本種の雌成虫は体長321-544μm,体環数50-55,口針長86-121μm,陰門は尾端から10-12番目,肛門は同じく5-7番目の体環に位置する.同属の近似種(C. fimbriatum, C. menzeli)とは一体環上の突起数がより少なく,それらの形態が異なる.またC. fimbriatumと較べ尾部が長く,先端がより尖り,C. menzeliとは排泄口の位置がより前方にある等の形態的差異が認められた.これらのことから本種を新種Crossonema dryumと命名した.
  • 1. Trichodoridae科
    宍田 幸男
    1979 年 9 巻 p. 28-44
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    樹木と土壌線虫との関わりを究明するための基礎資料を得,また地域の線虫相を探る目的で,明治神宮境内林を中心に樹木の根辺土壌より得られた植物寄生性線虫類の分類学的研究を行った.本論文はその第1報で,Trichodoridae 5種の形態に関する知見を報告する.Trichodorus tricaulatus n. sp. は雄・雌共T. sparsus Szczygiel, 1968に近似するが,食道腺が腹側で腸に重なること,雄はventromedian cervical poreを3つ持つこと,交接刺のstriationとscaleは先端を除く前半部に限られることにより区別され.T. aequalisAllen, 1957は北アメリカ以外の地域から初めて報告された. T. cedarus Yokoo, 1964の種内変異, Yokooの原論文の検討から,T. longistylus Yokoo, 964, T. kurumeensis Yokoo, 1966はT. cedarusのjunior synonymとされた.Paratrichodorus (Nanidorus) minor (Colbran, 1956)は日本に土着の種と見られる.P.(Atlantadorus) porosus (Allen, 1957)は,調査地域内に於て広い寄主範囲を示した.P.(A.) porosusのventromedian poreの数の変異は,自然集団に於てかなり高い頻度で見られるものと思われる.以上5種の形態計測値を記載し,Trichodorus 3種については種内変異に言及し,若干の論議を行った.
  • 清水 啓, 百田 洋二
    1979 年 9 巻 p. 45-48
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)アルファルファのカルスで無菌培養したイネシソガレセソチュウの成幼虫を材料に用いた.線虫の磨砕液を遠心分離して上清(遊離アミノ酸)と沈澱に分け,沈澱はさらに加水分解してアミノ酸とし,これらを自動アミノ酸分析計にかけて各々のアミノ酸を定量し,その構成比率を求めた.
    2)イネシンガレセンチュウのアミノ酸を25種類,アミンを4種類その他未同定のニンヒドリン陽性物質5種類合計34種類を検出した他,多量のアンモニアと尿素を検出した.
    3)アミノ酸の構成比率の高いものを上げると,アラニン,グルタミン,グルタミン酸,グリシン(以上遊離アミノ酸),グリシン,グルタミソ酸,アスパラギン酸,アラニン,ロイシン,プロリン,リジン,バリン,セリン(以上加水分解物アミノ酸)であった.
    4)アミノ酸の分析方法ならびにアミノ酸組成と関連するアミノ酸の代謝について考察した.
  • 近岡 一郎
    1979 年 9 巻 p. 49-53
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    栽培植物や雑草など48科172種の植物について, P. penetransの寄生程度を調査した結果, 非寄主植物は4種で168種が寄主植物であった.マメ科, キク科, ウリ科植物は概して好適寄主が多く, もっとも良好な寄主植物はインゲン, ゴボウ, シュンギク, フキ, レタス, オクラ, ネギ, タマネギ, スーダソグラスなどであった.
  • 二井 一禎
    1979 年 9 巻 p. 54-59
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マツノザイセンチュウに対して感受性のクロマツと抵抗性のテーダマツの若枝の輪切り (以下segment) の成分の一部をエーテルやエタノールで抽出し去ると, このsegmentに対するマツノザイセンチュウと, 非病原性のニセマツノザイセンチュウの集合数は一般に減少する.また, これらのsegmentのエーテル抽出物には線虫の集合を促進する効果があり, 一方テーダマツの樹皮部の冷水抽出成分には線虫に対して忌避作用が見られた.さらに, これらのsegmentへの両線虫の侵入率はsegrnentを冷水で処理すると著しく減少する.逆にエーテルで処理すると, 侵入率にはほとんど変化が現われないか, むしろ増加する傾向さえ見られる.これらの事実は, 両線虫の寄主マツsegmentへの集合と侵入が寄主に由来する成分に独立に制御されていることを示唆している.
  • 平野 和弥, 杉山 悟, 飯田 格
    1979 年 9 巻 p. 60-68
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    サツマイモネコブセンチュウに感染したトマトの萎ちょう病の発病と根圏微生物相との関係について検討した.
    線虫汚染圃場における萎ちょう病の発病はFusarium感受性品種 (松戸ポンデローザ) で著しかったが, 抵抗性品種 (豊錦) ではまったく起こらなかった.また発病品種における病勢の進展は, 線虫の無汚染圃場より汚染圃場で激しかった.
    線虫汚染圃場で萎ちょう病の発病前における松戸ポンデローザの根圏微生物相の動態は, 5月中旬にF.oxysporumの密度が増大した後減少し, 次いで6月中は細菌とくに色素耐性細菌の密度が高まった.放線菌密度はほとんど変わらなかった.線虫無汚染圃場における根圏微生物相の動きは全般に緩やかな傾向を示した. 品種による微生物相の動きには注目すべき差異がなかった.
    松戸ポンデローザの萎ちょう病発病個体における根圏微生物相を圃場別に比較すると, F.oxysporum, 糸状菌, 細菌および色素耐性細菌の密度は線虫汚染圃場の発病個体で高まり, 放線菌密度は差異が認められなかった.ただしF.oxysporumの密度は個体別の変動が著しかった.
    滅菌土と非滅菌土を用いた接種実験では, 両土壌とも線虫・菌接種区において菌単独接種区より萎ちょう病の発病が助長されたが, 病勢の進展は, 滅菌土の方が顕著であった.
    非滅菌土での根圏微生物相は, 線虫・菌接種区で特異的な密度変動を示し, 色素耐性細一菌の増大とF.oxysporumの減少が目立った.
  • 山本 公志, 奈須田 和彦, 高島 敬一
    1979 年 9 巻 p. 69-72
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1.蒸気消毒土壌で生育させたクリ実生苗にPsmdhalemhus anchilisposomusを接種した結果, 健全とみられる根において僅かながら線虫が検出された.
    2.過湿条件下で生育させたクリ実生苗に線虫を接種した結果では, 衰弱したとみられる根から多数の線虫が検出された. また枯死した根からも多く検出された.
    3.線虫は, 根の分岐部や皮層部の細胞間隙ならびに細胞内に存在し, 木部には認められなかった.
    4.細胞内の線虫は虫体を屈曲して一時定着する状態がうかがわれ, その細胞や隣接細胞内には黒褐色のか粒状物質がみられた.
  • 百田 洋二
    1979 年 9 巻 p. 73-74
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 小芦 健良
    1979 年 9 巻 p. 75-76
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 皆川 望
    1979 年 9 巻 p. 77-78
    発行日: 1979/12/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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