日本線虫研究会誌
Online ISSN : 2186-2672
Print ISSN : 0388-2357
ISSN-L : 0388-2357
19 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • Robert I. BOLLA, Clyde NOSSER, 田村 弘忠
    1989 年 19 巻 p. 1-6
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本産のマツノザイセンチュウS10個体群を接種したクロマツの材からジクロロメタンで抽出される樹脂はニセマツノザイセンチュウを接種したクロマツあるいは傷を付けたクロ.マツ (対照) の材からのものと異なっていた。これらの相違は樹脂酸を含む独自のオレオレジンが線虫に反応して合成されることを示している。マツノザイセンチュウの一病原型であるVPSt-1を接種したヨーロッパアカマツから抽出される樹脂酸のプロフィルは青変菌に感染したマツあるいは傷を付けたマツの樹脂酸成分とははっきり違っていた。これらの相違はマツの樹脂酸の成分が特異的な生物的ストレスに反応して変わりうることを示している。VSPt-1を接種したヨーロッパアカマツで顕著な無水アビエチン酸には殺線虫活性があったが、接種しない健全なマツで顕著なアビエチン酸にはこのような活性がなかった。
  • Robert I. BOLLA, 田村 弘忠
    1989 年 19 巻 p. 7-12
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本産マツノザイセンチュウの数個体群間で交雑ポテンシャルに違いが見られた。供試したすべての日本産個体群は交尾してF1を産生したが、生まれたF1幼虫の個体数は交雑させた親個体群に左右された。強病原性個体群と弱病原性個体群との交雑で生まれたF1個体群はクロマツに強い病原性を示した。日本産個体群S10はU. S. 産個体群と交雑し、生まれた子孫は病原力を持っていた。U. S. 産個体群と日本産個体群の交雑で生まれたF1世代は親のU.S産個体群の宿主特異性を保持しなかった。染色体数は線虫個体群によって異なっていたが、その相違は病原性と関係なかった。
  • 崔 東魯, 石橋 信義
    1989 年 19 巻 p. 13-17
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    九州5県 (鹿児島、熊本、長崎、佐賀、福岡) で採集したA. avenaeの増殖を、ビートパルプ、ビールかす、ふすまを培養基材とした5種類の培地と6種類の糸状菌 (Botrytis cinerea、Fusarium oxysporum f.sp.lagenariae、Phoma asparagi、Phytophthora nicotianae var.pamsitica、Rhizoctonia solani、 Verticillium dahliae) を用いて比較検討した。各種糸状菌上での接種後20日の増殖線虫数はRsolani 上で最も多く、F. oxysporumの6.61倍、B. cinereaの1.73倍、他の糸状菌の2.08~3.70倍であった。鹿児島産線虫の増殖数は佐賀産の1.97倍となり、他の3産地の線虫の増殖数は両県産の中間であった。最適増殖温度は佐賀産が25℃、鹿児島産は約30℃であった。ビートパルプとビールかすを1対1に混合した培地は、他の培地と比べてEcinereaの菌糸伸長には必ずしも最適でなかったが、A. avenaeの増殖には最適であった。
  • 水久保 隆之
    1989 年 19 巻 p. 18-31
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ハリセンチュウ科の3種、Aglenchus ainakamurae (新種)、Cephalenchus leptus leptus およびLelenchus leetosoma を日本から記録した。1) A. ainakamurae は茨城県御前山村のサンショウ・イロハモミジ・ハギ属の一種およびイラクサ属の一種から検出された。本種は近似するA. muktiiとは雄がいないこと、毛状の尾端および先細になった唇部側面像によって区別される。また本種は、雄の欠如・先細の唇部・体環数・MB・c・V・V等の値の相違に基づきA. geraerti (新名) と区別される。2) C. leptus leptusmsの個体群を、イタヤカエデ、草本 (北海道) および未同定木本 (長野県) から分離し、再記載した。国内のC. leptusの計測値を分析した結果から、C. leptusの異名同物とされたC. limichusを有効種と考え、日本から記載されたC.daisuceC.leptusの一亜種 (C. leptusdaisuce) に位置づけ、同時にC. leptusを承名亜種 (C. leptus leptus) とした。3) 長崎県及び長野県の森林土壌から分離したL. leptosomaを図示し、諸計測値を示した。Agknchus属とLelenchus属はそれぞれ日本最初の報告である。
  • Jennifer A. BOLLA, Judith BRAMBLE, Robert I. BOLLA
    1989 年 19 巻 p. 32-37
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国ミズーリ州のヨーロッパアカマツから分離したマツノザイセンチュウのパソタイプMPSy-1はカミキリムシMonochamus carolinensisの4齢幼虫のホモジネートと脂質抽出物に誘引された。誘引はこれらの幼虫のタンパク質抽出物で抑制され、またアルファピネンとべ一タピネンによって増進されなかった。この誘引物質の本体は拡散性であり、線虫の集合を誘起するようである。
  • 中園 和年
    1989 年 19 巻 p. 38-45
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    厩肥 (おがくず牛糞尿厩肥) の施用が黒ボク土 (西合志) におけるトマトのサツマイモネコブセンチュウ被害発現に及ぼす効果を明らかにするため、ワグネルポット (1/5,000a、滅菌土21) によるトマトの栽培 (37日間) 試験を行った。その結果、根こぶ着生度は厩肥施用区でやや小さかった。地上部生体重は、厩肥施用量がha当りOtから100tに増えるにつれて増加したが、線虫の初期密度水準が高まるにつれ減少した。その減少程度は厩肥施用区で小さかった。地下部生体重は、初期密度水準が高くなるにつれて全処理区で増加したが全生体重 (地上部+地下部) に占める地下部重の割合は厩肥施用量が多いほど小さくなる傾向がみられた。厩肥の施用は、トマトの耐性限界の引上げよりも最低収量の底上げに効果があると推察された。トマト地上部の無機成分量の測定をおこない、含有率や成分比の変動を線虫感染と関連づけて検討した。
  • 奈良部 孝, 難波 成任, 山下 修一, 土崎 常男
    1989 年 19 巻 p. 46-51
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    関東地方で採集した採集場所および寄主植物の異なるサツマイモネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウおよびキタネコブセンチュウの合計31系統を供試して、6種類の酵素のアイソザイムパターンを比較した。
    1)同一種内では、採集場所や寄主植物によるアイソザイムパターンの変異は見いだされなかった。また、サツマイモネコブセンチュウのレース1、2および3の間に、アイソザイムパターンの差異は認められなかった。
    2)エステラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタミン酸ーオキサロ酢酸トランスアミナーゼ、グリセロールー3ーリン酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムパターンの解析により、ネコブセンチュウ3種を同定できた。
    3)本実験で得られたサツマイモネコブセンチュウおよびキタネコブセンチュウのアイソザイムパターンは海外での報告例とほぼ一致したが、ジャワネコブセンチュウでは一部異なり、日本および海外の系統間の比較検討がさらに必要となった。
  • 葭原 敏夫, 氣賀澤 和男
    1989 年 19 巻 p. 52-55
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    大豆根辺の生土壌からダイズシストセンチュウのシストを乾燥させないで大量に分離するために、土壌の節分けーシスト流し一比重選の3段階の過程を経る分離法について検討した。
    1) 1009の乾土を湿らせ、シストを接種し、この方法で再分離を行った結果、90%以上の再分離率を得た。
    2) 大豆収穫後に採取した2.5kgの根辺土壌を乾燥させずに、この方法で処理した結果、フェンウィック法よりも多くのシストを分離し得た。また、分離に要する作業時間も短かかった。
    3) 径20cmの筋に替えて39cm角の筋を用いると作業能率が向上し、この節を振動機に装着すると更に能率的であった。この方法により576kgの大豆収穫後の湿った根辺土壌を、延べ39時間・人 (1kg当たり4分・人) で処理することができ、約53万個のシストを集めることができた。
  • 楊 発柱
    1989 年 19 巻 p. 56-58
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 上田 康郎, 橋本 ほしみ, 島津 光明
    1989 年 19 巻 p. 59-61
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 水久保 隆之
    1989 年 19 巻 p. 62-87
    発行日: 1989/12/26
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top