日本線虫研究会誌
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5 巻
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  • 岡田 利承
    1975 年 5 巻 p. 1-9
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • I. 形態的特徴と発育経過
    八木田 秀幸
    1975 年 5 巻 p. 10-15
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    クワ輪紋ウイルスを媒介するLongidorus martiniにつき, 各発育ステージとその形態, ならびに発育経過を調査し, 以下の結果を得た.
    1) 幼虫の発育ステージについては, 口針長とguideringの位置 (頭端からの距離) を計測した結果, 明らかに3つのグループにしか区別できなかった.従って本種は艀化後3回脱皮し, 第1~第3期幼虫を経て成虫となるものと思われる.
    2) クワから検出された本線虫の形態, とくに未調査であった幼虫について形態計測結果を記述し, 本種の和名を「クワノナガハリセンチュウ」とした.成虫について形態計測を行なった結果, 本材料では雌・雄とも原記載に比べて口針長が大で, a値は小であった.
    3) 本種は, 20~25℃の温度条件でクワを寄主植物とした場合, 艀化幼虫は約3か月経過後に大部分が成虫となり, 成虫から成虫までは4か月弱と推定された.
  • 真宮 靖治
    1975 年 5 巻 p. 16-25
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1)マツノザイセンチュウの卵および幼虫の発育経過を, 25℃の温度条件下で明らかにした. 胚発生はTylenchidaの線虫に共通した経過をしめした.産下時の単細胞期から, 9~12時間後に蝌州期にはいり, 産下後15~22時間で第1期幼虫の形成が認められた, 卵内で1回脱皮したのち, 第2期幼虫として卿化する. 産下後26~32時間である.孵化した第2期幼虫をBotrytis cinereaの菌そう上におくと, 直ちに摂食活動にはいり, 3回の脱皮と, 体長増大, 生殖腺の発達をともないながら, 成長して, 4日後には成虫に達して産卵活動をはじめた.食餌のない場合, 幼虫はまったく成長せず, 脱皮にもいたらない.
    2)つぎつぎと世代をくり返して個体数をふやす増殖期に対し, 生活環における特殊化したステージとしての分散型幼虫について, 形態的特徴を明らかにするとともに, その位置づけを行った.分散型第3期幼虫は, 環境の不良化に対応してあらわれ, そのような環境条件下でより耐性をそなえたステージとして, また, つぎの分散型第4期幼虫へすすむための前駆的ステージとして位置づけされる.分散型第4期幼虫は昆虫の体に保持されて, 新しい生息環境に分散移動するためのステージである.
    3)異なる温度条件下でのB.lignicolusの生活史を, B.cimnaの菌そう上において明らかにした. 30℃でもっとも成長がはやく, 1世代は3日間で完了する. 25℃では4~5日, 20℃で6日, 15℃で12日であった. 30℃ をこえると生育上の障害が起こった.理論的数値としてえられた発育限界温度は9.5℃である.
    B.lignicolusでは交尾, 受精が産卵活動のために不可欠である.
  • 西沢 務
    1975 年 5 巻 p. 26-31
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) 本種の原記載 (Allen, 1957) によれば, 標徴的特徴として雌の陰門前後に各1対ずつ計4個の小孔 (ventromedianpores) をもつとされているが, 長野市産の自然集団にはこれを3孔しかもたないものを主体とした異常個体が約30%検出される. そこで雌成虫の個体飼育を行なって得た子孫10集団について調査した結果, その変異出現率は自然集団のそれとよく符合し, これは同一種内の変異であって, 小孔の数そのものは種の標徴とはならないことが判明した.
    2) 本種は集団によって雄が検出されないことがあり, 単性生殖の可能性が予想されたので, 幼虫50頭の個体隔離飼育を試みた結果, 36%の個体に増殖がみられ, 雄が高率に検出される集団においても単性生殖が可能であることがわかった.
    3) 本種の増殖にはやや低温条件が好適であることが経験的に推測されたので, 土壌恒温槽を用いナガイモを寄主として2回の温度別増殖比較試験を行なった結果, 回収線虫数はいずれも明らかに20℃>25℃>30℃ の傾向を示した.
    4) ポット試験により本種の寄主範囲を予備的に調べたところ, 43種中35種の植物で増殖が認められ, 多犯性であることが再確認された. とくにトウモロコシ, キャベツ, オクラ, マリーゴールドなどで顕著に増殖した。
  • 清水 啓
    1975 年 5 巻 p. 32-35
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) イネシストセンチュウ (Heterodera elachista) の第2期幼虫をイネ苗に接種し, 25℃恒温条件下で育て, 接種後3日ずつずらして経根的に32Pを投与し, 成虫期におけるその蓄積量を調べたところ, 接種33日目までに投与した区は概ね一定の値を示した.
    2) 雌成虫体に対する卵のうへの32Pの移行量の割合は全処理区平均で約15%であった.
    3) 発育ステージごとに3日間ずつ32Pを経根的に投与した場合, 線虫体への取込量は接種後23~26日目の産卵活動最盛期に最大値を示した.
    4) 発育ステージごとに取込まれた14Cの量は, 32Pに比較して量的変化は少なかったが, ピークはおよそ32Pの場合と一致した.
    5) 14Cの卵のうへ移行する割合は32Pに比べて著しく高く, 全期間の平均で55%であった.
  • 一戸 稔
    1975 年 5 巻 p. 36-40
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ブラジル・パラ州トメアスー地区のコショウ栽培は, 日本人移住者による300万株, 3,000haに及ぶ大規模なものであるが, 約20年前から「根ぐされ」と呼ぶ病害が発生し, Fusarium solani f. piperiによるとされた.筆者は1975年1月, その原因調査のため現地に赴き, 11名の調査協力者と共に4つの調査班を編成し, 各班ごと, コショウの無作為抽出によるネコブセンチュウ寄生度の疫学的調査を行なった.全体を4地区に分け, 各地区ごと約15圃場, 1圃場10株を任意に選び, 根圏の一部を掘り, ナイフで根の表層を除去し, ネコブセンチュウの雌虫・卵塊・周辺組織の腐敗の確認により根こぶ指数 (0~4) を調べた.その結果,(i) 全調査圃場74のうち, 10株全部が指数0の圃場はわずか1であった.(ii) 全調査株737の91%は指数1以上で, したがって10株中9株の割でネコブセンチュウが寄生している.(iii) 指数3および4は全調査株の75%を占め, したがって4株中3株は “高い” 寄生度といえる.(iv) 樹令2~4年の株の寄生度は5年以上のそれよりもやや低い傾向を示し,(v) 寄生度と土性 (粗粒・中粒・微粒) との関係ははっきりしなかった.(vi) 日本に持帰った標本により種を精査し, 主体はサツマイモネコブセンチュウと同定したし (vii) インドネシアのコショウのYellows diseaseの原因とされるミガンネモグリセンチュウは, 葉の黄化という共通な病徴の発現はあるが, トメアスーのコショウからは検出されなかった.
  • 佐野 善一
    1975 年 5 巻 p. 41-47
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1) サツマイモネコブセンチュウとラセンセンチュウを用い, ふるいわけベルマン法の特性を, ベルマン法, 二層遠沈浮遊法と比較検討した.
    2) ふるいわけベルマン法の分離効率は, 活動力のあるサッマイモネコブセンチュウでは二層遠沈浮遊法と同程度と考えられる. 分離虫数の振れはCVで10%前後で, 定量的な検出に用いられる.
    3) 低温期には, サツマイモネコブセンチュウ第2期幼虫の活動力は低下していることが明らかになった. しかし, 活動力は短期間 (48-72時間) の加温で回復する. ラセンセンチユウは低温期間中でも比較的活動力が高い.
    4) 冬季・春季の土壌中のサツマイモネコブセンチュウ第2期幼虫には, 死亡個体あるいはそれに近い個体が存在し, その割合は無視できない.
    5) この方法によれば, 低温による活動力の低下に影響されることなく, サツマイモネコブセンチュウの生幼虫を定量的に検出することが可能と考えられる.
  • 三井 康, 横沢 菱三, 一戸 稔
    1975 年 5 巻 p. 48-55
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ネグサレセンチュウPratylenchus penetrans, P.fallax, P. crenatus, P. loasi, P. vulnus, P. coffeae, P.zeaeなど7種22群をSchenk & Hildebrandtの培地を用い, アルファルファのカルスで培養し, 培地のpH (2.9-8.1) と培養温度 (15-34℃) の線虫の増殖に及ぼす影響を調査した.培地のpHの影響はほとんど認められず, また線虫の種類による差異もなかったが, P.loosiの第5, P. uulnusの第3, P. fallaxの第2の各群では低いpHで増殖率が低下した.増殖適温はP.penetrans, P. fallax, P. vulnus (3群), P. loosi, P.crenatus では25℃ 前後であり,.P.ulnusの1群は25-30℃, P. coffeaeをま25-32℃, P, zeaeをま29-34℃であった.
  • 岡田 利承
    1975 年 5 巻 p. 56-59
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 5 巻 p. 60-61
    発行日: 1975/10/15
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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