サツマイモの品種とサツマイモネコブセンチュウの増殖との関係を, サツマイモの根における本線虫の侵入, 発育ならびに圃場における本線虫の増殖状況から検討した。
本線虫は, サツマイモのいずれの品種の根にも侵入し得るが, 侵入後の発育は, 外観的寄生度 (根こぶ指数) の高い品種ほど順調で, 寄生度のきわめて高い品種では, 卵のう密度きわめて高く, 産卵可能の雌成虫にまで発育する歩留まりがきわめて高いのに対し, 寄生度のきわめて低い品種では, 卵のう形成数もきわめて少なく, 産卵可能の雌成虫に達する歩留まりがきわめて低く, 本線虫に対するサツマイモの抵抗性が品種によって明らかに異なることを認めた。
圃場における本線虫の増殖は, 栽培品種の本線虫に対する抵抗性と関連して, 品種によりきわめて顕著な差が認められ, 本線虫抵抗性のきわめて弱い関東14号を栽培した区では, 抵抗性のきわめて強い農林5号を栽培した区にくらべ, 本線虫ははるかに高い生息密度を示し, 後者においては, ベルマン法によって分離された幼虫数は, 年間を通じてきわめて少数であった。
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