看護科学研究
Online ISSN : 2424-0052
ISSN-L : 2424-0052
10 巻, 2 号
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研究報告
  • 籠 玲子, 太田 勝正
    2012 年 10 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/11/15
    ジャーナル フリー
    本研究は、新人看護師の共感についての理解、患者に対する共感的態度の実態、共感的態度で接することに困難を感じた経験とその理由についての実態を明らかにすることを目的とした。入職2年目看護師248名を対象に自記式質問紙調査を行い、76名から回答を得た。分析の結果、以下のような結論が得られた。1. 新人看護師の共感の内的反応の理解は、認知的側面と感情的側面の2つの側面の強さにより、「高認知高感情群」「高認知低感情群」「低認知高感情群」の3つのタイプに分類された。2. 新人看護師は、どのような患者にも共感的態度で接するべきだと思う人は、いつでも共感的態度で接するべきだと思う傾向がみられ、実際の接し方にも同様の傾向がみられた。3. 新人看護師の多くは、共感的態度で接することの困難を経験しており、その困難は、看護師あるいは患者の双方に理由があり、どちらか一方の原因により生じるものではなかった。
資料
  • 稲垣 敦, 桜井 礼子, 平野 亙, 高波 利恵, 溝口 和佳, 岩崎 香子, 品川 佳満, 中山 晃志, 影山 隆之, 草間 朋子
    2012 年 10 巻 2 号 p. 47-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/11/15
    ジャーナル フリー
    大分市と協力して2005年に介護予防運動「お元気しゃんしゃん体操」(OSST)を開発した。OSSTは3段階の運動強度に分けられており、それぞれ道具を使わない4 種類の筋力トレーニングと3 種類のストレッチから構成されている。本研究には64~90歳の130名の在宅高齢者が参加した。3 ヶ月間のプログラムは、高齢者サロンでのOSST、健康相談、健康に関する講義、自宅でのOSSTであった。この期間の前後に、運動機能を測定し、自覚した身体的および精神的な変化に関する質問紙調査票を配付した。その結果、80%以上の者がほぼ毎日OSSTを家で実施し、OSSTでケガをした者はいなかった。また、体重、等尺性膝関節伸展筋力、肩関節柔軟性、10 m全力歩行タイム、最大一歩幅、ステッピングで有意な改善が認められ、体脂肪率、握力、長座体前屈、重心動揺、開眼片足立ち、全身反応時間では認められなかった。さらに、ほとんどの被験者が身体的および心理的に望ましい変化を報告した。OSSTは運動機能や心理面の改善の点で他の介護予防運動と同程度有効であった。さらに柔軟性や平衡性を高めるために改善が必要であるが、OSSTは安全性、継続可能性、効果の点から高齢者に相応しい運動であると考えられる。
ケースレポート
  • 馬場 才悟, 久木原 博子, 石橋 実, 諸隈 豊子, 檀上 晶子
    2012 年 10 巻 2 号 p. 57-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/11/15
    ジャーナル フリー
    87歳女性、要介護5、日常生活自立度C2・IV、診断名は、多発性脳梗塞による右片麻痺、嚥下障害、失語症、両大腿骨骨折後で空腸瘻造設者。この入所者に対し、バンホーテンピュアココア(商品名)を既報のココア補充療法(40~45 g/日)よりも低用量である1日毎食5 g投与し(15 g/日)、血液生化学データを追跡調査し、ココア投与前と投与後で比較分析を行った。その結果、ココア投与前後を比較したところ、ココア投与前は赤血球数440万/μl、ヘモグロビン値14.1 g/dl、ヘマトクリット値41.7%であったが、ココア投与4 ヵ月後では、赤血球数454万/μl、ヘモグロビン値14 g/dl、ヘマトクリット値40.1%であり、減少は認めなかった。しかし、2度目の肺炎発症にて入院となり、入院中にココア補充療法が1 ヵ月間中止となる。肺炎治癒後、再入所時のヘモグロビン値は10.5 g/dl まで低下を認め、前回と同様のココア補充療法再開により、開始4 ヵ月後には、ヘモグロビン値が14.1 g/dl まで改善がみられた。長期の空腸瘻による経腸栄養高齢者の貧血に対し、既報よりも低用量の15 g/日のココア補充療法でも貧血の改善がみられた。
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