看護科学研究
Online ISSN : 2424-0052
ISSN-L : 2424-0052
14 巻, 3 号
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総説
  • 近藤 英明, 加藤 千穂, 江藤 宏美
    2016 年 14 巻 3 号 p. 48-57
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
    妊産婦のレストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病(RLS/WED)の有病率は同じ地域・人種の非妊産婦と比較して2 −3倍と高率である。妊産婦のRLS/WEDの多くは妊娠中に発症し、出産とともに消失する。一部の患者では妊娠中、または授乳中に重症化し、QOLが損なわれることがある。しかし、妊産婦のRLS/WEDに対する治療に関する知見はいまだ十分に蓄積されたものではない。妊産婦のRLS/WEDの病態には遺伝的背景に加えてホルモン動態の変化、鉄欠乏、ビタミンD欠乏、および喫煙等の生活習慣に伴う因子が関わっている。RLS/WEDを合併する妊産婦では妊娠高血圧症候群の合併が多いとの報告もあり妊娠経過や分娩アウトカムへの影響が問題となる。妊娠中のRLS/WED、妊娠糖尿病(GDM)や妊娠高血圧症候群の既往は出産後の慢性のRLS/WED発症のリスクを高める。妊娠中からRLS/WEDに関する啓蒙を行い医療者側も適切に対応することが求められている。
  • 小川 千晶, 白石 三恵, 安井 まどか, 岩本 麻希, 島田 三惠子
    2016 年 14 巻 3 号 p. 58-65
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
    精油を付加した足浴、すなわちアロマテラピーと足浴を組み合わせた「アロマフットバス」の産褥期における心身への影響についてシステマティックレビューを行った。データベース検索(医中誌、CiNii、MEDLINE、PubMed、CINAHL、PsycINFO)、包含・除外基準による検討及び論文の質評価の結果、6論文をレビュー対象とした。アロマフットバス群は、従来の足浴群や通常ケア群に比べて有意な疲労の軽減効果を有することを5論文が示していた。また、アロマフットバス群では、通常ケア群に比べて日本語版Profile of Mood States短縮版の下位尺度「緊張」得点の有意な減少および「活気」得点の上昇、ストレス反応チェックリストの身体的反応得点の低下、対児感情評定尺度における接近得点の減少を示した。産褥期のアロマフットバスの実施により、疲労や心理的にネガティブな気分の軽減や児の受容を促進する効果がある可能性が示唆された。しかしながら、産褥期のアロマフットバスの効果については更なる研究が必要である。
研究報告
  • 坂本 遥, 加藤 千穂, 江藤 宏美, 近藤 英明
    2016 年 14 巻 3 号 p. 66-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
    妊娠中にレストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病(RLS/WED)は高率となる。本研究は日本の地域周産期母子医療センターにて入院管理を必要とした合併症を有するハイリスク妊産婦81人を対象としてRLS/WEDの有病率調査を行った。さらに、RLS/WEDと臨床像、分娩アウトカムとの関連について検討を行った。RLS/WEDが確定的、もしくは疑われる妊産婦は14人(17.3%)であった。妊娠前よりRLS/WEDの症状が出現していた者は9人(64.3%)であった。RLS/WEDと妊娠合併症、血清フェリチン値、血清葉酸値、分娩アウトカムとの関連性は認められなかった。ハイリスク日本人妊婦におけるRLS/WED有症状率は同年代の女性と比べて高率で、妊娠前のRLS/WEDはハイリスク妊娠と関連することが推察された。今後、RLS/WED女性における妊娠前からの前向き調査が必要である。
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